温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

満願寺温泉 満願寺温泉館

2011年06月01日 | 熊本県

前回取り上げた満願寺温泉の共同浴場や露天風呂は、温泉巡りに慣れていない方には雰囲気的にちょっとハードルが高いものですが、「満願寺温泉館」はいわゆる普通の共同浴場ですので、どなたでも問題なくご利用いただけるかと思います。とっても鄙びた公民館のような外観の「温泉館」は、通りから見て川の対岸に建てられていました。小さな橋で対岸に渡ります。


玄関には「湯銭箱」と書かれた料金箱が壁に取り付けられていましたが、訪問時には係員の方がいらっしゃったので、直接手渡しで料金を支払いました。
浴室は男女別の内湯で、それぞれ大小の2室(つまり計4室)に分かれています。訪問時は大きな方に先客がいらっしゃったので、まず小浴室から利用することにしました。


小浴室は文字通り本当に小さくて狭いのですが、浴室の扉を開けてビックリ。お湯が完全に洪水状態になって洗い場へ溢れ出ているのです。洪水の「ような」オーバーフローなら珍しくありませんが、「~ような」ではなく、明らかな洪水なのです。この光景を目にした私は、失禁しそうになるほど嬉しくなっしゃいました。温泉ファンのサイトにもこの小浴室の洪水について言及しているものが多く見られますが、確かにこれを見てノータッチでいられるはずありません。皆さんも歓喜したんだろうなぁ。


さて次に大浴室へ。浴槽の他には水の蛇口が二つあるだけの極めてシンプルな造りです。
浴槽は湯口側の小さな「上り湯」と排湯側の大きな「湯尻」の2つに分かれており、まずは「湯尻」のお湯で掛け湯してからその浴槽に入り、最後に「上り湯」で締める、というのがこちらの入浴流儀のようです。「湯尻」の浴槽は3~4人サイズ、小浴槽ほどではないにせよ、こちらも大量にオーバーフローしており、まるで阿蘇・白水の湧水地帯を見ているかのようです。


「上り湯」は1~2人サイズ。一応入れますが、掛け湯専用にしたほうが良さそうな感じ。
湯口は湯面下の底の方に設けられています。ここに注がれたお湯が「湯尻」へと流れ、そこでオーバーフローしてゆくわけです。
お湯は無色澄明無臭でほとんど無味ながら微かに甘みが感じられます。肌触りが滑らかで柔らかく、ほっても優しいお湯です。何しろ供給される湯量が多いため、お湯の鮮度が抜群。浴槽からふんだんに溢れるお湯を眺めながら、新鮮で優しいお湯を堪能できるこの環境は実に素晴らしい。余計なものが無い質素なお風呂だからこそ尚更です。こんな温泉に毎日入れる地元の方がとっても羨ましい。


単純温泉 42.8℃ pH7.1 237.6L/min 

熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺  地図

6:00~22:00
200円
備品類なし

私の好み:★★★
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満願寺温泉 共同浴場・露天風呂(川湯)

2011年06月01日 | 熊本県
泣く子も黙る超人気温泉地「黒川温泉」に宿泊した某日、観光客へのお誂え向きバッチリな黒川温泉の雰囲気に酔いしれながらも、リアリティのある鄙びを求める私の心の片隅には明らかに残尿感的なもどかしさがこびりついていたので、それを払拭すべく向かったのが満願寺温泉です。


満願寺川に開けた小さな集落に旅館や共同浴場が数軒点在するだけの鄙びた温泉地「満願寺温泉」。こういう場所には曇天の空がよく似合う。

 
まずは温泉名の由来である満願寺に参拝。鎌倉時代の文永11年(1274年)に当地を所領としていた北条時定が国土安泰を祈願して建立した古刹であります。


満願寺から川に沿って遡ると、途中に気になる物件がいくつかあるのですが、今はとりあえず目を瞑ってそれらを通過。まずやってきたのは川沿いに建つご覧の小屋。


小屋の中に入ると、そこは浴槽が1つあるだけのお風呂でした。管理人がいない無人のこの施設は、地域民のための温泉共同浴場でして、外来者が利用する場合は300円を料金箱に入れればOK。浴槽が一つしか無いということはつまり混浴。コンクリ打ちっぱなしで、水の蛇口以外にカランは無く、至ってシンプルな造りです。
階段を降りた位置に浴槽が据えられているのが、いかにも昔ながらの温泉らしい風情を感じさせてくれますね。津々浦々の名湯は大抵階段を降りたところに湧いているものです。お湯はふんだんに浴槽へ投入されており、浴槽縁の切り欠けから大量に排湯されています。無色透明無味無臭で非常に当たりが柔らかい優しいお湯です。ただ、何故か浴槽自体が浅めにできており、寝そべらないと肩までお湯に浸からないのがもどかしいところ。
余計な物が一切無い素朴なお風呂で澄んだ優しいお湯に浸かって、何とも言えない恍惚の時間を過ごせました。


さて共同浴場から川を下る形で満願寺の方へ戻ると、その途中の川岸にこんな気になるものを発見。これぞ、温泉ファンの間ではつとに有名な露天風呂「川湯」であります。屋根がかかっているだけで、脱衣所も何にもありません。道路や周囲の家からは思いっきり丸見え。訪問時は地元の方がお湯で洗濯をしていたので、それが終わってからいざ入浴。お風呂を目の前にすると羞恥心が一切消えてしまう私は、少しの臆面も無くスッポンポンになって湯浴みしました。ま、そんなに人通りが多い場所じゃないので、男性だったら気にならないかも。
湯面と川面が同じレベル(高さ)なので、お湯に入りながら川を泳ぐ魚をまじまじと眺めることだってできちゃいます。コンクリ造の浴槽が二つあり、いずれもややぬるめの湯加減。おそらく足元(浴槽の底)から湧出しているものと思われ、浴槽から川へふんだんにお湯が溢れ出ていきます。共同浴場と同じく無色透明無味無臭でとっても優しいお湯です。この露天風呂のように、人目に触れるような場所でお風呂に入る文化は世界的に見ても非常に稀ではないでしょうか。いつまでも残しておいてほしいものですね。


分析表の掲示なし(単純温泉)

熊本県阿蘇郡南小国町満願寺志津

・共同浴場  地図
6:00~22:00
300円
備品類なし

・露天風呂  地図
入浴可能時間不明
300円
備品類なし


私の好み:★★★
コメント (2)
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相良路の湯おおが

2011年06月01日 | 熊本県

人吉駅前からまっすぐ伸びる通りを南下して人吉橋を渡ると、まもなく右手に「おおがスイミングスクール」が見えてきますが、そこに併設された共同浴場が「相良路の湯おおが」。なんとこのスイミングスクールではプールに温泉水を利用しているんだそうですが、共同浴場では同じ源泉のお湯をかけ流しの状態で入ることができます。訪問時にはスイミングスクールから練習を終えた子供たちが元気よく飛び出してきました。


限られた敷地内に無理矢理造ったような湯屋で、館内は結構狭いのですが、きちんと手入れされていてとっても綺麗です。訪問時は無人(係員不在)でしたが、常時無人なんでしょうか。券売機で料金を支払って中へ。浴室入口には人吉温泉共通の暖簾がかかっていました。

 
ウッディでシックな脱衣所を経て浴室へ。
内湯のみですが、石造りの浴槽は3つに分かれており、脱衣所口から見て一番奥が水風呂、その手前が1人サイズの小浴槽で湯加減熱め、一番手前が8人サイズの主浴槽でちょうど良い湯加減でした。上述のように源泉掛け流しで、源泉温度がちょっと高めなのですが加水せずに投入量を絞ることによって湯温を調整しているんだそうです。絞っているとはいえ、各浴槽ともしっかりオーバーフロー。地下600mから汲み上げている源泉はプールに使えるほど湯量が豊富なんでしょう、カランから出てくるお湯も源泉使用です。
そのお湯はいわゆるモール泉でして、淡黄褐色透明、微かに金気のような味と重曹味を帯び、モール泉ならではの匂いが仄かに香っています。ご近所の「桃李温泉・石亭の館」に似たような泉質ですが、こちらの方が浴槽が小さいからかお湯の質感が素直に伝わってくるようでして、味や匂い以外にも重曹泉的なスベスベ浴感がとても気持よく得られました。

 
脱衣所入口には源泉使用の小さな掛け湯や源泉が出てくる蛇口も設置されていました。小さなお風呂なのに源泉にこだわる細かな設備が配されていて面白いですね。


脱衣所を出たところには冷蔵庫が置かれ、こちらの施設ご自慢の「温泉豆富おおが」が販売されていました。無人ですので料金は自己申告で支払い、自分で冷蔵庫から取り出します。文字通り、こちらで使われている温泉水と、球磨郡あさぎり町産のあさぎり大豆を使って作り上げたもので、実際にいただいてみると豆の風味が活きており、トロトロ食感も手伝って、あっと言う間に1つを食べきっちゃいました。

狭いながらも24時間営業で使い勝手も良く、源泉掛け流しのお湯に入れるのですから、なんとも嬉しい施設です。訪問時も先客が5人いらっしゃいましたが、人気を集めるのもわかる気がします。


ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉 50.1℃ pH7.98 溶存物質2007mg/kg 成分総計2038mg/kg

JR肥薩線・人吉駅から徒歩15分(約1km)
熊本県人吉市灰久保町21  地図
0966-22-3600
ホームページ

24時間営業(12:00~13:00は清掃のため利用不可)
300円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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