ちょうど1年前の2015年7月某日、不摂生な体でも頂上へ到達できるお手軽な山に登りたくなって、北アルプスの乗鞍岳へ登山しました。
畳平というスタート地点が既に結構な高所であり、かつ登山道がよく整備されていて、これといった難所も無いため、運動不足の私でも容易く頂上まで登れちゃいました。上画像は乗鞍岳の山頂部最高点である剣ヶ峰(3026m地点)と、そこに建立されている乗鞍本宮のお社です。
山裾に残る雪渓では夏スキーを楽しむ子供たちの歓声が上がっていました。
乗鞍コロナ観測所の奥には、焼岳や穂高連峰など北アルプスの険しい稜線が果てしなく連なっています。
南を向くと、前年に爆発した御嶽山が唯我独尊と言わんばかりに威風堂々と聳えていました。
こんな美しい山が時として牙を剥くとは…。
頂上直下で青インクのような神秘的な色の水を湛えているのは権現池。その池越しの彼方で稜線を展げているのは白山連峰。
山裾、とりわけ畳平付近の花畑は高山植物の宝庫。短い夏を謳歌するように色とりどりの可憐な花が元気いっぱいに咲いていました。
この黄色い花の群生はミヤマキンバイかな。
ハクサンイチゲは大きな群生をつくっていました。
この山ではクロユリも群生をなしており、あまりの数の多さに大興奮。
こんな可憐で魅惑的な花なのに、ハエを呼び寄せるため匂いがクサイんですよね。
火山ですからガレにはコマクサも咲いています。
さて乗鞍岳登山で眺望と花々を満喫した翌日のこと。私は麓の乗鞍高原へと向かいました。メインストリートの向こうには私が登った乗鞍岳が聳えていますが、山頂は雲の傘を被っており、この景色を見ながら「前日登山しておいて良かった」と自分の運の良さに思わずニンマリ。
乗鞍高原を訪れた理由は「せせらぎの湯」で湯浴みするためです。私個人としては久しぶりの再訪であり、拙ブログでは2009年に一度取り上げておりますが、以前と全く変わらぬ姿、そして以前同様の利用形態が維持されていることに安心しました。なお以前の記事はこちらです。
無人の入浴施設だというのに、脱衣室は綺麗に維持されていました。管理なさっている方々のご尽力に感謝しながら入室させていただきます。
壁には盗難の注意を喚起するメッセージが直書きされていましたが、こんな清らかな環境の場所でも物騒な事件が発生してしまうのですね。
とても無人の露天風呂とは思えないほど、入浴ゾーンも手入れが綺麗に行き届いており、テラスのように設えられている総木造のお風呂には、白濁の硫黄泉が絶え間なく注がれていました。入浴ゾーンに足を踏み入れてから脱衣室側を振り返ると、壁には貴重品を引っ掛けるフックが数本刺さっていたのですが、つまり自分の目が届く場所で貴重品を管理しましょうということですね。週末など混雑が予想されるときにこちらを利用する際には、あらかじめフックにひっかけられる袋を持参しておくと良いかもしれません。
すぐ目の前には巨大な岩がせり出ており、こちら側へ転がってくるのではないかと恐怖感を抱いてしまうのですが、長年にわたって微動だにしないのですから、そんな心配は杞憂であり、むしろそのまま残すことによってワイルドさを演出しているのかもしれません。湯小屋の裏手には小川が流れており、お風呂までせせらぎの音が響いてきます。この小川が湯小屋の名前の由来なのでしょう。
木樋の湯口からお湯が滔々と注がれ、その流路は硫黄によって濃い黄色に染まっていました。ほぼ正方形の浴槽は3人サイズ。女湯浴槽との間は千鳥格子で仕切られており、お湯は男女間を往き来できるようになっています。湯船のお湯は灰白色濁りで、底面がボンヤリ見える程度の透明度があり、白い湯の華がたくさん沈殿していて、お湯を動かすとその沈殿が舞い上がります。実際に私が入浴したところ、糸くずのように細長い繊維状の湯の華が体にからみつき、全身湯の華まみれになりました。湯面からは噴気帯のようなツンとくる刺激を伴う硫化水素臭が漂い、お湯を口に含むと、タマゴ味とゴム味を足して2で割ったようなイオウ味、弱い収斂酸味、そして唇がビリビリ痺れる渋みや苦みが感じられました。引いたお湯を浴槽に張っているだけのお風呂ですから、循環や消毒などとは無縁の完全放流式。常時お湯がかけ流されており、かつ加水などしていないのに、湯加減は40〜41℃という長湯仕様になっているため、夢見心地で極上のバスタイムを過ごすことができました。こんな素晴らしい温泉に無料で入れるのですから、本当にありがたい限りです。管理くださっている方々に心から感謝です。
この「せせらぎの湯」を含めた乗鞍高原温泉一帯では、前日に私が登った乗鞍岳の中腹にある湯川源泉からお湯を引いて、各施設へ分配しています。温泉街の入口付近(「せせらぎの湯」の近く)に建てられている「開湯記念」の石碑によれば、以前から源泉の存在は知られていたものの、技術的な問題によって当地まで引湯することができませんでした。源泉の場所は白骨温泉から更に川を遡った大丹生岳東面の地獄谷にあり、当地からは山をひとつ越えなければなりません。しかし当時の村長が「地域の発展のためには、温泉が必要である」として引湯事業に取り組み、昭和51年11月22日に念願叶って開湯に成功したんだそうです。普段はのんびりと観光客を癒している温泉ですが、実のところ多大な苦難の上に成り立っているんですね。
湯川温泉
単純硫黄温泉(硫化水素型) 46.4℃ pH3.12 蒸発残留物660mg/kg 溶存物質805mg/kg
H+:0.6mg, Na+:65.4mg, Mg++:19.8mg, Ca++:62.7mg,
Cl-:76.7mg, HSO4-:7.5mg, SO4--:353.8mg,
H2SiO3:183.0mg, CO2:365.6mg, H2S:77.9mg,
(平成17年5月12日)
長野県松本市安曇鈴蘭
21:00以降消灯、開放期間中は無休ですが清掃日および冬季は閉鎖されます
(飲食物持ち込み禁止。駐車場は乗鞍観光センター前を利用。「コロナ連絡所前」バス停付近は駐車禁止)
無料
備品類なし
私の好み:★★★
畳平というスタート地点が既に結構な高所であり、かつ登山道がよく整備されていて、これといった難所も無いため、運動不足の私でも容易く頂上まで登れちゃいました。上画像は乗鞍岳の山頂部最高点である剣ヶ峰(3026m地点)と、そこに建立されている乗鞍本宮のお社です。
山裾に残る雪渓では夏スキーを楽しむ子供たちの歓声が上がっていました。
乗鞍コロナ観測所の奥には、焼岳や穂高連峰など北アルプスの険しい稜線が果てしなく連なっています。
南を向くと、前年に爆発した御嶽山が唯我独尊と言わんばかりに威風堂々と聳えていました。
こんな美しい山が時として牙を剥くとは…。
頂上直下で青インクのような神秘的な色の水を湛えているのは権現池。その池越しの彼方で稜線を展げているのは白山連峰。
山裾、とりわけ畳平付近の花畑は高山植物の宝庫。短い夏を謳歌するように色とりどりの可憐な花が元気いっぱいに咲いていました。
この黄色い花の群生はミヤマキンバイかな。
ハクサンイチゲは大きな群生をつくっていました。
この山ではクロユリも群生をなしており、あまりの数の多さに大興奮。
こんな可憐で魅惑的な花なのに、ハエを呼び寄せるため匂いがクサイんですよね。
火山ですからガレにはコマクサも咲いています。
さて乗鞍岳登山で眺望と花々を満喫した翌日のこと。私は麓の乗鞍高原へと向かいました。メインストリートの向こうには私が登った乗鞍岳が聳えていますが、山頂は雲の傘を被っており、この景色を見ながら「前日登山しておいて良かった」と自分の運の良さに思わずニンマリ。
乗鞍高原を訪れた理由は「せせらぎの湯」で湯浴みするためです。私個人としては久しぶりの再訪であり、拙ブログでは2009年に一度取り上げておりますが、以前と全く変わらぬ姿、そして以前同様の利用形態が維持されていることに安心しました。なお以前の記事はこちらです。
無人の入浴施設だというのに、脱衣室は綺麗に維持されていました。管理なさっている方々のご尽力に感謝しながら入室させていただきます。
壁には盗難の注意を喚起するメッセージが直書きされていましたが、こんな清らかな環境の場所でも物騒な事件が発生してしまうのですね。
とても無人の露天風呂とは思えないほど、入浴ゾーンも手入れが綺麗に行き届いており、テラスのように設えられている総木造のお風呂には、白濁の硫黄泉が絶え間なく注がれていました。入浴ゾーンに足を踏み入れてから脱衣室側を振り返ると、壁には貴重品を引っ掛けるフックが数本刺さっていたのですが、つまり自分の目が届く場所で貴重品を管理しましょうということですね。週末など混雑が予想されるときにこちらを利用する際には、あらかじめフックにひっかけられる袋を持参しておくと良いかもしれません。
すぐ目の前には巨大な岩がせり出ており、こちら側へ転がってくるのではないかと恐怖感を抱いてしまうのですが、長年にわたって微動だにしないのですから、そんな心配は杞憂であり、むしろそのまま残すことによってワイルドさを演出しているのかもしれません。湯小屋の裏手には小川が流れており、お風呂までせせらぎの音が響いてきます。この小川が湯小屋の名前の由来なのでしょう。
木樋の湯口からお湯が滔々と注がれ、その流路は硫黄によって濃い黄色に染まっていました。ほぼ正方形の浴槽は3人サイズ。女湯浴槽との間は千鳥格子で仕切られており、お湯は男女間を往き来できるようになっています。湯船のお湯は灰白色濁りで、底面がボンヤリ見える程度の透明度があり、白い湯の華がたくさん沈殿していて、お湯を動かすとその沈殿が舞い上がります。実際に私が入浴したところ、糸くずのように細長い繊維状の湯の華が体にからみつき、全身湯の華まみれになりました。湯面からは噴気帯のようなツンとくる刺激を伴う硫化水素臭が漂い、お湯を口に含むと、タマゴ味とゴム味を足して2で割ったようなイオウ味、弱い収斂酸味、そして唇がビリビリ痺れる渋みや苦みが感じられました。引いたお湯を浴槽に張っているだけのお風呂ですから、循環や消毒などとは無縁の完全放流式。常時お湯がかけ流されており、かつ加水などしていないのに、湯加減は40〜41℃という長湯仕様になっているため、夢見心地で極上のバスタイムを過ごすことができました。こんな素晴らしい温泉に無料で入れるのですから、本当にありがたい限りです。管理くださっている方々に心から感謝です。
この「せせらぎの湯」を含めた乗鞍高原温泉一帯では、前日に私が登った乗鞍岳の中腹にある湯川源泉からお湯を引いて、各施設へ分配しています。温泉街の入口付近(「せせらぎの湯」の近く)に建てられている「開湯記念」の石碑によれば、以前から源泉の存在は知られていたものの、技術的な問題によって当地まで引湯することができませんでした。源泉の場所は白骨温泉から更に川を遡った大丹生岳東面の地獄谷にあり、当地からは山をひとつ越えなければなりません。しかし当時の村長が「地域の発展のためには、温泉が必要である」として引湯事業に取り組み、昭和51年11月22日に念願叶って開湯に成功したんだそうです。普段はのんびりと観光客を癒している温泉ですが、実のところ多大な苦難の上に成り立っているんですね。
湯川温泉
単純硫黄温泉(硫化水素型) 46.4℃ pH3.12 蒸発残留物660mg/kg 溶存物質805mg/kg
H+:0.6mg, Na+:65.4mg, Mg++:19.8mg, Ca++:62.7mg,
Cl-:76.7mg, HSO4-:7.5mg, SO4--:353.8mg,
H2SiO3:183.0mg, CO2:365.6mg, H2S:77.9mg,
(平成17年5月12日)
長野県松本市安曇鈴蘭
21:00以降消灯、開放期間中は無休ですが清掃日および冬季は閉鎖されます
(飲食物持ち込み禁止。駐車場は乗鞍観光センター前を利用。「コロナ連絡所前」バス停付近は駐車禁止)
無料
備品類なし
私の好み:★★★