温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大平温泉 滝見屋

2011年06月16日 | 山形県
米沢十湯の中では最も秘境感が強いのではないかと思われる大平温泉。残暑厳しい初秋の某日、雨上がりの直後で路面から湯気が立ち上る最中を、立ち寄り入浴で行ってみることにしました。

 
大平集落が終わるところから宿への一本道がスタート。路傍の黄色い看板には目的地まで7km・30分、さらに徒歩13分、と記されています。

 
車一台しか通れない狭隘な山道は部分的にダートが残っていました(もしかしたら現在はほとんど舗装済かも)。途中、我が愛車「アクセラ」の場合は何度か切りかえさないと曲がれないようなヘアピンカーブがあったり、AT車なのにわざわざMTモードにして1速に落とさないと登れない急な坂路があったり、かなり険しい道なのであります。


舗装されているものの、片方の路肩が断崖絶壁だったりする箇所も。ガードレールが無いから、脱輪したら谷底へ真っ逆さま。私は山道を走り慣れているつもりですが、それでもここで対向車が来たら泣いちゃうだろうな。ここに比べたら、姥湯へ行く道なんて屁の河童です。

 
冷や汗をかきつつ駐車場に到着。駐車場といっても、道幅がちょっと広くなった程度のスペースですが、車で進めるのはこの駐車場まで。ここからは宿が建つ最上川源流の谷底まで歩いていきます。親切にも、駐車場から宿までのルートや距離を記した地図の看板が掲示されています。

 
谷底へ向かって約800mのジグザグ坂道を下りていきます。轍もあるし、一応軽自動車なら通れそうな幅員なので、おそらく宿の業務用軽トラが通るんでしょうね。でも復路はこの坂道を登って帰らないといけないわけだ…。ちなみに私の場合、駐車場からの下りは15分、帰りの登りは20分かかりました。

 
谷底まで到達すると、今度は吊り橋を渡ります。一度に5人以上乗らないでください、とのこと。ここまで来ればもうゴールはすぐそこ。

 
橋を渡ればまもなく宿に到着。意外にも立派な建物です。施工にあたった大工さんはさぞかし苦労したことでしょう。玄関で声をかけ、料金を支払って露天風呂へ。日帰り入浴は露天風呂限定です。


露天風呂は川岸にそって手前から男湯・女湯・貸切風呂・足湯・打たせ湯の順で並んでいます。この画像は男湯ですが、訪問時は清掃中でしたので入浴できず…


このため、本来は宿泊客しか入れない貸切風呂を使わせていただきました。

 
さすがに普段は日帰り客に開放されていないお風呂だけあって、ここの各露天風呂の中では一番良いかも。他の浴槽も渓流沿いの素晴らしいロケーションなのですが、ここは目の前で2本の沢が合流しており、その様が眺められるだけでなく、一番ひらけているので開放感も群を抜いているのです。

 
奥の方には打たせ湯や足湯も。

 
話を戻して貸切風呂から川を眺めると、対岸になにやら石碑が立っているので、カメラのレンズをズームにして撮ってみると、そこには「最上川源流之碑」と彫られていました。酒田で日本海に注ぐ最上川は渺茫たる大河ですが、その源流はこんなにも細い沢なんですね。山形県の形は大雑把に表現すると最上川の流域の形状そのものですが、その形状の源がここにあるわけです。五月雨をあつめて早し最上川。松尾芭蕉だってここに立ったら感激するでしょうね。


梢に隠れて見えにくのですが、奥の方には火焔の滝が轟音を響かせていました。その音はお風呂でもはっきりと聞こえます。


お湯はうっすら黄色の透明、薄い膜状でくすんだ灰白色の湯の華がたくさん浮遊しています(湯口付近は顕著)。ごく弱いタマゴ臭に土気臭や石膏臭が混ざったような匂いが感じられ、口に含むといかにも硬水って感じの味と石膏的な甘み。いかにも石膏泉といわんばかりのキシキシとした浴感です。もちろん加温加水など人の手は一切加えられていません。険しい道をやってきた人だけが楽しめる、人里から完全に隔絶された極上の露天風呂ですね。


大平1号源泉(仙郷の湯)
カルシウム-硫酸塩泉 62.8℃ pH7.2 自然湧出(引湯距離100m) 蒸発残留物1149mg/kg 溶存物質1150mg/kg

山形県米沢市李山12127 地図
0238-38-3360
ホームページ

営業期間 4月下旬~11月初旬
日帰り入浴時間 9:30~15:30
500円
露天風呂には備品類なし

私の好み:★★★

コメント (1)
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