温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

下呂温泉 民宿ラムネ屋

2016年09月10日 | 岐阜県
 
下呂温泉では「民宿ラムネ屋」で一晩お世話になりました。飛騨川右岸の幸田地区にあり、駅から徒歩5分弱という便利な立地です。向かいには公衆浴場「幸乃湯」があり、またかつては県立下呂病院が隣接していましたが、現在は病院が移転したため、跡地は更地になっています。
こちらのお宿は食堂を兼業しているのですが、実際にお宿の前まで近づくと、民宿というより食堂としての存在感が強く、民宿の玄関は建物の左隅で控えめに構えていました。


 
2階建ての建物は、1階が食堂・お風呂など、2階が客室(全7室)となっています。今回通されたお部屋は一人旅向けの6畳間で、入室した時には既に布団が敷かれており、そしてコタツもセッティングされていました。室内にはテレビやエアコンなどが備え付けられているほか、ポットや浴衣などの用意もあり、またWifiも利用可能です。


 
今回は朝食付きのプラン(税込4,850円)でお願いしたので、夕食は温泉街に繰り出して適当に摂ろうと考えていたのですが、湯巡りしているうちにお店選びが面倒臭くなってしまい、結局お宿に戻って1階にある食堂で味噌カツ(別料金)を注文したのでした(左or上画像)。
あくる日の朝食も同じく食堂でいただきます(右or下画像)。5,000円未満というとってもお手頃な価格設定なのに、こんな立派な朝食がいただけるんですよ。お値打ちですよね。



下呂での夜をこちらの宿で過ごそうと決めた理由は、お風呂のお湯が良いと評判だからです。でもお風呂は1室しかありません。このため早い者勝ちの予約制となっており、帳場にある順番表で空いている時間帯を確認し、希望の枠に自分の部屋番号を記入しておくと、その時間になれば宿の方が部屋まで声をかけてくださいます。なお1回の入浴時間は30分で、夜の最終枠は22:30〜23:00となっています。次のお客さんのためにも時間はしっかり守りましょう。なお私が泊まった日は混雑していたため、夜1回と早朝1回の枠を確保するのが精一杯でした。



浴室は一般家庭のお風呂とさほど変わらないコンパクトな空間。浴槽が一つとカランが1基設けられているばかりです。でも扉を開けた瞬間、温泉から漂うタマゴ臭がふんわりと香ってきました。下呂温泉でここまではっきりと浴室内に湯の香が立ち込めているお風呂は、大変珍しいかと思います。


 
広さこそ民家並みですが、足元に鉄平石を敷いたり、石積みの湯口を設けたりと、装飾を凝ることによって温泉宿としての風情を演出していました。特に目を惹くのが、壁一面に貼られた藍絵のタイルです。一枚一枚全て異なった風景が描かれているのですが、これは歌川広重の東海道五十三次をタイルに焼き付けたもの。日本橋の江戸出立から始まり、品川・川崎・神奈川・・・と続いて、京都の三条大橋で締めくくられていました。五十三次+日本橋=54枚ですので、横6列×縦9列でうまい具合に収まるんですね。この絵を見ているだけでも30分が経っちゃいそうです。


 
上述しましたように洗い場のカラン(シャワー付き)は1基のみですが、カランから吐出されるお湯は100%温泉。ローションみたいに滑らかなお湯を頭から思う存分かぶることができるんですよ。



浴槽は1〜2人サイズ。いや、2人はきついかもしれません。でもお湯は完全掛け流し。ちょっと熱めの湯加減でしたが、しっかり湯もみをしたら、加水せずに入ることができました。縁から洗い場へしっかりとお湯がオーバーフローしており、私が湯船に入ったら、浴室内が洪水状態になるほど大量に溢れ出ました。


 
石積みの湯口から配湯されたままの状態の熱いお湯が注がれています。50℃以上で配湯されてくるお湯をそのまま注いでいるので、投入量は絞り気味に設定されていますが、壁にはコックが設けられていますので、これで湯量や加水などを自分の好みに加減することができます(使用後は元に戻しておきましょう)。
お湯は駅前の幸田タンクからの供給を受けたもので、見た目は無色透明、タマゴ感(味と匂い)が弱いながらもしっかりと主張しています。そして特筆すべきは下呂温泉ならではの滑らかな浴感。ヌルヌルを伴うツルツルスベスベな感覚は非常に気持ち良く、トロミを有するお湯はまるでローションのようであり、ここの湯船に浸かれば誰しもが美人肌になっちゃいます。前回記事の「噴泉池」と同じように、集中管理の混合泉とはいえ、手を加えずに供給すれば素晴らしい浴感を味わうことができるのですね。30分の時間制限が恨めしく思えるほど、虜になっていつまでも浸かっていたくなる極上のお湯です。

駅近でリーズナブルであるにもかかわらず、素晴らしい状態のお湯を堪能することができる、非常に印象的なお宿でした。
鉄道旅の方にはもちろん、泉質重視の方にもオススメです。


下呂温泉集中管理源泉混合泉(幸田ポンプ場)
アルカリ性単純温泉 55.5℃(配湯温度) pH9.5 毎分2300L/min(合計) 溶存物質0.345g/kg 成分総計0.345g/kg
Na+:108.9mg(97.53mval%),
F-:16.5mg(17.28mval%), Cl-:75.0mg(42.11mval%), HS-:0.9mg, HCO3-:22.1mg, CO3--:38.6mg(25.63mval%),
H2SiO3:62.9mg,
(平成25年11月25日)
(館内掲示は平成16年のものでしたが、他施設で平成25年のデータがありましたので、ここでは平成25年の数値を掲載します)
加温循環消毒なし
お風呂をためる時に多少の加水を実施

JR高山本線・下呂駅より徒歩5分
岐阜県下呂市幸田1090-3  地図
0576-25-2529
ホームページ

日帰り入浴なし(宿泊のみ)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下呂温泉 噴泉池

2016年09月08日 | 岐阜県
 
下呂温泉の温泉街は飛騨川の左右両岸に広がっており、その両岸を結ぶ「いで湯大橋」の上に立つと、川に沿って旅館が建ち並ぶ温泉街を一望できます。そして橋の下の河原には、下呂温泉名物の開けっぴろげな露天風呂「噴泉池」があり、当地を訪れた観光客が、橋の上から「噴泉池」で湯浴みする人を眺めるのも、下呂温泉ならではの光景のひとつです。この「噴泉池」は単に開けっぴろげの入浴環境が珍しいだけでなく、お湯の質が下呂温泉で最も良いことでも知られています。最も良いお湯なら是非とも入りたいですよね。でも、昼間は人目がありますし、足湯を楽しんでいる方もいらっしゃったので、日が沈むのを待って・・・


 
夜9時に出直して行ってみますと、案の定、誰もいませんでした。そうです。このタイミングを待っていたのでした。絶好の入浴チャンス!
私はすでに水着を履いていたので、その場で服を脱ぎ、海パン一丁で早速入浴させていただきました。
(「噴泉池」では平成22年2月1日から男女とも水着着用が義務付けられているため、私も水着着用で入浴しました)

露天風呂はいわゆる岩風呂ですが、瓢箪のような形状をしており、瓢箪のくびれの部分で二分割されていて、湯口側は適温、湯尻側はぬるくなっていました。私が訪れたのは2016年1月の正月休み。例年ですと真冬の「噴泉池」はぬるすぎて入れないそうですが、皆様ご存知のように昨冬は全国的に暖冬で、この下呂温泉も正月だというのに雪が全く無く、むしろダウンジャケットを纏うと汗ばむような陽気であったため、この「噴泉池」の湯温も下がり過ぎず、ちょうど良い湯加減が保たれていました。
なお「噴泉池」に照明は設置されていませんが、周囲で輝く街灯かりのおかげで、夜でも不自由なく利用できます。そして橋の上から通行人に見られても、夜ならボンヤリしてはっきり視認できませんから、人目を気にする方には夜がオススメです。


 
川の上流側に石積みの湯口があるのですが、現在その湯口は使われておらず、傍から伸びる黒いホースからお湯が吐出されていました。新鮮湯の供給量は温泉街の各宿とは比べものにならないほど多く、言わずもがなの完全掛け流し。お湯からはタマゴ臭がふんわりと香ってきます。見た目は無色透明、薄いながらもしっかりとタマゴ味が感じられ、ヌルヌルを伴うツルスベ浴感が大変強く肌に伝わります。まるでローションの中に浸かっているかのように、トロットロのお湯です。



うひゃー! 最高だぜ。この時の露天風呂は40〜41℃という長湯仕様の湯加減でしたので、後客がやってくるまでの1時間半ほど、ずっとここで湯浴みを続けてしまいました。「名物に旨いものなし」と言いますが、この「噴泉池」はそんな言葉を覆してくれます。実に素晴らしいお湯を楽しむことができました。


 
翌朝、改めて「噴泉池」へ行ってみますと、男性二人がお湯を抜いて清掃していました。関係者の皆さんのおかげで、素晴らしい湯浴みが楽しめるのですね。ありがとうございます。天下の名湯、ここにあり。


温泉分析書掲示なし(アルカリ性単純温泉)(おそらく幸田タンクからの配湯かと思われます)

JR高山本線・下呂駅より徒歩3〜4分
岐阜県下呂市幸田  地図
紹介ページ(下呂温泉観光協会公式サイト内)

通年24時間利用可能(ただし清掃時や河川増水時は入浴不可)
無料
備品類なし(掛け湯用の桶が数個備え付けられています。低い衝立があるものの、着替え用の小屋等はないため、人目を気にする方は着替えポンチョなどを持参するとよいでしょう)
※平成22年2月1日から男女問わず水着着用が義務付けられています

私の好み:★★★
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下呂温泉 睦館

2016年09月07日 | 岐阜県
 
引き続き岐阜県下呂温泉で「湯めぐり手形」を利用しながら旅館のお風呂を巡ってまいります。今回は駅の真裏にあり、列車の旅では至極便利な立地にある温泉旅館「睦館」を訪れます。玄関前のつくばいには温泉の熱いお湯がチョロチョロと注がれていました。



和の趣きに溢れたロビーはとっても雅やか。大手宿泊予約サイトである"Booking.com"では8.7と高評価されており、海外からの旅行者にも人気があるようですが、利用者のコメントによればお食事が美味しいんだそうです。和の風情と食事の良さが高評価に繋がっているのでしょうね。さて私は入浴のみの利用ですが、フロントで手形を呈示し入浴をお願いしますと、すんなりと受け付けてくださいました。


 
ロビー奥のお土産コーナーを抜けた先に浴室の暖簾が掛かっています。館内には日本温泉協会の温泉利用証が掲示されており、これによれば、源泉・泉質の2項目で5点満点、引湯・加水で4点、給排湯方式で3点、新湯注入率で2点と評価されていました。


 
オフホワイトのタイルで張られた浴室は、お庭に面して大きな窓が設けられており、これによって屋内空間ゆえの圧迫感が軽減されています。室内には浴槽が一つ設けられ、2箇所に分かれて配置されている洗い場にはシャワー付きカランが計6基設置されています。


 
浴槽は四角い浴室を襷掛けに切ったような感じで斜めに据えられており、横幅は約5.5m、奥行は窓側の長い辺で約3m、反対側の短い辺で約1.5mとなっていました(いずれも目測)。槽内にはお湯の清らかさが映えるコバルトブルーのタイルが敷き詰められ、それを黒い御影石が縁取っています。浴槽が狭くなる箇所の底面には泡風呂装置と思しきものが埋め込まれていましたが、動いている気配はなく、お湯がチョロチョロと落ちる音だけが響くばかりの、静かで落ち着ける入浴環境が保たれていました。
浴槽の隅っこには湯口が設けられ、お湯が流れる流路はベージュ色に染まっていました。この湯口では上から落としたお湯を下の湯溜まりで一旦冷まし、それから浴槽へ注ぐような仕組みになっているようです。湯口からは(体感で)44〜45℃というちょっと熱めのお湯が出ていたのですが、温度は一定しておらず、時折42℃前後に下がることもありました。またこれとは別に、この湯口の下の浴槽内にも適温のお湯が吐出されている投入口があり、この両者でバランスを取りながら湯加減を調整しているものと思われます。なお浴槽底面には強力にお湯を吸い込む吸引口があり、人が入った瞬間以外に浴槽からお湯がオーバーフローすることはありませんでした。新鮮源泉を投入しつつ循環装置も併用しているものと思われます。
温泉街全体で源泉の集中管理方式を採用している下呂温泉では、湯之島・森地区と幸田地区という2つの配湯系統が存在していますが、こちらのお宿では幸田地区の系統からお湯を受けています。駅のホームから巨大なタンクが見えますが、そのタンクこそ幸田地区の貯湯タンクです。お湯の見た目は無色透明で綺麗に済んでおり、味や匂いはほとんど感じられません。塩素消毒しているそうですが、ほとんど気になりませんでした。その一方、循環の影響なのか、下呂温泉らしいツルスベ浴感がちょっとパワーダウンしているようにも感じられました。


 
前回記事で取り上げた「寿々波」と同様に、こちらお風呂でも、カランから吐出されるお湯は源泉を使っています。あくまで私個人の感想ですが、湯船よりもシャワーのお湯の方が下呂温泉らしい特徴がよく現れており、自分の好みに合っていました。このため今回の湯浴みでは、湯船に浸かるよりも、シャワーのお湯を浴びていた時間の方が長かったかもしれません。

お湯に関しては評価が分かれるかもしれませんが、日本旅館の真髄はもてなし、趣き、そして食事にあるわけですから、お宿の本当の良さを知るには宿泊するほか無さそうですね。口コミで高評価を獲得しているこちらのお宿。駅から至近ですので、鉄道の旅で下呂を訪れる際には重宝しそうです。


下呂温泉集中管理源泉混合泉(幸田ポンプ場)
アルカリ性単純温泉 55.5℃(配湯温度) pH9.5 毎分2300L/min(合計) 溶存物質0.345g/kg 成分総計0.345g/kg
Na+:108.9mg(97.53mval%),
F-:16.5mg(17.28mval%), Cl-:75.0mg(42.11mval%), HS-:0.9mg, HCO3-:22.1mg, CO3--:38.6mg(25.63mval%),
H2SiO3:62.9mg,
(平成25年11月25日)
加温なし
加水あり(源泉温度が高いため地下水を不定期に加水)、循環あり(浴槽内の汚れを除去するため通年使用)、消毒あり(衛生管理のため塩素剤を通年使用)

JR高山本線・下呂駅より徒歩2分
岐阜県下呂市幸田1167-1  地図
0576-25-3100
ホームページ

湯めぐり手形利用可能時間12:00〜15:00、18:00〜20:00
現金での日帰り入浴に関しては施設へ直接お問い合わせを。
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下呂温泉 寿々波

2016年09月06日 | 岐阜県
 
前回に引き続き下呂温泉を取り上げます。今回は飛騨川沿いに立ち並ぶ旅館のひとつ「寿々波」を訪れることにしました。表には日帰り入浴を歓迎する看板が掲示されており、湯めぐり手形も利用可能です。建物の外観からは昭和の香りが濃く漂っているのですが、その躯体に取り付けられている袖看板は現代的なデザイン(フォント)を用いたものが採用されており、できる範囲内で効果的に現代的な雰囲気を採用していこうとするお宿側の意気込みが感じられます。


 
帳場にて手形を呈示しますと、作務衣を着た若旦那と思しき方が笑顔で対応してくださいました。ロビーの奥には川を望む一室があり、宿泊客のためにいろんな柄の浴衣が用意されていました。近年、日本旅館ではこうして自分の好みの浴衣を選べるサービスが増えていますね。


 
館内も随所にモダン和風な装飾が施されており、建物の古さを打ち消そうとする努力が垣間見られます。傾斜地に建てられている関係でロビーは3階なのですが、お風呂は1階にあるため、エレベータ(もしくは階段)で下がって浴室の入口へと向かいます。男女別浴場のほか、家族風呂が2室(「椿」と「蘭」)もあるんですね(今回は利用していません)。


 
奥へ細長い脱衣室を抜けて浴室へ。露天風呂は無いものの、川に面して大きなガラス窓が採用されているため、内湯にありがちな圧迫感は軽減されています。窓の外側では飛騨川が左右に流れており、目の前の河川敷では散歩をする人の姿も見られます。そして川越しに温泉街を一望でき、視界の抜けが良いため、爽快な気分で湯浴みできました。
浴室の左右に洗い場が分かれて配置されており、シャワー付きカランが計6基取り付けられていました。


 

洗い場で特筆すべきは、カランから出てくるお湯です。なんと源泉のお湯が使われているのです。掛け流しのお風呂が少ない当地において、源泉のままのシャワーは嬉しいですね。源泉のお湯(というかポンプ所から引湯されたお湯)ゆえ、カランから出てくるお湯はやや熱く、シャワーで頭からお湯を被ると全身がツルスベの滑らかなフィーリングで覆われました。


 
浴槽はタイル張りで、縁には御影石が採用されています。大きさとしては(目測で)3m×3.5mほどですが、中央に柱が立っており、この柱の部分で2つに等分されています。分かれているとはいえ、両者を隔てる仕切りが湯面より低いため、お湯に違いはなく、違いといえば湯船の深さが若干異なっている程度でした。
その仕切りの上に設けられた石積みの湯口よりお湯がジャバジャバと吐出されていますが、オーバーフローは発生しておらず、底面に設けられた2つの吸引口よりお湯がしっかりと回収されていました。ネット上の情報や某大手宿泊予約サイトには掛け流しの湯使いである旨が謳われていたのですが、実際のところは果たしてどうなのでしょうか。しかも入室時にはカルキ臭も嗅ぎとれましたので、湯使いにこだわる温泉ファンからはちょっと辛い評価を受けてしまうかもしれません。お湯は共同管理されているお湯(湯之島・森地区の系統)を引いており、無色透明でほぼ無味無臭。湯使いの問題なのか、下呂温泉らしい滑らかな浴感があまり得られず、正直なところシャワーのお湯の方が、下呂温泉の良さがしっかりと現れていました。
今回利用していない家族風呂の湯使いは不明ですが、もしかしたら家族風呂で正真正銘の掛け流しを実施しているのかもしれません。その辺りの実情がわかりませんので、いつも拙ブログの文末で記しております「私の好み」は、今回記事では評価しないことにしました。あしからず。

古い建物を手入れして、可能な部分から現代的なニーズを取り入れ、誰でも入って来やすい間口の広い宿作りに心がけている姿勢には頭が下がります。けだし若いスタッフが頑張っているのでしょう。そんな頑張りを応援したくなるお宿でした。


送湯ポンプ所
アルカリ性単純温泉 56.2℃ pH8.9 毎分2000L(合計) 溶存物質0.387g/kg 成分総計0.387g/kg
Na+:118.2mg(94.83mval%),
F-:10.3mg(9.99mval%), Cl-:113.1mg(59.00mval%), HCO3-:37.5mg(11.28mval%), CO3--:24.1mg(14.80mval%),
H2SiO3:57.3mg,
(平成25年11月25日)

JR高山本線・下呂駅より徒歩10分程度
岐阜県下呂市湯之島868-1  地図
0576-25-2664

日帰り入浴7:00〜10:00、14:00〜22:00
600円(湯めぐり手形利用可能)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下呂温泉 ひだ山荘

2016年09月04日 | 岐阜県
今回からは岐阜県飛騨路の下呂温泉を連続して取り上げます。とはいえ、前回までの記事と同じく半年前の冬(2016年の正月休み)に巡ったときの記録であり、鮮度感に劣る季節外れな風景が続きますが、何卒ご容赦ください。

 
 
まずは高山本線で下呂駅へ向かい、駅前にある観光案内所で「湯めぐり手形」を購入しました。下呂温泉の「湯めぐり手形」は1,300円で3ヶ所をめぐることができますので、当地で3ヶ所以上温泉をハシゴするのでしたら、手形を購入した方が経済的です。手形購入時には加盟している旅館・施設と利用可能時間の一覧表を手渡してくれますが、施設によってはその時間内であっても利用不可な場合があるので、公式サイトであらかじめ利用可能時間を調べておき、前日か当日に各施設へ直接問い合わせた方が宜しいかと思います。


 
私がまず向かったのは「ひだ山荘」です。温泉街は飛騨川の両岸に沿って分布していますが、こちらのお宿は温泉街の外縁部にある温泉寺の裏手に位置しており、温泉街からひたすら坂道を登ってゆくことになります。


 
玄関に湯めぐり手形の看板が立っていることを確認してから入館し、フロントで手形を呈示して入浴をお願いしますと、スタッフの方が快く対応してくださいました(先述しましたように、正月休みに伺ったため、玄関には松飾りが据えられていました)。
山裾の傾斜地に立地しているため、ロビーからの見晴らしが素晴らしく、眼下に広がる温泉街を一望することができました。なお、浴場内にロッカーが無いため、貴重品はフロントへ預けることになります。


 

エレベーターか階段をで階下の浴室へ。
空調が効いた脱衣室は、手入れがよく行き届いており、綺麗で使い勝手良好です。室内には日本温泉協会のプレートが掲示されており、これによれば源泉・泉質・給排湯方式・加水の4項目で5つ星(満点)、引湯が4つ、そして新湯注入率で3つという評価となっていました。


 
浴室は内湯のみで露天風呂はありませんが、2方向に大きな窓があるため、室内は大変明るくて湯気籠りも少なく、清潔感に満ち溢れており、快適な入浴環境が維持されていました。窓と反対側に設けられた洗い場には、温泉街の街明かりをイメージしたと思しきカラフルな壁絵が施されており、明るく大きな窓と共に非日常的な雰囲気を醸し出していました。洗い場にはシャワー付きカランが4基並んでおり、一つ一つの間隔が広く確保されているため、混雑時でも隣のお客さんとの干渉を気にせずに利用できそうです。


 
大きな窓の外は温泉街を見晴らすパノラマが・・・と言いたいところですが、さすがに目隠しする必要があるためか、窓の外側には庭木が植えられています。でも日本庭園風の誂えですので、まるで露天風呂にいるような景色が広がっており、また高台なので梢越しに山々を眺められ、屋内にもかかわらずなかなか開放的でした。


 
石板張りの浴槽は、上から見ると縦長の台形のような形状をしており、小学校の算数で習った台形求積の公式風に表現しますと、(目測で)上底1m・下底2m・高さ3.5mといった寸法で、おおよそ6〜7人サイズといったところ。浴槽の縁からお湯がしっかりと溢れ出ており、槽内での吸引や供給など見られないので、放流式の湯使いかと思われます。


 
浴槽隅で立ち上がっている箱型の湯口からお湯が落とされており、50℃以上の熱いお湯が湯量を絞った上で投入されています。湯口の横に置かれている木板には「源泉かけ流しの為 熱くお入り出来ない場合は 成分が薄くはなりますが 加水をおすすめします」と説明が書かれていました。放流式の湯使いなのですが、お湯をそのままの状態で湯船へ供給するため、熱いお湯の投入量を絞っているわけです。それでも熱く感じる場合は、お客さんがセルフで加水をするのですね。私が訪れた時には他にどなたもいらっしゃらず、完全独占状態だったのですが、お湯の熱さも気になるほどではなかったので、一滴も加水せずそのままの状態で入浴させていただきました。

お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、わずかにアルカリ性泉的な微収斂と土気のような味が感じられます。塩素消毒を実施しているそうですが、ほとんど気になりません。でも、温泉街に点在する足湯・手湯・飲泉場のお湯から得られるようなタマゴ感は、こちらのお湯からは感じられませんでした。さすがにアルカリ性泉だけあって、お湯にはトロミがあり、ツルスベの滑らかな浴感もしっかり肌に伝わってきます(でも、あくまで個人的な感想ですが特段印象に残るほどではなかったかも)。
下呂温泉では14ヶ所の源泉から温泉を集めて集中管理していますが、配湯系統は湯之島・森地区と幸田地区の2系統に分かれており、こちらのお宿では前者の系統のお湯が引かれています。ポンプ所から供給されたお湯をどのようなスタイルでお客さんに提供するかは、その施設の判断に委ねられているのですが、こちらのお宿の場合は放流式の湯使いで、投入量を絞って温度を調整することにより、お湯の濃さを変えることなくお客さんに下呂温泉の良さを味わってもらおうと努めていらっしゃるのですね。安易に加水や循環装置に頼ろうとしない信念には頭が下がります。下呂温泉でかけ流しのお風呂は少ないため、こちらのようなお風呂は貴重な存在です。


 
お風呂から上がった後、温泉街へ戻るべく、「ひだ山荘」の目の前にある温泉寺の境内へお邪魔しました。境内を通り抜けるとショートカットできるんです。でも、何もしないでただ通り過ぎるのは御本尊に申し訳ないので、ちゃんと本堂で合唱させていただきました。上画像は山門と本堂です。


 
境内のつくばいには熱い温泉が注がれていました。当記事本文でも軽く触れましたが、下呂温泉では各施設の浴場よりも、足湯・手湯・飲泉場のお湯の方が質感がしっかり伝わってくる傾向があり、このつくばいでも、熱いお湯からタマゴ感とヌルツルの滑らかさが伝わってきました。その質感のままで入浴できたら良いんだけどなぁ…。


 
山門をくぐってから、長い石段で温泉街へ向かってまっすぐ下りていきました。石段からは温泉街を一望できました。この石段は当地観光のおすすめスポットです。


送湯ポンプ所(集中管理・湯之島ポンプ所)
アルカリ性単純温泉 56.2℃ pH8.9 毎分2000L(合計) 溶存物質0.387g/kg 成分総計0.387g/kg
Na+:118.2mg(94.83mval%),
F-:10.3mg(9.99mval%), Cl-:113.1mg(59.00mval%), HCO3-:37.5mg(11.28mval%), CO3--:24.1mg(14.80mval%),
H2SiO3:57.3mg,
(平成25年11月25日)
加水加温循環なし、消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を通年使用)

JR高山本線・下呂駅より徒歩15分(約1km)
岐阜県下呂市湯之島683-1  地図
0576-25-3140
ホームページ

湯めぐり手形利用可能時間15:00〜20:00(なお私の訪問日は18:00まででしたので、日によって時間が変更される場合があります。事前に直接施設へご確認ください)
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品はフロント預かり

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする