◇ 50年までに温室ガス排出量をゼロに = 国際的に脱炭素社会の実現を目指す機運が、急速に高まっている。これを受けて、日本も5月末の国会で「改正地球温暖化対策推進法」を成立させた。このなかでは「50年までに、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」ことが明記されている。これによって、たとえば政権の交代があっても法律を改正しない限り、この目標を守らなければならないことになった。
ただ30年後の目標は、いかにも遠い。そこで政府は、30年度の目標も作成した。30年度の温暖化ガス排出量を、13年度の実績比で46%削減するという内容。菅首相が気候変動に関するサミットで表明したため、日本の国際的な公約となった。このサミットでは、アメリカが05年比で50-52%削減、EUが90年比で55%以上の削減などを公約している。
50年の実質ゼロを実現するためには、まず30年度の中間目標を達成しなければならない。ところが、この目標達成は至難の業だ。たとえば温暖化ガスの約4割を占めるのが、発電の際に発生するCO2。19年度の実績では、全体の76%がガスを発生する火力発電だった。最近はEV(電気自動車)の導入が話題になっているが、その電力を火力発電に頼っていたのでは、温室効果ガスは少しも減らない。
火力を大幅に減らした分を埋めるのは、原子力と再生可能エネルギーしかない。政府は原発30基の稼働が必要とみているが、いま稼働しているのは9基だけ。再生エネルギーも現在の2倍に増やす必要があるが、かなり難しい。経産省がチエを絞っているが、答案を書けずにいる。だから当面の計画が立たない。タワー・マンションの「50階には展望台が、30階にはレストランがあります」と言われても、2階に昇る階段がないというのが現状なのである。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 下げ -45.74円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
ただ30年後の目標は、いかにも遠い。そこで政府は、30年度の目標も作成した。30年度の温暖化ガス排出量を、13年度の実績比で46%削減するという内容。菅首相が気候変動に関するサミットで表明したため、日本の国際的な公約となった。このサミットでは、アメリカが05年比で50-52%削減、EUが90年比で55%以上の削減などを公約している。
50年の実質ゼロを実現するためには、まず30年度の中間目標を達成しなければならない。ところが、この目標達成は至難の業だ。たとえば温暖化ガスの約4割を占めるのが、発電の際に発生するCO2。19年度の実績では、全体の76%がガスを発生する火力発電だった。最近はEV(電気自動車)の導入が話題になっているが、その電力を火力発電に頼っていたのでは、温室効果ガスは少しも減らない。
火力を大幅に減らした分を埋めるのは、原子力と再生可能エネルギーしかない。政府は原発30基の稼働が必要とみているが、いま稼働しているのは9基だけ。再生エネルギーも現在の2倍に増やす必要があるが、かなり難しい。経産省がチエを絞っているが、答案を書けずにいる。だから当面の計画が立たない。タワー・マンションの「50階には展望台が、30階にはレストランがあります」と言われても、2階に昇る階段がないというのが現状なのである。
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