温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

新高湯温泉 吾妻屋旅館

2011年06月20日 | 山形県
米沢十湯のひとつで白布の奥に位置する一軒宿。こちらは、旅館の本業はあくまで宿泊である、という断固たる姿勢を貫いていらっしゃるようでして、一応立ち寄り入浴は可能ですが、ここでは「お試し湯」という独自の用語を用いており、この言葉には上述の姿勢の他に「入浴だけで、休憩などで部屋は使えません」という意味も込められているらしく、入浴可能時間も4時間とかなり短いのであります。たしかに旅館は泊まってみないとその宿の本当の良さはわかりませんので、立ち寄り入浴だけで能書きを垂れる私のような輩は典型的な野暮なのかもしれません。

 
ネット上では実際に訪れた温泉ファンが「車で険しい道を登るから注意」と脅かしている文章を散見しますが、おそらくそれは冬季に限った話であって、少なくとも雪が全くない時期に訪れた私は道に関して全く恐怖感など抱きませんでした。立ち寄り入浴の客は、宿からかなり手前に設けられた専用の駐車場に車をとめ、そこから坂道を歩いて上がります(ここでも明確に宿泊客との区別を図っているわけです)。


道の途中で見上げると宿の本棟と露天風呂の屋根が…。


 
坂を登り切って本棟へ行って料金を支払い、ゲートを潜って露天風呂エリアへ。
「お試し湯」で入れるのは露天風呂の4つ。うち「大岩たぬき風呂」は女性専用(宿泊者は時間帯により男性も入浴可能)ですので、男性は「混浴展望露天」「根っこ風呂」「源流滝見の湯」に入れます。まずは「混浴展望露天」から。


ちなみにこちらが女性専用の「大岩たぬき風呂」の外観。

 
こちらが「混浴展望風呂」
屋根が掛かっているので雨でも入浴できる造り。脱衣所はとても簡素です。
たしかに展望風呂には違いありませんが、見晴らせる景色は宿へ向かう一本道と山林、そして電信柱と電線だったりして、そんなに期待できるものではありません。屋根のおかげで爽快な開放感が得られるでもなく、なんとなく中途半端な感は否めません。また、私の訪問時だけかもしれませんが、お湯の嵩がちょっと浅く、若干寝転ばないと肩まで浸かれないような状況でした。なおその時の湯面より10cm上に白い析出のラインが浴槽側面に付着しており、これがいつもの湯面かと思われるので、きっと私の訪問したタイミングが悪かったのでしょう。


ここで注意しなくちゃいけないのが、足元がめちゃくちゃ滑りやすいこと。歩くと誰しも必ず滑ってバランスを崩すはず。私は2~3度ズルっと滑り、風呂入ってるのに冷や冷やしちゃいました。その原因は浴槽の底に溜まっている湯の華のようでして、大小の白い湯の華がたくさん沈殿しているのですが、こいつが矢鱈と足元を掬おうとするのです。
さて肝心のお湯ですが、無色透明、弱いタマゴ味+石膏味+甘み、弱いタマゴ臭+石膏臭を帯びており、キシキシとした浴感で、上述のように白い大量の湯の華が印象的です。
この露天風呂には洗い場が無いので、浴槽から直接お湯を汲んで掛け湯するわけですが、なぜか桶も柄杓も用意されておらず、掛け湯にはえらく苦労しました。なお場所柄、虫の死骸もたくさん浮かんでいましたが、これは仕方ないでしょう(桶などがあれば客でも容易に取り除けるのですが…)


 
次に「根っこ風呂」に入ってみます。
樹齢500年の大木の幹をくり抜いて作られた一人用の浴槽がふたつ。一方は幹を横にしたもので、もう一方は名前のとおりに根っこの部分をくり抜いたもの。かなり年季の入ったものですが、なかなか立派です。こちらにも源泉が掛け流されており、浴槽が小さいためか、展望露天風呂よりもお湯の鮮度が良く、湯加減の熱めで、味や匂いもはっきりしていました。もちろん白い湯の花も沈殿。今回入った3つの露天風呂の中で、私個人は(お湯が良いコンディションだったために)一番気に入りました。


 
最後に「源流滝見の湯」。ここはとっても良いロケーションですね。滝を鑑賞しながら入る露天風呂って誰でも感動するでしょう。訪問時は運悪く清掃直後だったためにまだお湯が完全に張られておらず、湯嵩が浅くて満足に入れませんでしたが、湯口におけるお湯のコンディションもキリっとしていたので、ちゃんとお湯が満たされた状態で入れたらきっと思い出に残るお風呂になったに違いありません。

総じた感想としては、たしかにお湯は良いけど、米沢十湯の他の宿にあるお風呂に比べると、景観や雰囲気など諸々の面でちょっとインパクトに欠けてしまう感が否めません。訪問したタイミングも悪かったのが残念でした(清掃直後でまだお湯が完全に張られていなかった…)
でも、実際に宿泊した方の感想を拝読すると、評判がかなりよろしく、また宿のホームページに掲載されている写真を見る限りでは内湯の雰囲気がかなり良い。やはり宿泊しないとここの良さはわからないのかもしれません。


安部源泉
含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉 55.6℃ pH7.0 170L/min(自然湧出) 溶存物質1452mg/kg 成分総計1467mg/kg

山形県米沢市関湯の入沢3934
0238-55-2031
ホームページ

立ち寄り入浴時間12:00~16:00
500円
露天には備品類なし

私の好み:★★
コメント
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