経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

安全なビルを 明示してほしい

2018-04-14 07:35:58 | 耐震
◇ 東京の古いビルは3割が倒壊の恐れ = 新宿区・紀伊国屋ビル、中野区・中野ブロードウェイ、千代田区・科学技術館、板橋区・日大板橋病院・・・。大地震のとき倒壊する恐れがあるビルの、ほんの一例です。東京都が旧耐震基準で建てられた1981年以前の主要なビル852棟を調べたところ、震度6以上で倒壊する危険性があるビルは251棟もありました。地震の際、こんなビルに逃げ込んだら危ないということになります。

同様の調査は、他の大都市でも行われました。その結果、たとえば大阪市は全体の21%に当たる44棟、名古屋市では全体の15%が危険と判定されています。これら危険と判定されたビルのなかには、さっそく耐震工事を実施したところ、あるいは解体に踏み切ったケースもないではありません。しかし耐震工事や解体には、巨額の費用がかかります。

東京都や大阪市は、こうしたビルの耐震工事を促すために、あえて危険なビルの名前を発表しました。しかし工事はあまり進捗していないというのが現実です。またビル名を公表しても、一般の人たちには浸透していません。たくさんのビル名を覚えていて、地震のときは近寄らないようにすることなどは至難の業でしょう。

発想を転換して、安全なビルにマークを付けるようにしたらどうでしょうか。人は通勤にしても買い物にしても、同じ道を歩くことが多いようです。ビルにマークが付いていれば、ひとりでに覚えてしまいます。地震のとき、どのビルに逃げ込めばいいか。とっさに判断できるようになるでしょう。不安全マークの設置には抵抗もあるでしょうが、安全マークなら反対もないのでは。

      ≪13日の日経平均 = 上げ +118.46円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  


円高ストップは 天の佑け

2018-04-13 07:02:24 | 円相場
◇ 予想に反して円安傾向に = 円の対ドル相場は、3月下旬から下落気味に推移している。年初は113円台だったレートが3月中旬には104円台まで上昇、多くの専門家が「100円も覚悟すべし」と警告していた。社内の想定レートを、あわてて100-105円に切り上げた経営者も少なくなかったに違いない。だが現実の為替レートはそこで円高がストップ、現在は107円台で推移している。どうしてだろう。

本来ならば、米中間の貿易戦争がドル安・円高を加速させても不思議ではなかった。それが逆に円安となった原因は、いろいろ挙げられている。まず投機筋のドル売り持ちが6年半ぶりの高水準に達し、これ以上のドル売りを仕掛けにくくなっているという技術的な説明。さらに北朝鮮を巡る緊張がゆるみ、有事の円買いが下火になったこと。FRBによる利上げの頻度が増えそうだという観測の高まり・・・。

あとから理屈はついてくるが、為替相場を形成する要因はもっと複雑なのかもしれない。たとえば今回の場合も、ユーロの対ドル相場が上げ止まったことも関係しているだろう。とにかく為替相場を決定する要因は数多く、要人のちょっとした発言から気象変動まで。昔から「当たらないものは、宝くじと為替相場」と言われるくらいだ。

仮に現在の円相場が100円になっていたら、企業の業績見通しは一気に悪化。株価はもっと下落し、景気の見通しも暗くなっていたに違いない。そうならなかったのは「天の佑け」と言うべきか。しかし安心は禁物。為替相場はいつ、どのように動くかは予測できないと考えておいた方がいい。

      ≪12日の日経平均 = 下げ -26.82円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


日銀が断トツの 大株主に

2018-04-12 08:06:21 | 日銀
◇ 3月のETF買い入れは過去最大 = 日銀の発表によると、3月末時点のETF(上場投資信託)保有額は18兆9348億円だった。前年に比べて約6兆円の増加。特に3月中の購入額は8300億円を超し、月間としては過去最大を記録した。アメリカの長期金利上昇や米中間の貿易戦争で、3月の株式市場は大揺れ。日経平均は月間614円の値下がりだったが、これだけの下げで済んだのは日銀の大量購入があったためだ。

日銀が発表したETFの保有額は、購入時点の簿価を積算したもの。これを現在の株価で計算し直すと、約24兆円に膨れ上がる。株価の値上がりで、日銀は5兆円も儲かったわけだ。東証1部の時価総額は現時点で約649兆円。したがって、日銀はその3.7%を保有していることになる。日本最大の大株主であることに間違いない。

正確に言うと、日銀は法律によって民間会社の株主になることを禁じられている。このため市場でETFを買うときは、信託銀行に委託する。だから法律的には、信託銀行がETFを保有しているわけだ。しかし実質的に購入の主体は日銀であり、保有者も日銀である。しかも買うことはあっても売ることはない特別な大株主なのだ。

日銀によるETFの保有が増えるにつれて、その副作用も明白になってきた。まず株式市場が本来の需給関係を反映しなくなったこと。次にETFのなかには業績が芳しくない会社も含まれているが、日銀の買いでその銘柄も値上がりしてしまうこと。日銀は今年度も6兆円のETFを買い入れる方針だから、副作用の方もそれだけ強まって行く。

      ≪11日の日経平均 = 下げ -107.22円≫

      ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


「目には目を」の闘い : 米中貿易戦争 (下)

2018-04-11 07:49:10 | 貿易
◇ 問題は世界経済の耐久力 = アメリカ側は主要閣僚が、しばしば「交渉による解決」を示唆している。たとえばムニューシン財務長官は「中国側とは定期的に連絡をとっている」と発言した。このため、すでに水面下の交渉が進行中との見方も広まっている。株式市場は米中両国政府による報復関税の応酬と交渉説の狭間にあって、揺れ動いているというのが現状だ。

ここで気になるのが、USTRが発表した制裁関税の発動スケジュールだ。約1300品目に25%の関税を上乗せする計画について、5月下旬まで一般の意見を聞くと言っている。つまりアメリカ側の第2ラウンドは、5月末までは実行されない。中国側もその対抗措置を、前倒しで実行することはないだろう。このこと自体は冷却期間ができるわけで、好ましいことに違いない。

だが逆に言うと、米中貿易戦争についての警戒や不安が、少なくとも5月末まで続くことになりかねない。そこで問題は世界経済が、そこまで耐えられるかどうかだろう。すでに株式市場の恐怖指数は、平常とされる20を超えて上昇してきた。鋼材や大豆、トウモロコシ、豚肉、それに海運市況までもが下落している。世界の貿易量も縮小する方向だ。

こうした状況で、企業経営者の多くが将来に不安を感じると、株価は下がり景気は悪化しやすくなる。そこまで行くと、世界同時好況のワク組みは崩壊せざるをえない。現状はその瀬戸際にあると言えるだろう。アメリカの経営者は大規模減税への期待もあって、まだ強気だと伝えられる。日本の経営者はどうだろうか。

      ≪10日の日経平均 = 上げ +116.06円≫

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


「目には目を」の闘い : 米中貿易戦争 (上)

2018-04-10 07:04:19 | 貿易
◇ 第3ラウンドまできた報復合戦 = 米中貿易戦争は3月22日、トランプ大統領が中国から輸入する情報機器など1300品目に25%の関税をかけると発表して、火ぶたが切られた。さらにあくる23日には、中国を主たる狙いとした鉄鋼とアルミに対する輸入関税も発効。これに対して中国は4月2日、果物や豚肉などアメリカからの輸入品128品目に最大25%の報復関税をかけると発表した。これが第1ラウンドである。

さらに4月3日になると、こんどはUSTR(米通商代表部)が中国の知的財産権侵害に対する制裁関税の内容を発表した。情報通信機材など1300品目に25%の関税を上乗せするという内容。これに対し中国は4日、アメリカ産の大豆や小麦、航空機など106品目に25%の報復関税を上乗せする案を発表した。これが第2ラウンドである。

それでもまだ終わらない。トランプ大統領は5日、中国製品に1000億ドル分の関税を追加する案を検討中と発表した。これが第3ラウンド。これに対して中国はすぐ反発の姿勢はみせたが、具体的な反応はまだない。このように米中間の貿易戦争は、わずか半月の間に第3ラウンドまで進んでしまった。しかし第1ラウンドと第2・第3ラウンドの間には、大きな相違点がある。

というのも第1ラウンドの措置は、両国ともに即実施している。ところが第2・第3ラウンドは、案の内容を発表しただけで実施はしていない。特に第3ラウンドについて、アメリカは「実施の案を検討中」と言うにとどめている。つまり第1ラウンドでは“殴り合い”の喧嘩になったが、その後は“口先の脅し”だけ。こんな相違点があるから、米中両国は水面下で交渉を進めているのではないかという推測も強くなっている。

                              (続きは明日)

      ≪9日の日経平均 = 上げ +110.74円≫

      ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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