温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

阿蘇内牧温泉 新穂湯

2011年06月03日 | 熊本県
 
たくさんある阿蘇内牧温泉の共同浴場のひとつです。2軒ほど隣にはやはり共同浴場の「雲海薬師温泉」があるので、どちらに入ろうか迷ったのですが、今回はアットホームな雰囲気が漂っていそうな「新穂湯」を選択しました。
画像では庭木に阻まれて湯屋がよく見えませんが、「新穂湯」と彫られた石が置かれていなければ、普通の民家と勘違いしてしまいそうな外観。本当にここで良いのかあたりをウロウロしていると…

 
湯屋の左隣に建つ母屋から小学生の坊やが「お風呂はここですよ」と言いながら出てきました。その声を聞いて安心した私の顔を見るやいなや、坊やは「200円です」とすかさず口にし、まさか子どもが対応するとは思わずにキョトンとしていたら、続けてそつなく「あそこがお風呂の入り口です」と離れの湯屋を指さしました。よほど接客に慣れていると思われますが、小さいうちから客の先手が打てる能力を持っているのですから、将来どんな大人になるんでしょうか。
後ほど母屋を改めて見てみると、玄関に「番台はこちらです」と書かれた紙や料金表が貼ってありました。そして表札には「新穂」の2文字が。浴場名はこちらのオーナーさんの苗字だったんですね。


湯屋は無人ですが、近年新築(改築?)されたらしく、館内はどこも綺麗で清潔、特に脱衣所では建材の匂いが漂っていました。
お風呂は男女別の内湯がひとつずつ。石板貼りの扇形の浴槽があるのみです。無色透明で芒硝の匂いと味を有し、トロミのあるお湯です。湯温は42℃くらいでしょうか。しっかり掛け流されています。


浴室内には画像のような上がり湯(掛け湯)専用槽があるのですが、どうやらここのお湯はどうやら浴槽のお湯と異なる源泉を使っているのです。見た目はごく薄い褐色透明、モールのような匂い+アンモニア的匂い+弱い金気臭と金気のような味を帯びており、浴槽のお湯とは明らかに違う特徴です。つまりこの施設では2つの源泉を持っているわけですね。さすが阿蘇内牧、源泉数が豊富なだけあります。2つの源泉の内、片方を掛け湯限定にしているのは、例えば湧出量が限られているなど、浴用とするには支障があるからでしょうか。

民家の軒先に建てられた離れの小さな湯屋ですが、綺麗でシンプルでお湯も良く、ほのぼのしていてなかなか面白い共同浴場でした。こうしたお風呂が街角にごく自然に存在しているんですから、内牧って素敵な場所ですね。



内牧温泉(新穂湯)
ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩泉 44.0℃ pH7.6 67L/min(動力揚湯) 溶存物質1560mg/kg 成分総計1570mg/kg

熊本県阿蘇市内牧46-1  地図
0967-32-1131

7:00~22:00 無休
200円
備品類なし(新穂さん宅でタオル・石鹸の販売あり)

私の好み:★★★

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阿蘇内牧温泉 大阿蘇

2011年06月03日 | 熊本県
 
阿蘇温泉郷の中でもズバ抜けて源泉数が多い阿蘇内牧温泉には共同浴場が11軒もあり、共同湯巡りが好きな人間にとっては垂涎の地であります。今回取り上げる「大阿蘇」の本業は旅館なのですが、その浴場は銭湯として地元の人から愛用されており、だれでも気軽に利用できるので、私も行ってみることにしました。民家のような瓦屋根の上に「天然温泉」と書かれた看板がよく目立つ湯屋は、明らかに小規模共同浴場そのものであり、とても旅館のお風呂だとは思えぬ佇まいです。


この施設は基本的に無人のようで、男女が別れている入口のドアを開けると、そこには料金入れがありました。これだけなら別に珍しくありませんが、料金を実際に投入すると、投入口からチリンと鈴の音が鳴るんです。ちょっとした細工ですが、これで無銭入浴を防いでいるわけですね。それにしても100円という料金設定は驚きです。
ちなみに脱衣所には熊本県の温泉には必ず備え付けられている扇風機がありません。


お風呂は浴槽が一つあるだけの極めてシンプルな造り。自家源泉のお湯はほぼ透明ながら微かに薄い灰青色を帯びているように見えます。口にすると甘み+微金気+微苦味が、そして微金気臭+微硫黄臭が感じられます。トロミのあるお湯で、40℃くらいで長湯できる湯加減。弱めですが気泡の付着も見られます。苦味の正体は硫酸マグネシウムでしょうか。100円の共同浴場であまりお目にかかれない正苦味泉に入れるとは嬉しい限りです。

浴室内には体を洗うためのカランが無いのですが、利用客は常連さんが多いために使い勝手は手馴れており、皆さんは必ず湯口付近で脱衣所を向いて洗髪をしていました。そのスタイルがこちらの流儀のようです。


浴槽の上には温泉の効能が箇条書きされているのですが、浴用の適応症より飲用の適応症の方が多い点が興味深いところ(浴用は8つで飲用は16こ)。常連さんもしきたりかのように皆さん必ず飲んでいました。

シンプルなお風呂ですが、掛け流しで芒硝泉と正苦味泉それぞれの特徴がよく出ている良いお湯でした。えてして良質なお湯に入れる施設ほど安い料金だったりしますが、ここはその典型ですね。おすすめです。


阿蘇温泉(大阿蘇旅館)
ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩泉 44.5℃ pH6.87 98.5L/min(掘削自噴・149m) 溶存物質1782.6mg/kg 成分総計1807.1mg/kg

熊本県阿蘇市内牧135  地図
0967-32-0157

7:30~22:00
100円
備品類なし

私の好み:★★★

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岳の湯温泉 ゆけむり茶屋

2011年06月03日 | 熊本県
 
湧蓋山北西麓に位置する岳の湯集落には高熱蒸気の噴出地帯があり、集落のあちらこちらから白い湯気がモクモクと上がっていて、温泉好きな人間なら誰しも興奮してやまない光景が広がっています。集落ではその噴出する蒸気を「地獄蒸し」として食材のボイルなどに利用しており、噴気口が露出している場所のみならず民家の軒先にも「地獄蒸し」が設置されていて、地熱と人々の生活が密接に結びついていることがよくわかります。


当然温泉も湧いており、このような地元民専用の湯小屋も建てられています。どんなお風呂なんでしょうね。入ってみたいなぁ。


さてこの集落のど真ん中にある公営の日帰り入浴施設が「ゆけむり茶屋」。地元の木材を用いて建てられた落ち着いた雰囲気の建物の中には、温泉浴場の他、地場農産品の産直販売所やイートインコーナーなどが設けられており、早い話が地域振興を目的とした観光施設になっています。
この手の入浴施設は得てして使い勝手は良くてもお湯に難がある場合が多いのですが、果たしてこちらはどうでしょうか。


敷地内には湯煙が昇るオブジェが置かれています。もちろん湯気は本物です。この他にも実際に調理できる地獄蒸しの器具も設けられていました。

 
よく手入れされた使い勝手のよい脱衣所を抜けて浴室へ。浴室内には大きな内湯とサウナ、水風呂がそれぞれひとつずつ。サウナは高熱蒸気の豊富な当地らしく、温泉蒸気を利用した蒸し風呂になっています。
お湯は無色透明。30%加水しているためか、分析表では「微硫化水素臭・微塩味」と表記されていましたが、お風呂では匂い・味ともあまり感じられませんでした。加水されているとはいえ、お湯はしっかり掛け流しており、鮮度感も実感できました。

綺麗で使い勝手も良くてお湯も掛け流し。サウナも温泉を活用している。これだけ良い条件が揃っているのに、あくまで個人的な意見ですが、なぜかこの浴場はあまり印象に残っていないんです。お風呂と産直売り場と食堂が一緒になっているような公営施設って、竹下内閣のふるさと創生事業以来、全国至るところに建設され、それぞれで地元の魅力を発信しようと苦心しているようですが、結局は大同小異で似たり寄ったりになってしまう場合が多い気がします。私はそれと同じ印象をこの「ゆけむり茶屋」にも抱いてしまったに違いありません。せっかく地熱資源が豊富なんだから、お風呂とサウナなんて当たり前の設備じゃなく、岩盤浴や多種多様な蒸し風呂など、近隣の温泉施設とはちょっと違ったテイストで勝負したほうがいいんじゃないかと思うのですが…。ま、一個人の勝手な発想なんですけど。

(以下、与太話)
でもお湯とは関係ない部分で記憶に残っていることがひとつ。湯船に浸かっていると後から地元のお爺さんが入ってきて、明らかな他所者である私に話しかけてきました。「どこから来たの?」から始まって四方山話に花を咲かせたのですが、お爺さんの話を聞いているうちに東京の地名が頻出することに気付き、なぜそんなに東京について詳しいのか聞いてみたのです。するとお爺さんは「陳情に行くことが多かったからね」と答えてくれました。最近は行っていないが、数年前までは地元代表団の一人として度々永田町や霞が関に飛んでいたそうです。そして「松岡先生にはお世話になったもんだよ」と語っていました。松岡先生って、典型的な族議員でいろんな疑惑が掛けられ西のムネオと呼ばれた挙句に自殺してしまった松岡利勝のことでしょう。なるほど松岡氏は阿蘇の人間でしたね。族議員の利益誘導政治には怒りを覚えますが、でも地方の方々にとっては救世主である側面も否めず、都会に住む私がお爺さんに対して松岡氏の行状についてあれこれモノ申す筋合いは無く、そもそも政治の話はややっこしい展開になってしまうので、もうそれ以上はお茶を濁すことにしたのですが、もしかしてこの「ゆけむり茶屋」もいわゆるハコモノとして建設されたものだったりするんでしょうか。どうでもいい妄想ですが、もしこの施設が明確なビジョンの無いハコモノであるならば、施設としての面白みが欠如しているのも当然かと思ったりもしました…。以上、床屋談義以下の無駄話、大変失礼いたしました。


ナトリウム-塩化物温泉 97.8℃ pH8.69 掘削自噴(222m、湧出量不明) 溶存物質2445mg/kg 成分総計2445mg/kg 

熊本県阿蘇郡小国町西里岳の湯2816  地図
0967-46-5750

10:00~21:00 木曜定休(祝日の場合は営業)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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