経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2017-06-19 06:41:52 | 株価
◇ 利上げでも新高値を更新中 = FRBは先週、大方の予想通り4回目の金利引き上げを決定した。ニューヨーク株式市場は気にしながらも、横目で通り過ぎた感じ。ダウ平均は週間112ドル値上がりして、またまた史上最高値を更新した。IT関連株の急落もあったが、金融株などの上昇で相場は支えられた。この勢いは、どこまで続くのだろうか。

株式市場の反応は薄かったが、債券市場と為替市場はやや異常な反応を示した。政策金利が上昇すれば、ふつうは長期金利が上がる。だが債券市場では、逆に債券が買われて金利は下落。10年もの国債の利回りは、7か月ぶりの低水準に下がっている。金利が低下したため、為替市場ではドルが下落した。

日経平均は先週70円の値下がり。円高の影響も受けたが、どうしても2万円台を回復できない。外国人投資家が加計学園の事件を嫌っているという見方も出ているが、根本的な理由はやはり経済の先行き不透明にあるのではないだろうか。アベノミックスが賞味期限切れになったあと、日本経済は目標を失ったという声も出始めているようだ。

今週は19日に、5月の貿易統計。21日に、4月の全産業活動指数と5月の訪日外国人客数。アメリカでは21日に、5月の中古住宅販売。22日に、4月のFHFA住宅価格と5月のカンファレンス・ボード景気先行指数。23日に、5月の新築住宅販売が発表される。

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ


サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑪

2017-06-17 07:56:56 | 
◇ 幅が広い水ビジネス = 上水道や下水道のインフラ整備、海水の淡水化プラント建設。あるいは汚水の処理場、工場排水の再利用などなど。ひと口に水ビジネスと言っても、その範囲はかなり広い。特に新興国では、こうした水ビジネスに対する需要が強まっている。たとえば1つの大都市に下水道を完備すれば、何兆円もかかるだろう。ビジネスの規模も、非常に大きい。

日本はこうした分野でも、長年培った経験と技術を持っている。たとえば上水道でみると、東京都の水漏れ率は約3%。マニラの60%、ジャカルタの50%に比べれば圧倒的に低い。これは特殊な鋳鉄管を使ったり、音で水漏れを発見する技術を持っているからだ。また料金の徴収率は99.9%にのぼり、海外からは驚異の目で見られている。

下水道の歴史も古い。日本初の下水道は1881年、横浜の外国人居留地に設置された。次いで東京では1884年に作られた神田下水道。戦後の高度成長期には建設が追い付かず河川の汚染を招いてしまったが、その後は急速に整備された。ここでも地面を掘らずに下水道管を設置する技術は、世界から注目されている。

このように日本は、海水や汚水を濾過する逆浸透膜の製造技術、さらに上下水道のインフラ技術の両方を持っている。市場としての大きさをみると、インフラの方がずっと大きく、逆浸透膜は水ビジネス全体の100分の1ほどしかない。それでは今後、この市場はどのように拡大して行くと予測されているのだろうか。

                                   (続きは来週サタデー)

      ≪16日の日経平均 = 上げ +111.44円≫

      【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】   


おカネを貯め込む 日本の企業

2017-06-16 07:31:49 | おカネ
◇ 実質無借金企業が2000社を超えた = 企業がますますおカネを貯め込んでいる。日銀がまとめた資金循環統計によると、金融機関を除く民間企業が保有する現金・預金は、昨年末の時点で244兆円に達した。前年に比べて7.5%増加している。このうち現金は9兆7000億円だった。日本のGDPの半分に近いおカネを、企業が手元に置いているわけだ。

日経新聞の集計によると、上場企業のうち実質無借金となった会社は、3月末時点で2016社に達した。実質無借金というのは、手元資金が有利子負債より多い会社。1年間で60社増えて、全上場企業の58%に及んだ。この実質無借金会社の数は、08年から連続して増加している。

内閣府と財務省が共同で実施した法人企業景気予測調査のなかに「17年度の資金調達方法は」という質問項目がある。その答えの第1位は、大企業と中堅企業がともに「内部資金」を使う。中小企業は「民間金融機関」が第1位だったが、第2位は「内部資金」だった。世界中を探しても、企業がこんなにおカネを貯め込んでいる国はない。

困っているのは、優良な貸出先を失った金融機関だろう。だが企業に資金が滞留することは、日本経済にとっても好ましいことではない。おカネが回らず、景気が上向かないからである。安倍首相は企業に対して「おカネを賃上げに回してほしい」と要請しているが、結果は思わしくない。政府は企業におカネを使わせる方策を、もっと真剣に考えるべきである。

      ≪15日の日経平均 = 下げ -51.70円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


景気に変調の兆し? / アメリカ

2017-06-15 07:44:55 | アメリカ
◇ 個人消費が落ち込んできた = アメリカ経済の先行きに対する警戒論が、市場の内外で囁かれ始めた。このところ発表された経済指標のなかで、個人消費の減退が目立っているためである。個人消費はGDPの7割を占める最大の需要項目。その落ち込みが一時的なものかどうか。仮に一時的でなければ、まる8年続いたアメリカの景気上昇は、いったん終止符を打つことになる。

商務省が発表した1-3月期のGDP成長率は、年率で1.2%だった。昨年10-12月の2.1%から急減速している。企業の設備投資や住宅投資は2ケタ増と堅調だったが、個人消費は0.6%の増加。09年以来の低い増加率にとどまり、全体の足を引っ張った。消費が低調なため、4月の個人消費支出物価も1.7%の低い上昇率となっている。

自動車販売の減速が、個人消費の停滞をよく象徴している。5月の新車販売台数は152万台。前年比では0.5%の減少だったが、これで前年の実績割れは5か月連続。FRBの金融緩和政策で自動車ローン残高は1兆1000億ドルに膨らんだが、利上げで貸倒率が上昇。ローンの貸し渋り傾向が強まっている。

そのFRBは13-14日に開いた政策決定会議で、4回目の利上げを強行した。まだ個人消費の落ち込みは一時的とみているためだろう。だが金利の引き上げは、明らかに景気にとってはマイナス材料。結果的に景気後退の導火線にならないとも限らない。日本時間のきょう発表される5月の小売り売上高と消費者物価に、注目が集まっている。  

      ≪14日の日経平均 = 下げ -15.23円≫

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

「想定外」から「想定不能」へ / イギリス (下)

2017-06-14 07:18:38 | イギリス
◇ 何から何まで見通し不明 = これからイギリスは「想定不能」の時代に入る。メイ首相は下院の過半数を抑えるため北アイルランド民主統一党と連携したが、この党はEUからの完全離脱を望んでいない。保守党内にも無関税同盟にはとどまるべきだという主張も多い。結果としてメイ首相は、どんな姿勢でEUとの離脱交渉に臨むことになるのか。全く見当がつかない。

メイ首相が主張するEUからの完全離脱で議会がまとまらない場合、首相は妥協を余儀なくされて関税同盟にはとどまるなどの“緩やかな離脱”に宗旨替えするのだろうか。仮にそうなったとしても、こんどはEU側がそれをすんなり受け入れるとは考えにくい。結局のところ、2年後には時間切れで強制離脱に追い込まれる可能性も小さくはない。

選挙で保守党が敗北したことを受けて、ポンドの相場が急落した。景気は後退し、物価は上昇する可能性が強まっている。経済の状況が悪化したとき、求心力を失ったメイ政権はどこまで頑張れるのだろうか。保守党が政権を投げ出せば、おそらくは労働党が天下をとる。その労働党は今回の総選挙で、鉄道・郵政・エネルギーの再国有化を公約した。そんな時代の巻き戻しがあるのかどうか。誰にも予想はできない。

政治も経済も行き詰まれば、海外企業は雪崩を打って大陸側に脱出する危険性がある。そういう事態が何をきっかけに、いつ起きるのか起きないのか。きわめて微妙な状況になってきたことは確かだが、その予測もなかなか難しい。そうしたなかでもイギリス政府とEU当局との離脱交渉は、予定通り19日から始められる。

      ≪13日の日経平均 = 下げ -9.83円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


Zenback

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