※残念ながら2018年4月に閉館しました。
前回記事のインドネシアから日本に戻り、敢えて温泉ファンにとってはベタな別府の温泉を取り上げてまいります。でもあまりにベタすぎてもつまらないので、生まれつき天邪鬼な私は、マニア御用達の「別府八湯温泉道」の対象から外れている共同浴場を訪れることにしました(2016年5月訪問)。
まずは別府駅から徒歩圏内の富士見通り沿いにある「第一富士見温泉」から。訪問したのは夜9時頃だったため、全体的に暗い画像ばかりで申し訳ございません。共同浴場はえてしてわかりにくい奥まった場所に位置していることがありますが、こちらは大通りに面しているため、夜遅い真っ暗な時間帯でもすぐに見つけることができました。
管理人さん常駐の施設ですので(日曜は不在)、出入口手前にある番台でおじさんに挨拶してから、料金箱に湯銭の100円を納めました。番台の右手には神棚が祀られ、その下には源泉からお湯を汲み上げるポンプが設置されています。男湯の暖簾の上に掲げられた大きな時計は、この浴場が地域住民の生活と密接に結びついていることを表しているようです。
古い木造の湯屋は、別府の共同浴場の典型的な造り、すなわち脱衣室と浴室の間に仕切りがない脱浴一体型です。暖簾をくぐった先にある引き戸を開けると、脱衣室の棚と一緒に、浴室の中央に据えられた円形の浴槽も視界に入ってきました。浴室は3方向がガラス張りで、右側の曇りガラスは女湯との仕切りですが、このガラス窓を多用した造りのおかげで、実際の床面積以上の広さを感じることができました。
こちらは浴室から脱衣室を見たところ。真四角に区切られた棚が壁一面を覆っていますね。備え付けの風呂桶は、洗い場ではなくこの棚の右下にまとめて収められていました。通り側の壁側に置かれているベンチは、国鉄時代末期の駅のホームに設置されていたFRP製のそれみたい。
浴室の隅っこに湯壷があって、そこに注がれた熱々のお湯は床下を通って浴槽へと流れています。この構造も別府の共同浴場ではよく見られるご当地の標準的なものですね。湯壷の側面にはバルブがあったので、これで投入量を調整するのでしょう。なおこの浴室内にカランらしきものは見当たらないのですが、その代わり湯壷のそばに洗面台が一台取り付けられていました。掛け湯などのお湯は湯船から桶で直接汲み、水道を使いたい場合は洗面台で蛇口を捻ることになるわけです。
小判型の浴槽は3人サイズ。縁や側面はタイル張りですが、底面には茶色い石材が敷かれており、お湯を通して映る石材のマーブル模様が、温泉風情をそこはかとなく醸し出していました。湯壷から床下を通って底面から供給されるお湯は、縁の外側に沿って刻まれている溝へ溢れて排水されており、(加水の有無はわかりませんが)完全放流式の湯使いだと思われます。お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、わずかに土気があり、ほんのりビターテイストも感じられました。湯中では弱いスルスベ浴感が得られましたが、総じてマイルドであり、しいて言うなら掴み所に困るお湯と表現してよいかもしれません。でも癖があったり個性が強かったりすると、日常の湯浴みには却って使いにくいので、こうした無色透明無味無臭の没個性なお湯の方が、地元の方々にとっては都合が良いでしょう。なお室内掲示の古い案内によれば、泉質は重曹泉とのことですが、私の実感から推測しますと、重曹泉型の単純泉ではないかと思われます。
昔ながらの生活感と掛け流しの温泉を一緒に味わえる、趣きたっぷりの共同浴場でした。
重曹泉 48.5℃ それ以外のデータ不明
(昭和39年11月9日)
JR日豊本線・別府駅より徒歩8分(約700m)
大分県別府市野口元町11-22 地図
※残念ながら2018年4月に閉館しました。
6:00~11:00、14:00~23:00
100円
備品類なし
私の好み:★★
前回記事のインドネシアから日本に戻り、敢えて温泉ファンにとってはベタな別府の温泉を取り上げてまいります。でもあまりにベタすぎてもつまらないので、生まれつき天邪鬼な私は、マニア御用達の「別府八湯温泉道」の対象から外れている共同浴場を訪れることにしました(2016年5月訪問)。
まずは別府駅から徒歩圏内の富士見通り沿いにある「第一富士見温泉」から。訪問したのは夜9時頃だったため、全体的に暗い画像ばかりで申し訳ございません。共同浴場はえてしてわかりにくい奥まった場所に位置していることがありますが、こちらは大通りに面しているため、夜遅い真っ暗な時間帯でもすぐに見つけることができました。
管理人さん常駐の施設ですので(日曜は不在)、出入口手前にある番台でおじさんに挨拶してから、料金箱に湯銭の100円を納めました。番台の右手には神棚が祀られ、その下には源泉からお湯を汲み上げるポンプが設置されています。男湯の暖簾の上に掲げられた大きな時計は、この浴場が地域住民の生活と密接に結びついていることを表しているようです。
古い木造の湯屋は、別府の共同浴場の典型的な造り、すなわち脱衣室と浴室の間に仕切りがない脱浴一体型です。暖簾をくぐった先にある引き戸を開けると、脱衣室の棚と一緒に、浴室の中央に据えられた円形の浴槽も視界に入ってきました。浴室は3方向がガラス張りで、右側の曇りガラスは女湯との仕切りですが、このガラス窓を多用した造りのおかげで、実際の床面積以上の広さを感じることができました。
こちらは浴室から脱衣室を見たところ。真四角に区切られた棚が壁一面を覆っていますね。備え付けの風呂桶は、洗い場ではなくこの棚の右下にまとめて収められていました。通り側の壁側に置かれているベンチは、国鉄時代末期の駅のホームに設置されていたFRP製のそれみたい。
浴室の隅っこに湯壷があって、そこに注がれた熱々のお湯は床下を通って浴槽へと流れています。この構造も別府の共同浴場ではよく見られるご当地の標準的なものですね。湯壷の側面にはバルブがあったので、これで投入量を調整するのでしょう。なおこの浴室内にカランらしきものは見当たらないのですが、その代わり湯壷のそばに洗面台が一台取り付けられていました。掛け湯などのお湯は湯船から桶で直接汲み、水道を使いたい場合は洗面台で蛇口を捻ることになるわけです。
小判型の浴槽は3人サイズ。縁や側面はタイル張りですが、底面には茶色い石材が敷かれており、お湯を通して映る石材のマーブル模様が、温泉風情をそこはかとなく醸し出していました。湯壷から床下を通って底面から供給されるお湯は、縁の外側に沿って刻まれている溝へ溢れて排水されており、(加水の有無はわかりませんが)完全放流式の湯使いだと思われます。お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、わずかに土気があり、ほんのりビターテイストも感じられました。湯中では弱いスルスベ浴感が得られましたが、総じてマイルドであり、しいて言うなら掴み所に困るお湯と表現してよいかもしれません。でも癖があったり個性が強かったりすると、日常の湯浴みには却って使いにくいので、こうした無色透明無味無臭の没個性なお湯の方が、地元の方々にとっては都合が良いでしょう。なお室内掲示の古い案内によれば、泉質は重曹泉とのことですが、私の実感から推測しますと、重曹泉型の単純泉ではないかと思われます。
昔ながらの生活感と掛け流しの温泉を一緒に味わえる、趣きたっぷりの共同浴場でした。
重曹泉 48.5℃ それ以外のデータ不明
(昭和39年11月9日)
JR日豊本線・別府駅より徒歩8分(約700m)
大分県別府市野口元町11-22 地図
※残念ながら2018年4月に閉館しました。
6:00~11:00、14:00~23:00
100円
備品類なし
私の好み:★★