温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯ノ花温泉 共同浴場めぐり (その1 弘法の湯・天神湯)

2011年06月10日 | 福島県
福島県の旧舘岩村(現南会津町)には木賊温泉と湯ノ花温泉というファン好みの温泉がありまして、かくいう私も両地には何度も足を運んでおり、その度にお湯と雰囲気の良さに惚れ惚れしちゃうのですが、今回は私を湯ノ花温泉の虜にした4軒の共同浴場について書き綴ってみたい次第です。


国道352号を町役場支所付近で折れて県道350号を南下すると、数キロ走るだけで湯ノ花温泉に到着。車があれば容易にアプローチできます。その僅かな間には、昔の人が苦労して山間を切り拓いた畑が広がっており、夏から秋にかけては白い可憐な蕎麦の花で埋め尽くされます。

 
湯ノ花温泉の共同浴場を利用するには事前に入浴券の購入が必要です。私が初めて当地を訪れた時には現金で利用できましたが、2008年から入浴券制が導入されました。集落内の指定の商店や旅館で入手できますが、用事もないのに旅館の戸を叩くのは気が引けますので、我々のような外来者は集落の中心にある「星酒店」を利用するといいかと思います。星さんという名前はいかにも会津南部らしいですね(有名な話ですが、お隣りの檜枝岐村に至っては村民の姓が星・橘・平野の3つで占められているほどです)
この券を一人一枚購入すれば、4軒ある共同浴場を一日中入り放題。各浴場とも管理人不在であることが多いなので、特に誰かに券を提示するようなことはないのですが、もし管理している方から提示を求められたら、応じるようにしてください。なお券は一番最後に利用した浴場の回収箱へ投入すればOKです。


●弘法の湯

集落のど真ん中に位置する共同浴場。一番わかり易い立地で、且つ一番使いやすいお風呂でもあるかと思います。たしか、温泉を特集している各社のガイドブックにも頻出している施設ですので、編集の人間たちもここなら誰に薦めてもよいだろうと判断しているに違いありません(勝手な想像ですが)。

内部はウッディな雰囲気で休憩スペースもあり、とても山奥の集落の共同浴場とは思えない立派で綺麗な建物。各地の鄙びた共同浴場を巡った後にこの弘法の湯へ再訪すると、いかにここがちゃんとした造りであるかを再認識させられます。なお、私が訪問する時にはいつも無人なのですが、他の方のレポートによると、管理人がいらっしゃる時もあるそうです。

 
浴室はモルタル造の質素なものですが、寒村の共同浴場には似つかわしくないシャワー付き混合栓が2基設けられており、使い勝手良好。角が丸い5~6人サイズの浴槽にドボドボお湯が投入され、しっかり掛け流されています。清滝の湯源泉が引かれており、無色透明無味ながら仄かに香ばしい匂いが漂い、ほんのりトロミのあるお湯です。きしみのある浴感。源泉からの引湯距離が長いからか、熱いお湯が多い湯ノ花温泉の中では一番湯温が低くて、丁度良い湯加減。
素朴ながら現代人が求めるお風呂の要素をひと通り兼ね備えているため、集落内の他の共同浴場を巡って「ちょっと鄙びすぎてるよぉ」とか「混浴は無理」とか「熱すぎる」なんて感想を抱いた方にとって、利用できる浴場はここ「弘法の湯」の一択になっちゃうでしょうね。
別の見方で考えれば、これから各地の鄙びた温泉巡りをしてみたいが、どこから手を付けたらよいかわからない、という方がもしいたら、ここから始めてみればきっと無難なスタートを切れるのではないかと思います(全く以てどうでも良い主観、失礼しました)。

清滝の湯
単純温泉 60.5℃ pH8.2 31.1L/min(自然湧出) 溶存物質575.7mg/kg 成分総計575.7mg/kg
(加水加温循環消毒なし)
地図
ロッカーあり、他の備品類なし


●天神湯
 
集落を貫くメインストリートの道端、橋の袂の路面から下がった位置に建てられている可愛らしい湯屋。気をつけて探さないと見逃しちゃうかもしれませんが、弘法の湯からは目と鼻の先ですから、橋を目印に集落中心を歩いていれば見つけられるでしょう。


素朴な木造湯屋の戸を開けると、そこはいきなり脱衣所になっており、そして隔たりなく浴室が続いています。浴室がひとつだけ、つまり混浴です。窓の外を見ると、目下には湯ノ岐川が流れ、入り口の扉からは浴室が丸見え。かなり開放的な造りです。
コンクリ打ちっぱなしの洗い場には、角が取れた大小の浴槽がひとつずつ据えられ、成分の析出でトゲトゲのサンゴみたいになった湯口から熱々の源泉が注がれています。

 
使われている源泉は「弘法の湯」同様に清滝の湯源泉ですが、湯船では適温な「弘法の湯」と異なり、こちらはかなり熱い。特に湯口から直接注がれている主浴槽が顕著で、或る時に測ってみたら47.6℃もありました(画像参照)。これでは一般の方はおろか、熱いお湯に入り慣れている私でもそのままでは無理。でもあんまり加水したくないので、桶でかき混ぜてお湯を揉んだ上で、なんとか歯を食いしばって入浴。そんなことしたくない方は、お隣りのミニミニ浴槽なら若干温度が下がっているので大丈夫かも。でも一人入るのがやっとな程に小さいサイズ。
質素な温泉に慣れていない方にとっては、開放的すぎる造り、混浴、熱さ、という3点が高いハードルとして立ちはだかりそうな浴場といえそうです。でも雰囲気は最高なので、なんだかんだ言ったって私の心は惹かれてしまいます。

清滝の湯
60.5℃ pH8.2 31.1L/min(自然湧出) 溶存物質575.7mg/kg 成分総計575.7mg/kg
(加水加温循環消毒なし)
地図
備品類なし




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