経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

企業の業績は 回復するのか (上)

2020-08-19 07:35:11 | 利益
◇ 4-6月期は57%の記録的な減益に = 企業の4-6月期決算発表が、ほぼ出揃った。日経新聞の集計によると、金融を除く全産業の売上高は前年比18%の減少。純利益は57%という記録的な減益となっている。コロナ対策として4-5月に実施された緊急事態宣言の結果が、ここに如実に表われた。コロナによって業績を上げた企業もあるが、大半の企業は荒波をかぶって苦戦している。

多くの企業は、21年3月期の通年見通しも発表した。全産業の純利益は30%の減益になる見通し。この利益水準は、これまでのピークだった18年3月期の約半分になるという。減収減益になる企業が、全体の約5割を占める。赤字企業は約3割、増収増益になる企業は約2割という構成だ。

ただ純利益の見通しをみると、4-9月期は54%の減益、10-3月期は19%の増益となっている。全体としてみれば、企業の業績が7-9月期に急回復することは間違いない。緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されたからだ。したがって4-9月期の純利益が54%減益にまで改善される見込みは十分にある。しかし10月以降は増益基調に戻るという見方は、むしろ期待に近い見通しではないか。

コロナの感染者は6月以降、増加する傾向にある。8月に入ると、死亡者数も増えてきた。すでに東京、大阪、沖縄など、9つの都府県が、店舗の休業や営業時間の短縮を要請している。状況から判断すると、事態は悪化しつつあるようだ。10月以降は事態が改善され、経済活動がもっと自由になる可能性は決して大きくない。残念ながら、企業の業績が増益基調に戻るという展望は暗い。

                              (続きは明日)

       ≪18日の日経平均 = 下げ -45.67円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫     

最深の 景気ダウン : 4-6月期

2020-08-18 08:29:40 | 景気
◇ 10月以降はお先真っ暗 = 内閣府は17日、ことし4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率はマイナス27.8%に。リーマン・ショック後の09年1-3月期に記録したマイナス17.8%をはるかに上回る未曽有の落ち込みになった。GDPの実額は約487兆円となり、ピークだった19年7-9月期の539兆円に比べると、52兆円も減少したことになる。

内訳をみると、個人消費が年率で30.1%も減少した。緊急事態宣言の発令で外出規制や店舗の営業休止が実施され、消費は3割も縮小したことになる。また世界的なコロナ不況で、輸出は56.0%の減少。半分以下に落ち込んだ。企業の設備投資は5.8%の減少。意外に小幅な減少にとどまったが、これは急速なコロナ情勢の展開に経営判断が追い付かなかったためだと思われる。

欧米諸国の落ち込み方も激しい。アメリカは年率マイナス32.9%。ユーロ圏はマイナス40.3%。そしてイギリスはマイナス59.8%の減速を経験した。比べてみると、日本の落ち込み方はまだましということになるが、それだけコロナ対策が徹底的でなかったと言えるのかもしれない。またいち早くコロナを制圧した中国は、年率3.2%のプラス成長に戻っている。

緊急事態宣言が解除されたため、7-9月期の成長率はV字型の回復を見せるだろう。民間の事前予測では、プラス11%台の成長が見込まれている。しかし問題は10月以降の足取りだ。政府は20年度中の成長率をマイナス4.5%と想定しているが、これはコロナの第2波が来ないことが前提。現状から判断すると、秋以降に第2波・第3波が来る可能性は高いようだ。いずれにしても10月以降の成長率は「予測できない」というのが、正直な見方だろう。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -192.61円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2020-08-17 07:24:13 | 株価
◇ バブルの色が濃くなった = ダウ平均は先週498ドルの値上がり。先々週からの通算では1500ドルを超える上昇となった。半年ぶりの高値を回復、2万8000ドルに接近している。政府の追加景気対策とFRBの金融緩和継続で、資金の供給はまだ続くという安心感が株価を支えた。国債の増発で金利が上がるとの思惑から、金融株が上昇。ワクチンの開発が進んだというニュースも、買い材料になっている。

日経平均は先週959円の値上がり。先々週からの通算では1600円近くの上昇となった。節目となっていた2万3000円台を2か月ぶりに回復、こちらも半年ぶりの高値に戻っている。円相場はやや下落したが、ほかには特に目立った好材料は見当たらない。ニューヨーク市場の活況に引っ張られた形となっている。

しかしアメリカでも日本でも、コロナの感染に終息の兆しはない。したがって経済の再生が順調に進むかどうか。企業の業績がV字型に回復するかどうか。見通しは定かでないから、株価が上昇すればするほど、実体経済との乖離は大きくなる。それでも株価が上がる現状は、バブルと説明するしかないだろう。問題はバブルの持続性ということになってくる。

今週は17日に、4-6月期のGDP速報。19日に、7月の貿易統計と訪日外国人客数、6月の機械受注。21日に、7月の消費者物価。アメリカでは17日に、8月のNAHB住宅市場指数。18日に、7月の住宅着工戸数。21日に、7月の中古住宅販売が発表される。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (23)

2020-08-15 08:07:39 | なし
◇ アジア・アフリカにも拡大中 = 日本時間14日午前0時の集計。世界の感染者は2000万人、死亡者は73万人を超えた。感染者は19日間で500万人増えており、パンデミックは加速している。アメリカ・ブラジル・インドの3か国で世界の約半分を占めており、この3か国の状態はいぜんとして深刻だ。さらに感染はアジアやアフリカ諸国にも広がっており、たとえばフィリピンの感染者は14万人台、インドネシアは13万人台に達している。

死亡者数を国別にみると、アメリカは16万6118人、ブラジルは10万4201人、インドは4万7033人。この1週間で、インドがイギリスを抜いて3位に上がった。あとはイギリス、イタリア、フランス、スペインの順。これらヨーロッパ諸国は落ち着いており、たとえば徹底的な行動規制を続けているイタリアの死亡者数は44人の増加にとどまっている。

流行の中心は、アジアやアフリカ諸国に移りつつあるように思われる。しかし、これら諸国の大半が十分な医療施設を持っていない。このためPCR検査も出来ず、感染者や死亡者の集計も覚束ないところが多い。ある意味では、コロナ・ウイルスの確認や追跡が不可能になってしまう。これは先進国にとっても重大な問題だが、まだ先進国の反応は鈍い。

日本の感染者は5万人を超えた。死亡者は1090人に達している。政府は重症者や死亡者数が少ないという理由で、GO TO トラベルも中止しようとはしない。しかし7月10日以降の週間死亡者数を辿ってみると、5人・3人・7人・15人・29人・41人と増えてきている。これでも安心していていい状態なのだろうか。

       ≪14日の日経平均 = 上げ +39.75円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】    

コロナで減った 犯罪・事故 : 1-6月

2020-08-14 08:31:59 | なし
◇ 緊急事態宣言中は激減した = 警察庁の集計によると、ことし1-6月に全国の警察が認知した刑法犯の件数は30万7644件だった。前年同期に比べて15.4%も減っている。刑法犯の件数は02年から減り続けているが、この減少幅は異常に大きい。この調子だと、ことしの刑法犯の件数は戦後最低になる公算が強い。主たる原因は、コロナ対策で外出が自粛されたことにあると考えられている。

なかでも大幅に減少したのは、ひったくりや自転車泥棒などの街頭犯罪。9万9573件で、前年より22.8%も減った。緊急事態宣言が出ていた4月は31.8%、5月は43.2%の大幅な減少。この数値からみても、外出規制が犯罪の減少につながったことは間違いない。また窃盗犯も17.8%減少したが、一般家庭では留守が減ったせいか盗難が減少した半面、休業した店舗での空き巣が増えたという。

オレオレ詐欺などの特殊詐欺も前年比14.4%、3年連続で減少した。これも家族が家にいたケースが多く、被害を少なくしたと警察庁では分析している。ところが特殊詐欺については、コロナの感染拡大に乗じた新手の詐欺が発生。被害総額は8679万円にのぼったというから、油断は出来ない。

一方、全国で起きた交通事故は14万6043件。こちらも前年比22.3%の大幅な減少となった。これも外出自粛の影響だとみられている。ただ道路が空いてスピードを出し過ぎたためか、死亡者数は1357人、前年比で4.3%しか減らなかった。また東京消防庁の集計によると、東京都内の火災件数は1910件で、前年より331件も減少した。これも飲食店などが休業した結果だとみられている。

       ≪13日の日経平均 = 上げ +405.65円≫ 

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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