経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

ウラが読めない 日米首脳会談

2018-04-24 08:38:08 | 日米関係
◇ あまりにもキレイに終わり過ぎた = トランプ大統領と安倍首相の日米首脳会談は、何事もなく無事に終了した。共同声明でも記者会見でも、想定外の問題は出ずじまい。特に貿易問題ではトランプ大統領の強硬な姿勢が予想されていただけに、市場も拍子抜けしたほど。しかし本当に何もなかったのか、疑いを持つ人は決して少なくない。

貿易問題ではトランプ大統領がFTA(2国間の自由貿易協定)を主張、安倍首相はアメリカのTTP(環太平洋経済連携協定)復帰を要請した。その結論は出ず、両国は新しい通商交渉を始めることになった。だが貿易協定の形には、2国間と多国間しかありえない。新しい通商交渉はやはりFTAの締結に向かうしかない、と両首脳は了解したのではないか。

アメリカ側の資料によると、17年の対日貿易赤字は688億ドル(約7兆4000億円)だった。トランプ大統領はこの赤字を何割か減らすよう、日本側に要求したのではないか。また自動車や牛肉など農産物の輸入拡大を求めたのでは。これらの要求は今後の通商交渉で具体的に出てくるが、安倍首相はトランプ大統領に前向きの言質を与えたのではないか。

為替問題が提起されなかった点も、きわめて不思議だ。トランプ大統領は会談の内容をすべて表に出さないことで、安倍首相に“貸し”を作ったのではないか。こうした疑問はすべて想像上の産物であり、事実だという証拠は全くない。近く始まるライトハイザー米通商代表部代表と茂木経済再生相による通商交渉で、しだいに明らかになるだろう。

       ≪23日の日経平均 = 下げ -74.20円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


今週のポイント

2018-04-23 08:16:46 | 株価
◇ 政局と業績予想を気にしながら = 日経平均は先週384円の値上がり。4週間の連騰で、1か月半ぶりに2万2000円台を回復した。北朝鮮からの脅威が和らぎ、日米首脳会談からも表面上はさしたる悪材料が飛び出さなかった。円相場も安定的に推移している。このため日経VI(恐怖指数)は16台にまで下がり、外国人投資家も買い越しに転じているようだ。

こうしてみると、東京市場の株価は順調に戻しているように見える。だが投資家の頭上には、政局と業績予想という2つの重しが。スキャンダラスな事件が重なって国会の審議は停滞、安倍内閣の支持率は大きく下がっている。政局に敏感な外国人投資家は、支持率がさらに下がるようだと売りに回る可能性が高い。決算発表で18年度の業績予想が落ち込むと、株価の割安感も消えてしまう。

ダウ平均は先週98ドルの値上がり。大規模減税に対する期待感はまだ持続しているが、FRBによる利上げのテンポが速まりそうなこと。保護貿易政策がアメリカ経済に及ぼす悪影響。トランプ大統領のフェイスブックやアマゾンなどに対する規制強化の動きなど、心配な材料が表面化してきた。そこを突破して2万5000ドルに進めるかどうか。

今週は24日に、3月の企業向けサービス価格。25日に、2月の全産業活動指数。27日に、3月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは23日に、3月の中古住宅販売。24日に、3月の新築住宅販売と4月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1-3月期のGDP速報が発表される。なお27日には南北朝鮮の首脳会談が開かれる予定。

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-04-22 08:01:41 | SF
第3章  経 済 が な い 世 界 

≪29≫ ロボット博士 = 広大な歴史博物館を歩き回ったものだから、少々くたびれた。まだ明るさが残っている前庭に出ると、冷たい空気が心地いい。ショッピー館長は71歳のはずだが、平気な顔をしている。と、そのときラフマが館長に何かささやき、館長はすぐ反応した。マーヤが「誰かを見付けたようですね」と説明してくれる。

「ラフマがいい人を見付けてくれました。リストン博士と言って、ロボット工学の第一人者です。こっちに来るよう頼みましたから、しばらく待つことにしましょう」とショッピー館長。おそらく、その人は100メートル以上も先にいたのだろう。そんな遠くにいる人も、ロボットは見付けてしまうんだ。感心していると、リストン博士がやはりロボットを連れて飄然と現われた。

背は低く丸顔、頭はツルツルで白い髭を長く伸ばしている。見たところ風采は上がらない。だが胸のプレートは「45」だから、まだ若い。庭の片隅にある喫茶店のようなところに陣取ると、さっそく喋り出した。

「あんたのことは、賢人会のウラノス議長から聞いているよ。さっきから私の頭を観察しているようだが、この方が洗うのにも楽だからね。あっははあ。病院に行けば、髪の毛なんかすぐに生やしてもらえる。それほど、この国の医療技術は発達しているんじゃ。

実はその医学の発達こそが、ロボットの進化に最も貢献したんだ。たとえば人間の皮膚が損傷したときには、シリコンとコラーゲンなどを合成して造った人工の皮膚で修復する。この素材をロボットの全身に張り付けることは簡単だった」

――それでロボットが、見た目にも人間らしくなったんですね。

「それだけではないよ。ロボットの皮膚の内側に毛細血管のような管を張り巡らせ、体内に設置したポンプから暖かい液体を流すことで、触ったときも人間と同じようになる。ここにいるラフマやマーヤの手足も、人間と同じ感触だろう。
ただ頭脳や神経系の圧縮技術が進まなければ、ロボットの人間化は困難だった。最初のうちロボットの頭脳や神経は、頭のてっぺんから足のつま先までぎっしり詰められていたんだ。それが圧縮技術の進歩で、いまではほぼ頭部だけに集中している。これによって心臓のようなポンプを体内に設置する余裕ができた」

――もの凄い技術の進歩ですね。そのうえ脳内の電子構造に、人間のDNAまで組み込むことに成功した。
「その通り。そしてロボットたちは、自分で知識を吸収し、自分で思考や感情を進化させることができる水準に到達したわけだ」

――となると、ロボットの弱点は、人間によって電源を切られることだけですか?

「いやあ、そうは言えないんだ。ロボットは将来、自分で体内に太陽光を取り込み発電するようになる可能性がある、と私はにらんでいるんじゃ」

                              (続きは来週日曜日)

財務次官の不可解な行動 : セクハラ事件

2018-04-21 07:32:47 | セクハラ
◇ 女性記者と何回も会食したイミは? = テレビ朝日は19日、福田財務次官によるセクハラ発言の被害者が自社の女性記者だったと公表した。当の福田次官は、セクハラの事実を否定したまま辞任。これで一般の人たちは、事件がヤマを越えたように感じただろう。しかし財務省と取材記者の関係をよく知っている人たちは、大きな疑問を持つに違いない。この事件には、もっとウラがある?

テレ朝の発表によると、女性記者は「1年半ほど前から数回にわたり、取材目的で次官と会食した」。そのたびに女性記者はセクハラ発言をされて脅威に感じ、録音した。上司に相談したが公表は難しいと言われ、その録音を週刊新潮に流したという。これについてテレ朝は「取材で得た内容を第三者に流したことは遺憾だ」と陳謝している。

だが財務次官が取材記者と2人だけで会食することは、相手が女性であれ男性であれ、極めて異例なこと。しかも1年半の間に数回というのだから、前代未聞と言えるだろう。その場所もソバ屋とか焼き鳥屋といったレベルではないらしい。会食費はいったい誰が支払ったのだろう。テレ朝は取材費として、その会食費を認めたのだろうか。

ここで福田氏のセクハラ発言を擁護する気は全くない。むしろ1人の女性記者と何回も会食を重ねたことについては、仕事以外の目的さえ感じられる。一方の女性記者も、1年半にわたって取材するような問題があったのかどうか。脅威を感じたら、会食に応じなければ済むことだ。この事件はテレビや新聞で大きく報じられているが「なぜ2人が何回も会食していたのか」という視点からの解説には、まだお目にかからない。

      ≪20日の日経平均 = 下げ -28.94円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  


頼りは 外国人労働者 : 農業・介護・建設

2018-04-20 08:06:01 | 外国人
◇ 恐る恐るの受け入れ改革案 = 総務省が発表した昨年10月1日時点の人口推計によると、日本の総人口は1億2670万人だった。前年より22万7000人減っている。外国人の純流入数が過去最大の14万7000人に達し、人口の減少幅をかなり縮小した。日本に住む外国人の数は205万8000人。そのうちの25万7000人が技能実習生で、主として農業・介護・建設部門で働いている。これらの分野は、いまや外国人なしでは成り立たなくなってしまった。

技能実習生というのは、発展途上国へ技術を移転する目的で作られた在留資格。国別ではベトナムが10万5540人で最も多い。次いで中国、フィリピンが続く。現在の制度では、実習生の在留期間は5年まで。帰国して習得した技術を活用することが期待されているからだ。ところが最近の人手不足で、日本の現場は5年で実習生を手放せなくなっている。

そこで政府も、この制度を改正することになった。その内容は、5年が経過してもさらに在留を5年延長できる。しかも、その時点で試験に合格すればさらに延長でき、家族を呼び寄せることが出来るようにするというもの。要するに制度上は、勉強さえすれば永久に日本で働けるようになる。秋の臨時国会に入国管理法の改正案を提出、来年4月から実施する方針。

ところが問題は5年後に資格を再延長するとき、実習生はいったん帰国しなければならないと定めていること。これは継続的に日本で働くとなると、移民労働者と変わらなくなる。これを避け、あくまで技術移転の目的を貫き通すという意図がここにある。だが実態はすでに移民労働者と何も変わらない。こんな姑息な手段で対応すると、外国人は日本を敬遠するかも。

      ≪19日の日経平均 = 上げ +32.98円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>