温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

五色温泉 宗川旅館

2011年06月15日 | 山形県
※残念ながら2020年11月末で閉館しました。

「鬼県令」三島通庸でおなじみの国道13号「万世大路」を福島から米沢へ向けて走っている際、東栗子トンネルを抜けて左折し、県道を板谷駅方面へ向かう途中の丁字路で右折すると姥湯温泉・滑川温泉・峠駅方面へつながりますが、左折すれば同じく米沢十湯のひとつである五色温泉にたどり着きます。山道には違いありませんが、姥湯や滑川への道に比べるとはるかに広くて走りやすいので、スリルのあるワインディングが好きな方にはちょっと物足りないかもしてません。どうしても秘湯感溢れる硫黄泉の姥湯と滑川に人気を奪われがちな五色温泉。かくいう私もひたすらパスし続けてきたのですが、某日たまたま国道13号を走っていたので、いつまでも無視し続けるのは良くないと思い、立ち寄ってみることにしました。

 
五色温泉は「宗川旅館」の一軒宿のみ。江戸時代から湯治宿として歴史を重ねてきたんだそうです。こちらのお宿では日帰り入浴は露天風呂にしか入れませんが、訪問時は生憎の天気だったため、宿の方のご好意により特別に内湯に入らせていただきました。広く立派な玄関にはお馴染みの「秘湯を守る会」提灯がぶら下がっています。

 
古びたドームが印象的なこの内湯。洞窟風呂みたいですね。浴槽は湯口がある奥側と手前側に分かれており、お湯は奥から手前と流れてくるので、手前側浴槽は若干ぬるめ。静かながらしっかりと掛け流されています。


お湯は無色透明ですが、湯口や湯面の際は赤茶色く着色しており、奥側浴槽の底のタイルも赤く染まっています。そんな色のイメージ通りにうっすら金気臭が漂っており、口に含むとやはりうっすらと赤錆のような味、硬水のような味、そしてある種の金属を舐めた時に感じるような微かな酸味が口腔に広がります。金気やカルシウムの影響か、結構引っかかる浴感。湯口付近やオーバーフローの流路に白く析出しているのはカルシウムでしょうね。
ちなみにこの温泉はかつて子宝の湯と云われたそうですが、鉄分を多く含む温泉はえてしてそのような形で珍重されることが多いようですね(日本のみならず台湾の瑞穂温泉でも同様でした)


せっかくなので露天も覗いてみることに。
宿泊棟の下を通る舗装道路を100mほど歩いてゆくと、道の真中に車の行く手を阻むバリケードが置かれており、その手前に露天風呂と書かれた看板が立っていました。

 
その看板のところから斜面を下ると、木々に囲まれるようにしてひっそりとお風呂が佇んでいました。一応入口とお風呂との間には衝立が立てられ、男湯女湯の区別がなされていますが、それはあくまで脱衣スペースに限ったことであり、浴槽はひとつしかないので必然的に混浴。虫避けのためか周囲をネットで囲まれ、さらには木々の枝が茂っているため、あまり開放感は得られず、どちらかというと野趣を居楽しむためのお風呂なのかもしれません。この時は雨脚が強かったのでこの露天風呂には入浴せず。 

さて当地を去った後に宗川旅館について調べてみると、露天風呂はあの野趣あふれる浴槽だけではなく、宿泊棟からちょっと上がったもうひとつの別棟に半露天風呂があり、そここそが本来日帰り入浴客が入れるお風呂だったことを知ったのです。事前に何も調べず思いつきで立ち寄ったので、そんなことには全く気づきませんでした。とっても間抜けです。従いまして、その露天風呂について知りたい方はお手数ですが他の温泉ファン諸氏がわかりやすく紹介しているサイトをご参照ください。どうやらかなり良い雰囲気らしいので、また近くを通ったら再訪しなくては…。


5号源泉
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物泉 45.9℃ pH6.4 蒸発残留物837.8mg/kg 溶存物質1064mg/kg

山形県米沢市板谷498  地図
0238-34-2511

※残念ながら2020年11月末で閉館しました。
日帰り入浴時間10:30~15:30(露天風呂のみ)
500円
内湯のみシャンプー類あり、他はなし

私の好み:★★
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滑川温泉 福島屋

2011年06月15日 | 山形県

米沢十湯のひとつで姥湯温泉へ向かう一本道の途中にある一軒宿。たまたま私だけの経験かと思いますが、どういうわけか旅する中で出会った温泉ファンと語り合っていると、必ずといってよいほど頻出するのがこの福島屋さんでして、中には姥湯より滑川の方が良いと仰る方もいらっしゃるほどです。良いと評価するに当たってはお湯のみならず、接客や食事、部屋、雰囲気などいろんなファクターを総合しているかと推察されますが、私は日帰り入浴でしか訪問したことが無いので、お風呂だけの文章とさせていただきます。

 
仙境の湯治宿らしいしっとりとした佇まい。玄関には日帰り入浴でどのお風呂に入れるかを示したボードが立てられています。この時は露天も内湯もOKでした。時間帯によっては女性専用だったり清掃だったりと、お風呂によって時間割が細かく設定されているので、ご利用の際には確認を。

 
まずは露天から行ってみます。一旦館内に入り、露天専用の出入り口でスリッパに履き替えて屋外へ。露天風呂は2つあり、しばらく歩いた一番奥に「岩露天風呂」というストレートなネーミングの露天風呂があります。噂では混雑必至と聞いていましたが、この日は雨のためか先客ゼロ。雨男である自分の天性に感謝。

 
歩道から沢の方へ下りてゆくと、名前の通り岩で囲まれた湯船が青白いお湯を湛えていました。お風呂の傍らに質素な小屋があるので、そこでお着替え。こういう小屋に興奮するか拒否感を抱くかが、秘湯を好きになれるか否かの分かれ目なんでしょう。時間帯によって混浴と女性専用に分かれますので、この小屋で着替えたり開放的な露天で入浴することに抵抗のある女性は、是非女性専用タイムを狙ってください。


渓流のせせらぎを耳にしながら神秘的な青白色のお湯に浸かる幸せ。日本人に生まれて良かったと思える瞬間であります。お風呂に人工的な屋根はありませんが、木の枝が頭上に覆いかぶさっているので、多少の雨ならしのげるはず。

 
湯船では青白く見えるお湯ですが、湯口でじっくり観察すると、元々は無色透明であり、空気に触れたり温度が下がったりすることにより濁りが発生しているわけで、ここに限らず白濁系の硫黄泉ではよく見られる現象ですが、特に湯口付近では大小さまざまな大きさの湯ノ花が浮遊していました。弱いタマゴ的な硫化水素臭と、タマゴ味に甘み、そして遅れて苦みが感じられました。弱めのツルスベ浴感で若干ひっかかり感も混在。自然豊かな環境ゆえ、湯面に昇天なさった虫や蛙が浮いているのは御愛嬌。

中の湯源泉
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
51.2℃ pH7.1 溶存物質1249mg/kg


 
次はもうひとつの露天風呂「桧露天風呂」。基本的に混浴ですが、「岩露天風呂」に比べて脱衣小屋が小奇麗でちゃんとしており、宿泊棟側からの視線も遮られているので、女性にはこちらの方がおすすめかな。三角形の浴槽には「岩露天風呂」と同じく中の湯源泉の青白いお湯が注がれていますが、浴槽が小さめな分、こちらの方が若干熱めでした。


つづいて内湯にもGO。
内湯は混浴の大浴場と女性用浴場の2室。私は男ですから大浴場へ。

 

天井が高くガラス窓も広くとられているので、開放感があって快適な室内。御影石造りの浴槽が落ち着いた雰囲気を醸し出し、また腰かけた時の肌触りも気持ち良い。湯口からは滔々とお湯が注がれています。無色透明なお湯の中を白く小さな湯ノ花が舞っており、タマゴ臭が優しく香っています。苦みとタマゴ味が同時に感じられ、苦味は露天(中の湯源泉)より若干強めだったような気がします。また浴感も露天よりもツルスベが増しているようでした。
お客さんはどうしても露天に集中してしまうためか、この内湯は比較的空いているらしく、訪問時もひたすら独占。お湯の質感といい、静かで落ち着いた浴室の空気感といい、私は露天よりもこの内湯の方がはるかに気に入りました。いつまでも浸かっていたい夢見心地のお湯でした。


大浴場
上の湯源泉・下の湯源泉混合
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 46.4℃(上の湯53.6℃、下の湯40.4℃) pH7.2 溶存物質1086mg/kg

女湯
上の湯源泉
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
53.6℃ pH7.1 溶存物質1232mg/kg



 
ところでこちらのお宿では、館内で使う電気の全てを自家水力発電によって賄っており、その出力は18kW。東北電力からの供給は受けていないんだそうです。自然エネルギーが俄然注目されている今のご時世、まさに理想的なスタイルですね。


山形県米沢市大字大沢15  地図
案内所0238-34-2250
現地衛星電話090-3022-1189
ホームページ

日帰り入浴可能時間 9:00~16:00
営業期間 4月28日~11月5日(雪の状況により変更有。冬期休業)
お風呂の時間割はこちらを参照あれ(お風呂・曜日・時間によって細かく設定されています)
500円
内湯にはシャンプー類あり、ドライヤー貸出

私の好み:★★★
コメント (2)
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