温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

瀬波温泉 恵みの宿 夕幸の森

2011年05月24日 | 新潟県

瀬波温泉の旅館はどこもお高いイメージがあるのですが、某宿泊予約サイトで調べているとオープンしてまもない施設ながらかなり安い料金設定のお宿を発見したので、5月某日、そこで一泊お世話になることにしました。
場所は瀬波の温泉街からちょっと外れた瀬波病院の隣。今年(平成23年)1月にオープンしたばかりの新しいお宿です。オープンといっても全てが新しいというわけではなく、以前企業か団体の寮として使われていたものをリニューアルして、旅館として再スタートさせたようです。

 
瀬波らしくないこじんまりとした宿ですが、綺麗で静かで居心地良好。玄関ホールは明るい吹き抜けになっていました。


フロントや廊下・客室など随所にこうした茶香炉が置かれており、さりげなく仄かな良い香りが漂っています。一般的なお香だと匂いに好き嫌いが分かれてしまいますが、これなら匂いの主張が控えめですから男性客でも平気ですね。ちょこちょこと置かれているのも小さなお洒落で素敵です。


客室は一般的な和室です。清掃がとてもよく行き届いており、快適に過ごせました。冷蔵庫には冷たい水が用意されており、湯上りに飲むと美味しそうです。部屋には既に布団が敷かれていたので、いきなりゴロンとしちゃいました。なおトイレと洗面台が室内に備え付けられています。無線LANも使えます。


さてお風呂へ。1階フロン左側の突き当たりが浴室です。コンパクトな脱衣所ですが綺麗で必要最低限のものは揃っており、不便さは感じられません。


お風呂は男女別の内湯がひとつずつ。大きなガラス窓に面していますが特に景色が楽しめるわけではありませんでした。浴室内は湯気がムンムンと篭っており、まるでミストサウナ状態。なぜかしらと湯船のお湯を触ってみたらすぐに理解できました。お湯が熱いのであります。
こちらのお湯は瀬波でも珍しい源泉掛け流しで、加温循環消毒はもちろんのこと加水すらしていないようなのです。源泉温度は88.3℃でして、そこから引湯する間に相当冷めているはずですが、それでも熱い。


傍には湯もみ板がたてかけられてあったので、これでお湯をしっかり揉みました。そのうちに加水しなくても入れる温度になってきたので、掛け湯して体を慣らしてから、いざ湯船へ。
確かに熱いのですが、揉まれたお湯は凶暴さを失い、大人ならば大抵の方なら入れそうな感じです(子供は無理かな)。尤も私は余所でいくらでも激熱のお湯に入ってきたので、この程度なら朝飯前。他のお客さんが数秒で出てしまうところを、じっくり数分間は浸かっていました。
お湯は無色透明ながら薄っすら白く霞んでいるように見えます。黒い湯の華の浮遊や沈殿が確認できます。クレゾール的な油臭と焦げたゴムのような硫黄臭が混ざって香り、味もしょっぱさ+焦げたタマゴのような味+苦味&渋みが一緒くたになって感じられます。ツルツルスベスベがはっきりしている浴感です。
熱いお湯に耐性のある私も、さすがに湯上りは熱さと塩分のためにフラフラになってしまったのですが、浴室を出たところに冷水器が置かれているので助かりました。風呂上りの冷たい水は本当に美味い。


今回は1泊朝食付で5,980円のプランを利用したのですが、そんなお値段にもかかわらず朝食はご覧の通り海の幸を中心としたとっても立派な献立。美味しくいただき、お腹いっぱいです。お値段は2食付きでも4桁で収まってしまうらしく、優れたコストパフォーマンスにびっくりしました。


玄関にはイーゼルでこんなボードが立てかけられていました。日帰り入浴も可能なんですね。

温泉街からちょっと離れた静かな立地で、客室が少ないため団体に遭遇することがないのも嬉しいところ。綺麗でコストパフォーマンスに優れ、しかも(熱いですが)掛け流しのお湯に入れるんですから素晴らしいですね。家族でも一人旅でも、静かに過ごしたい方にはもってこいの、穴場的なお宿だと思います。ビジネスホテルに泊まるなら、こちらの方が全然良いです。

強いて申し上げるなら、源泉掛け流しにこだわる姿勢は立派ですが、熱くて入れないのではせっかくの意気込みも台無しになってしまうので、湯口までの間に熱交換器を挟んで適温に落とせば、加水などすることなく源泉の持ち味をそんなに損なうこともなく、そのままの濃度で万人がゆっくり湯浴みできるようになるかと思うのですが…。



混合泉(瀬波源泉・元湯2号)
ナトリウム-塩化物温泉 88.2℃ pH8.8 溶存物質3859mg/kg 成分総計3859mg/kg

新潟県村上市瀬波温泉2-4-17  地図
0254-50-0001

日帰り入浴15:00~23:00(受付23:00まで)
料金失念
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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月岡温泉 さかえ館

2011年05月23日 | 新潟県
※2020年4月に経営者が変わり、「湯宿あかまつ」としてリニューアルオープンしました。当記事は2011年時点旧「さかえ館」の様子を取り上げています。


月岡温泉のお宿は、立派でお高めの旅館と湯治宿的な小規模施設のふたつに分類できますが、「さかえ館」は後者の典型例でして、月岡温泉で観光客がもっとも集まるであろう足湯「月姫広場」の斜め前、新湯エリアのど真ん中に位置する絶好のロケーションにもかかわらず、周囲の立派な旅館群と異なり、この宿一軒だけぽつねんと鄙びた雰囲気を漂わせています。


隣には新湯の源泉分湯小屋が立っています。この小屋から最も近い場所でお風呂に入れる施設が「さかえ館」です。鄙びたお宿で宣伝などは特に行っていないにもかかわらず、ネットで月岡温泉を検索するとこの「さかえ館」を取り上げた温泉ファンのサイトやブログがたくさんヒットするんですから、それだけ温泉に一家言持っている御仁を満足させるお湯なんでしょうね。期待に胸を膨らませて日帰り入浴をお願いすることにしました。

 
玄関には木彫りで「旅舎榮館」と記された大きな札が立てかけてありました。以前はこれを表に出していたのかもしれませんね。中に入って声を掛けると、右側の部屋から犬を抱きかかえながらお婆ちゃんが登場。日帰り入浴を乞うと「ちょっと待ってくださいね」と奥へ行ってお風呂の状況を確認し、「大丈夫ですよ」とOKをいただいて、晴れて入浴できることに。その間、お婆ちゃんの腕に抱かれたワンちゃんはキャンキャンとけたたましく吠えて私を威嚇し続けていました。常連らしき爺さんが現れたときには吠えていなかったので、ワンちゃんは一見の客を見抜く力を持っているのかも。
浴室は玄関の左側。シンプルな内装です。湯治宿・自炊宿とはいえ、その手の施設にありがちな老朽感はあまりなく、手入れの行き届いた綺麗な館内でした。
浴室に近づくにつれ、月岡らしい油臭が漂ってきます…。


浴室は大小の2室があり、それぞれ貸し切りで使用します。こちらは小浴室で「家族風呂」として使われているようです。1~2人入ればいっぱいになってしまいそうなお風呂です。


もうひとつの浴室はご覧の通りの大きさで、3~4人は入れそうな浴槽がひとつ据えられています。全面タイル貼りで明るく綺麗なお風呂です。今回は先客がいなかったため、こちらの浴室を一人で使わせていただきました。こちらの宿のお風呂は男女の区別がないため、普段は利用客同士で譲り合いながら、うまい具合にやりくりしているそうです。


浴室にはシャンプー類の他、画像のように石鹸とヘチマのスポンジが備え付けてありました。これで体を洗ってくれ、ということなんでしょうが、他の人が使ったヘチマスポンジはあまり使いたくないなぁ。なお洗い場には水の蛇口しか無いので、掛け湯のときには浴槽から桶で直接汲むことになります。

 
コップが置かれた湯口から源泉が投入されています。加温循環消毒などは為されていない掛け流し。お湯は浴槽縁に開けられた二つの切り欠けから排湯されており、人が入るとしっかりオーバーフローしていきます。月岡らしく綺麗な翠色の透明のお湯で、焦げたような硫黄臭と油臭が混じりあった強い刺激臭や、苦味・渋み・塩味・硫黄味が混淆した味もしっかり月岡らしさを主張しています。湯口まわりや浴槽の縁に見られる黒ずみは油が原因でしょうね。こちらで使われているお湯は新湯源泉ですが、前回取り上げた「浪花屋旅館」で利用されている旧湯より匂い・味ともに若干マイルドであるように感じられました。
湯面には油が沢山浮いており、窓から差し込む日の光を反射して虹色に輝いています。湯中では細かくて灰色を帯びた綿状の湯の華が沢山舞っていました。さすが美人の湯だけあってツルツルスベスベ感が強く、よく温まります。


含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉 50.0℃ 
(HS-:88.4mg/kg)

JR羽越本線・月岡駅より新潟交通観光バス(路線バス)で約10分、月岡新湯下車、徒歩1分
またはJR白新線・豊栄駅よりシャトルバスで23分・200円、月岡新湯下車、徒歩1分
新潟県新発田市月岡温泉552-24  地図
0254-32-2424

日帰り入浴館可能時間:要問合せ
300円
シャンプー類あり、ドライヤー貸し出し、貴重品帳場預かり

私の好み:★★★







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月岡温泉 浪花屋旅館

2011年05月23日 | 新潟県

硫黄含有量が日本第2位といわれている月岡温泉は、結構な軒数のお宿があるわりに、源泉掛け流しでお湯を提供しているところが意外と少ないんですが、浪花屋旅館さんはそんな数少ない源泉掛け流しのお湯に入れるお宿のひとつであると聞いたので、某日日帰り入浴をお願いしてきました。
こちらはタバコ屋さんも兼ねており、玄関左側にはそのカウンターが設けられています。訪問時も軽トラで乗りつけたお爺ちゃんがタバコを購入していきました。


宿の目の前には「月岡温泉発祥の地」の石碑と並んで、6号源泉の小屋があります。この6号源泉のお湯は浪花屋さんにも配湯されています。源泉から至近距離ゆえ、他のお宿より新鮮な状態のお湯を堪能できるんでしょうね。入る前から期待しちゃいます。

 
玄関に入って声を掛けると、タバコ屋のカウンターに座っていた女将さんが出てきて対応してくれました。玄関を上がったところには、「当館の温泉は源泉掛け流しでございます」と書かれた小さな札が立てられていました。遠慮気味ながらもしっかりと掛け流しであることを誇示しています。


建物右手へ入って廊下を進むと、その突き当たりに浴室がありました。浴室手前には洗面台が並んでいるのですが、そこの水栓が見事なまでに黒く硫化しており、洗面台が真っ白いのでその黒さがとても際立っていました。温泉を直接被らないところですら硫化しているのですから、よほど硫黄分が強いんでしょうね。そんなことを思いながら脱衣所に入ると、さっそく月岡ならではの油臭が匂ってきました。

 
お風呂は男女別の内湯がひとつずつ。ご覧の通り浴槽は小さめで2~3人サイズといったところでしょうか。洗い場のカランはシャワー付き混合栓が2基。湯口から絶え間なく源泉が供給され、浴槽縁の切り欠けから排湯されています。その切り欠けから排水口までは成分付着により真っ黒。まるでコールタールでも垂らしたかのような色です。湯船に入ると勢い良くお湯があふれ出すのでとっても爽快です。湯口を良く見るとちょっと白いものが付着していますが、これも硫黄分なんでしょうね。


きれいな翠色透明のお湯。黒や灰色の綿みたいな湯の華が沢山浮遊しています。浴槽のタイル目地は油分のためか若干黒ずんでいます。湯面を良く見ると油の膜が浮いているのが確認できます。ちょっと熱めですが少しずつ体を慣らしていけばすぐに湯船に入れるようになりました。
クレゾール的というか、焦げたような硫黄臭と石油臭が混ざったような強い匂いが鼻を刺激しますが、人体は面白いもので、しばらくするうちにこの刺激臭に慣れて不感になってゆく自分に気づきました。いや、これは油臭が好きな私独特の感覚で、この臭いが苦手な方はな慣れないのかもしれませんが…。口に含むと、舌や口腔が痺れるような強い苦さ+塩味+焦げた卵黄のような硫黄味がミックスされて感じられます。美人の湯を称するだけあって、ツルツルスベスベ感が非常に強く、湯上りもこれが持続しました(肌の弱い方は逆に肌荒れを起こすことがあるそうなので要注意)。

お湯が浴槽に落ちる音だけが響く、静かで落ち着いたシンプルな浴室で、加水加温循環消毒なしの完全掛け流しの個性的なお湯をじっくり堪能することが出来ました。


月岡5号井・6号井
含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉
5号井:50.7℃ pH7.5 440L/min(動力揚湯) 溶存物質3565mg/kg 成分総計3600mg/kg 
6号井:49.0℃ pH7.6 141L/min(動力揚湯) 溶存物質3414mg/kg 成分総計3474mg/kg
(HS-:5号井20.7mg/kg、6号井113.6mg/kg) 

JR羽越本線・月岡駅より新潟交通観光バス(路線バス)で約10分、月岡旧湯前下車すぐ
またはJR白新線・豊栄駅よりシャトルバスで23分・200円、月岡旧湯前下車すぐ
新潟県新発田市月岡温泉609-7  地図
0254-32-2010
ホームページ

日帰り入浴時間9:00~20:00
600円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品は帳場預かり

私の好み:★★★
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折立温泉 大鼻旅館

2011年05月20日 | 新潟県
※2011年7月末に発生した水害により甚大な被害を受けたため、残念ながら閉館されてしまいました


奥只見や尾瀬の玄関口に当たる越後魚沼地方東部の湯之谷温泉郷。その中でも比較的小出の街に近い方に位置しているのが折立温泉ですが、今回はその折立温泉でもお湯の評判が良い大鼻旅館で日帰り入浴をお願いしてきました。国道から温泉街に入り、佐梨川に向かって下りてゆくと、その川岸に昔ながらの湯治宿然とした瓦屋根の建物が見えてきます。
折立温泉の他の宿は河岸の高いところに建てられているのですが、この大鼻旅館だけがぽつんと川の傍に位置しているため、あたかも一軒宿のような佇まいを漂わせています。


宿の隣には源泉井らしき施設が。大鼻旅館は元湯を名乗っていますから、源泉のお湯を最も近い位置で楽しむことができるわけですね。


玄関には三和土に上り框があって、古きよき旅館の風情がたっぷり。入浴をお願いすると、対応してくださったのは宿のご主人と思しきおじいさん。この方が実に丁寧で、わざわざ浴室前まで案内してくださいました。館内には小さなお社やバスケットゴール、その他いろんな置物が所狭しと陳列されていますが…

 
中でも隠れ鉄道ファンの私が目を奪われたのが何気なく飾ってある鉄道グッズ。左(上)画像を良く見ると、左側に特急列車のシートが置かれていますね。これはいわゆる国鉄のR27系リクライニングシートでして、新幹線以外の全ての国鉄特急車両に装備されたといっても過言ではない、当時の標準的なグリーン車用シートです。肘掛脇に収納する小テーブルが特徴的で、いまでは殆ど見られなくなっちゃいましたね。ちなみに半年前、私はこれと同系のシートに座って旅をしています。その様子はこちらをご覧下さい。
もういっちょ、画像右(下)は見てお解りの通り、上越新幹線の上野開業を祝う旗ですね。上越&東北新幹線は当初大宮までの暫定開業で、大宮~上野間は185系200番台による「新幹線リレー号」が運転されていました。あぁ懐かしい。幼き頃の私は赤羽駅や大宮駅のホームに立って、このリレー号をカメラによく収めたものです。その新幹線が乗り換えなしで都心に乗り入れることが出来たのですから、新潟の方々がどれだけ喜んだかは想像に難くありません。

 
閑話休題。こちらが浴室入口。男女別のお風呂が一室ずつ。その傍には洗面台も並んでいます。昔の宿の典型的な姿です。


シンプルなつくりの浴室には浴槽がひとつと蛇口が4つ。蛇口のうち2本は水が出て、残り2本は何も出ません(おそらく以前はお湯が出ていたのかも)。浴槽上の窓を開けると、すぐ目の前は佐梨川の渓流です。古いタイル貼りですが、とても丁寧にメンテナンスされており、全く古さや経年劣化を感じさせないほどピカピカに清掃されています。

 
お湯は無色透明、非常に清らかに澄み切っています。浴槽底の青いタイルが澄明さをより際立たせてくれます。無味無臭で癖の無い柔らかいお湯。ツルスベ感もはっきり感じられ、肌に優しい浴感です。微かに芒硝っぽい感触が伝わってきます。加温加水循環消毒一切なし。湯温が40℃くらいなので、いつまでも長湯することができ、優しいお湯なので長湯しても体への負担が軽いのが嬉しいところです。湯中でじっとしているとやがて細かな気泡が肌に付着してきました。
湯口にはさらしの布が巻きつけてありますが、そのおかげで浴槽内には浮遊物や沈殿物は一切なし。投入される湯量も豊富で(というか浴槽の大きさに適した量で)、浴槽の縁から大量にオーバーフローしていきます。その様子を見ているだけでも実に清清しい思いがします。

温泉は濃いお湯も個性的ですが、こんな無色透明無味無臭ながらとっても優しいお湯もまた魅力的。浴感の良さにすっかり惚れてしまい、少なくとも1時間以上はこのお湯に入り続けていました。
帰るときもご主人は一介の入浴客である私に三つ指ついてご挨拶してくださいました。お湯の良さとご主人の丁寧な姿勢がとても印象的な宿です。


折立源泉
単純温泉 40.6℃ pH8.0 380L/min(動力揚湯) 溶存物質583.3mg/kg 成分総計484.6mg/kg

新潟県魚沼市下折立237-2  地図
025-795-2136
ホームページ

日帰り入浴時間は直接問い合わせてください(玄関が開いていればOKらしいですが…)
400円
備品類なし(シャンプー類はあったかも。失念)

私の好み:★★★
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新津温泉

2011年05月20日 | 新潟県
小学3年生の頃、ロサンゼルスのハンコック公園にあるラ・ブレア・タールピット(ページ博物館)で自然に湧出するコールタールとそこに漂う強い油臭を体験して以来、石油臭の虜になってしまった変態な私。温泉巡りをはじめてから、油臭がする温泉の聖地として有名な新津温泉には何度か足を運んでいたのですが、ここ数年ちょっとご無沙汰してしまい、先日ふと油臭が無性に恋しくなったので、久しぶりに行ってみることにしました。

 
相変わらず茅屋然とした建物であることに、ちょっと安堵。ここに初めて訪れた十数年前、(画像に写っていませんが)隣のショッピングセンター(現ベルシティ新津)は長崎屋でした。
玄関左側の小窓を開けてお婆ちゃんに料金を支払います。


湯屋の傍には錆びて薄汚れた源泉井のタンクが佇んでいます。中からはボコボコとお湯の踊る音が聞こえてきます。


廊下を歩いて玄関から浴室へ。大広間の前の廊下にはポットが沢山並べてありました。湯上りにいただくお茶用でしょうね。


脱衣所も以前とほとんど変わっていません。変わったところといえば、灰皿が消えている…。

 
浴室のガラス戸には真新しい注意書きが貼られており、「温泉の回りにガスが出ています。絶対に禁煙でお願いします」とのこと。噂によると、東日本大震災後に灰皿が撤去されたり火気厳禁の注意書きが貼られたんだとか。地震によって可燃性ガスが多く噴出するようになったのでしょうか。


脱衣所に入った時点で鼻を突いてくる油臭は、浴室では濃厚に充満しており、お湯に入る前から既に私は興奮気味。お湯は以前とあまり変わっていないように見受けられますが、かなり久しぶりで記憶が不確かなので、以前との比較はあまりできません。
塩ビのパイプから源泉が注がれ、浴槽の切り欠けから溢れて排湯されていきます。無色透明ながら若干濁って見えるお湯は、浴槽のタイルのおかげでターコイズグリーン色に見えます。タイルの目地が黒ずんでいるのは石油の影響でしょうか。湯中では微細な灰白色の浮遊物が舞っており、これが濁って見える原因かもしれません。熱くもぬるくもないちょうど良い湯加減。トロトロとしたお湯で、重曹パワーの影響なのかツルツルスベスベ感の強い浴感。濃い食塩泉ゆえにとってもしょっぱく、湯口にコップが置いてありますが、塩辛い上に油臭が強いこんなお湯をゴグっと飲む人なんているのかしら。

油臭にまみれて暫し恍惚ひとときを過ごしていたのですが、やがてこの匂いのために頭がクラクラしはじめ、軽く頭痛や吐き気を催してきたので、後ろ髪をひかれる思いでお湯から退散。非常に良く温まるお湯ですが、それ以上に油臭が全身にこびりついて、湯上り後もなかなか消えません。特に髪の毛は臭いが取れにくい。ガソリンスタンドに寄っていないのに車の中は石油の匂いに満たされ、翌日になっても残り香が漂っていました。

かつては産油量日本一を誇った新津油田の名残であるこの温泉。いつまでも私たち油臭温泉ファンを魅了し続けてほしいものです。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
44.7℃ pH7.6 20L/min(掘削自噴) 溶存物質13820mg/kg 成分総計13880mg/kg
(平成21年7月27日調査・同8月21日分析終了)

JR新津駅より徒歩15分(約1200m)
新潟県新潟市秋葉区新津本町4-17-13  地図
0250-22-0842

8:00~19:00
300円
備品類無し

私の好み:★★★


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