雨男の私は熊本へ訪れると必ずといって良いほど雨が降る。しかも毎回雨脚の強い悪天に見舞われる。わいた温泉郷には二度ほど行きましたが、いずれも大雨でした。日頃の行いを省みてもそれほど悪いことしてないし、する度胸も無いし…。
ま、愚痴はともかく、良質な温泉が多く湧くわいた温泉郷の中でも美しい濁り湯に入れる施設があると聞いたので、レンタカーを走らせて岳の湯温泉の「豊礼の宿」へ日帰り入浴をお願いすることにしました。
湧蓋山西麓の見晴らしが良い高台に立地するこちらの施設は敷地が広く、駐車場スペースにも余裕があります。敷地内には温泉蒸気の噴気を使った「地獄蒸し器」がありました。地熱資源が豊かな場所ならではですね。宿泊客や入浴客なら無料で使えるんだそうでして、食材は併設された売店でも購入できます。持ち込みも可能。
宿泊棟の奥に温泉棟があるので、受付で料金を払ったらそこへ歩いて向かいます。こちらには貸切の家族風呂と大露天風呂の2種類を利用できますが、私は1人旅ですから大露天風呂に入りました。
熊本や大分の温泉には家族風呂をたくさん用意している施設が多いですね。羨ましいなぁ。
旅館というより民宿のような狭い脱衣所を抜けてお風呂へ出ると、そこには天晴な展望と綺麗に濁ったお風呂が待っていました。高台の上に設けられた露天風呂は視界をさえぎるものが全く無いので、特に湧蓋山方向の眺望が素晴らしい。雄大な自然の景色を眺めながら入る露天風呂の爽快さは、もはや言を待ちません。しかもそのお湯が青白色の濁り湯なんですから、余計に興奮してしまいます。屋根付きなので雨が降っていても大丈夫。
こちらのお湯の色についてはホワイトブルーやコバルトブルーなどの表現が用いられており、それに対して実際に利用したお客さんからは「そんな色には見えなかった」という疑問の声が某クチコミサイトに寄せられていますが、硫黄のお湯が濁って見えるということは硫黄コロイド(微粒子)が太陽光を散乱させることによって起こる現象でして、すべての波長の光を散乱(ミー散乱)すれば乳白色に、湯中のケイ酸等によって波長の短い青い光だけを散乱(レイリー散乱)すれば青っぽく見えるわけですが、温泉のコンディションや太陽光の状況(つまり天候)によって可視光線の散乱状態が異なるのは当然であり、それぞれに微妙な変化があるだけで見え方にも大きな違いが出てくるのですから、常にホワイトブルーやコバルトブルーに濁っているわけではないのであります。従って「コバルトブルーじゃないぞ!嘘つき!」だなんて文句を垂れるのは野暮な話です。別に施設側の方を持つわけじゃありませんが、期待していた色が見られなくても、仕方ない、の一言で諦めてニコニコして過ごした方が、きっと幸せになれると思います。
で、私が実際に見た色は、若干灰色混じりの青白色でした。晴れていたらもっと明るい色だったと思いますが、雨雲が低くたちこめている空模様でしたので、仕方ありません。透明度は50cmほどでしょうか。弱めながら硫黄臭が漂い、まろやかな弱めの塩味が感じられました。いかにも食塩泉的なすべすべした気持ち良い浴感です。
分析表によると源泉温度は95.7℃とほとんど熱湯なのですが、加水しているのか、将又投入量を絞っているためか、全体的にはぬるめの湯加減でした。
全体的に簡素な感じは否めませんが、500円で宏大な景色を眺められる白濁した露天風呂に入れるのですから、この上なく素敵な施設だと思います。こうした温泉を当たり前のように擁している熊本県って、本当に素晴らしいところですね。
ナトリウム-塩化物温泉 95.7℃ pH8.53 溶存物質2805mg/kg 成分総計2805mg/kg
熊本県阿蘇郡小国町西里2917
0967-46-5525
ホームページ
大露天風呂
8:00~20:00・無休・500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
檜露天風呂
8:00~20:00・無休・1500円/1時間
全5室
全5室
家族露天風呂
24時間・1200円/1時間・全6室
家族風呂
24時間・800円/1時間・全6室
私の好み:★★★