経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

所得と設備投資は 回復せず

2020-11-17 07:36:22 | 景気
◇ 成長率はプラス21.4%だったが・・・  内閣府は16日、7-9月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率はプラス21.4%に。新型コロナの影響でマイナス28.8%と戦後最大の落ち込みとなった4-6月期から、V字型の回復となっている。ただ4-6月期の落ち込みに対しては、その52%を取り戻したに過ぎない。アメリカや中国、あるいはEUも7-9月期の成長率は大きく上昇しているが、これら諸国に比べると日本の回復ぶりは鈍い。

成長率がプラスに転じたのは、政府が経済再生に向けた対策を講じたため。緊急事態宣言を解除し、GO TO キャンペーンを実施した。また1人10万円の現金支給も、消費の底上げに貢献した。それでも7-9月期の名目GDPは、年率換算で507兆6000億円。ピークだった19年7-9月期の539兆円にくらべると、6%も縮小している。

内容をみると、いずれも年率換算で個人消費はプラス20.3%、輸出はプラス31.3%と大きく伸びた。しかし企業の設備投資はマイナス12.8%で、回復していない。さらに雇用者報酬も、前年比2.2%の減少だった。このことは企業がいぜんとして将来を不安視し、投資や人件費の増加に消極的なことを示している。

民間調査機関の予測によると、10-12月期の成長率はプラス4%前後になる見通しだ。この通りになれば、景気の回復は持続することになる。だが11月に入ってコロナ・ウイルスの伝染は、急に勢いを増している。下手をすると、成長率は再びマイナスに落ち込む危険性も否定はできない。そうなれば、設備投資も所得も回復はさらに遠のいてしまう。

       ≪16日の日経平均 = 上げ +521.06円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-11-16 08:07:58 | 株価
◇ ダウは最高値接近、3万ドルへ = ダウ平均は先週1156ドルの値上がり。11月になってからの2週間で3000ドル近くの上昇となった。終り値は2万9480ドルで、2月につけた史上最高値まであと88ドル。3万ドルの大台まであと520ドルの水準に到達している。大統領選挙が終わって不透明感が一掃されたところへ、コロナ・ワクチンの実用化が近いというニュースが飛び込んで、買い一色になった。

日経平均は先週1061円の値上がり。ニューヨーク市場の活況に引きずられた。この2週間では2400円の上昇となっている。GO TO キャンペーンなどの効果で景気が上向き、企業業績も回復していることへの期待も大きい。円相場はやや下落しており、東京市場の出遅れ感が強まった。このため外国人投資家の物色も目立っている。

当面の関心事は、日米ともにコロナ感染の勢いが強まっている点。アメリカの感染者は5400万人を超え、日本の1日当たり感染者数も8月のピークを上回ってきた。アメリカでは外出制限など、再規制に踏み切る州が続出。日本でも規制緩和は一時停止の状態となっている。11月以降の景気がどこまで下向くか。企業業績が再び悪化するか。具体的な数値が発表されると、株価の上昇もストップする公算が大きい。

今週は16日に、7-9月期のGDP速報。18日に、10月の貿易統計と訪日外国人客数。20日に、10月の消費者物価。アメリカでは17日に、10月の小売り売上高と工業生産、11月のNAHB住宅市場指数。18日に、10月の住宅着工戸数。19日に、10月の中古住宅販売。また中国が16日に、10月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (36)

2020-11-14 08:07:29 | なし
◇ 日本にも第3波が襲来 = 新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的大流行)が止まらない。全世界の感染者は5200万人、死亡者は128万人を超えた。国別ではアメリカが感染者1040万人、死亡者24万1809人。ブラジルが感染者574万人、死亡者16万3368人。インドが感染者868万人、死亡者12万8121人。この3か国が、いぜんとして圧倒的に多い。

死亡者数でみると、次いで多いのがメキシコで9万人台。あとはイギリスが5万人台。イタリア・フランス・スペイン・イランが4万人台。ロシア・アルゼンチン・コロンビア・ペルーが3万人台と続いている。夏を迎えた南米諸国でも、コロナの勢いは衰えていない。またアジアでは、インドネシアの死亡者が1万人を超えた。

日本にも第3波が押し寄せた。全国の感染者数は12日に、1660人の増加を記録。第2波の8月に記録した1日の新規感染者数を上回り、過去最大となった。このため11月に入ってからは、第3波の襲来という見方が強まっている。感染者の累計は11万4519人、死亡者数は1886人に達した。前週に比べて、死亡者数は65人の増加だった。

感染者の増加は、PCR検査数が急増したためと考えられている。これまでは発熱などの症状がある人を中心に検査が行われたが、最近は無症状の人も検査を受けるようになり陽性者が増加した。政府がGO TOなどのキャンペーンを縮小しないのも、こうした理由なのだろう。ただ死亡者数も徐々に増えつつある。ちなみに第1波の死亡者ピークは4月の1週間137人、第2波は9月の94人だった。今週の65人が今後どのように増えて行くか。注視して行きたい。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -135.01円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

難関は 冷凍輸送・保存 : ワクチン

2020-11-13 07:51:43 | なし
◇ 冷凍庫は足りるのか? = アメリカの大手製薬会社ファイザーは9日、開発中の新型コロナ用mRNAワクチンについて「最終段階の臨床試験で9割以上の予防効果が認められた」と発表した。今月中にもFDA(食品医薬品局)に承認申請を出し、年内に2500万人分、来年は6億5000万人分のワクチンを生産する予定だという。安全性や効果の持続期間など不確かな点もあるが、とにかく最近にない朗報。株価も大幅に上昇した。

新型コロナ・ウイルスの流行には、全く衰えがみえない。アメリカやヨーロッパ諸国、あるいはインドや南米諸国など、感染者や死亡者は増加傾向にある。世界では5000万人が感染し、125万人が死亡した。こんなとき、頼みの綱はワクチン。世界で50に近い製薬会社が開発にしのぎを削っているが、その第1号としてファイザーが名乗りを挙げたわけだ。

すでに日本政府はファイザー社との間で、ワクチンの供給を受ける契約を結んでいる。その内容は、来年上半期中に1億2000万回分の供給を受けるというもの。このワクチンは少なくとも2度の接種が必要なので、約6000万人分ということになる。したがって順調に行けば、来年春から接種が始まるかもしれない。政府もこの費用を無料にするための法案を、いま作成中だ。

大問題はワクチンの輸送と保存である。なにしろ「摂氏マイナス68度以下」にしなければならないというから大変だ。航空機で運ぶとすれば、超大型の強力な冷凍庫が必要になるだろう。また日本国内では、どのようにして運ぶか。さらに大病院では大きな超冷凍庫、小さい診療所では小さい超冷凍庫を備えなければならない。厚生労働省は、そこまで考えているのだろうか。
 
       ≪12日の日経平均 = 上げ +171.28円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

頓挫した 入国規制の緩和計画 (下)

2020-11-12 08:13:41 | なし
◇ オリンピックはどうなるんだろう? = 東京オリンピック・パラリンピック2020は、コロナの影響で来年7月に延期された。全世界からやってくる人は、選手だけでも約1万5000人。コーチや審判員、大会関係者、メディアやボランティアを含めると、7-8万人にのぼると推定されている。そのうえに観客。外国からどの程度の観客が来るかは、現状では見通しが立たない。これらの入国者をどう扱うのか。

政府は、この問題についても検討を始めた。いま日本は、コロナの蔓延が激しい140以上の国・地域からの入国を禁止している。しかしオリンピック関連の入国者については、特例として入国を認める方針。したがって選手など7-8万人と観客が、来年夏には来日してくる見込みだ。ただ競技会場と宿舎などに、行動範囲を制限する方向で検討中。

行動範囲が制限されると、大会関係者はもちろん、一般の観客も日本国内を観光することは出来なくなる。このため少なくとも観客の数は、予想をかなり下回る可能性が大きい。また無観客で競技を行うという案も出ているが、いまのところIOC(国際オリンピック委員会)、日本政府、東京都も無観客試合は想定していない。

これだけの入国者を、政府はちゃんと管理できるのか。準備すべき事項は限りなく多く、来年夏までに間に合うのか。かなり心配である。また世界的にパンデミック(大流行)が進行しているいま、たとえばアフリカ諸国などが、選手を派遣できるかという問題もある。さらに日本自体がコロナを制圧していなければ、日本への渡航を許さない国も出てくるだろう。問題は、日一日と差し迫ってきた。

       ≪11日の日経平均 = 上げ +444.01円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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