経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2022-12-26 07:38:44 | 株価
◇ 関心は「景気後退の長さ・深さ」へ = ダウ平均は先週283ドルの値上がり。終り値はまた3万3000ドル台を回復した。消費者信頼感指数が予想を上回ると上げたが、7-9月期のGDP確定値が上方修正されると下げた。またPCE(個人消費支出物価)が鈍化すると、株価は上げている。発表される経済指標をそのまま素直に受け取るか、それともFRBの政策に対する影響を重視するか。市場は迷い始めたようだ。

日経平均は先週1292円の大幅な値下がり。日銀が20日に超緩和政策を終了、事実上の利上げに踏み切ったことで、金利と円相場が急上昇。市場の空気は一変した。金融株は買われたが、輸出関連株などは売られた。政府・与党が決めた税制改正や過去最大114兆円の予算案にも、ほとんど反応していない。

これまでニューヨーク市場は「景気の下降を示す指標=引き締めテンポの鈍化」と受け取ってきた。だが最近は、景気の下降そのものを警戒するように傾いてきている。つまり「景気の下降を示す指標=買い」ではなくなりつつある。カネ余りが生んだ異常な論理も、説得力を失ってきたわけだ。そして市場の関心は「景気後退の長さと深さ」に移行しつつあると言える。

今週は26日に、11月の企業向けサービス価格。27日に、11月の労働力調査、商業動態統計。28日に、11月の鉱工業生産。アメリカでは27日に、10月のFHFA住宅価格指数。28日に、11月の中古住宅販売。また中国が31日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。なお30日は、東京市場の大納会。

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
   

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (144)

2022-12-24 07:45:40 | なし
◇ あなどれないパンデミックの勢い = 世界の感染者は累計6億5804万人、この1週間で388万人増加した。この増加数は前週より1万人多い。死亡者は668万1928人で、週間1万3528人の増加だった。この増加数は前週より1036人多い。感染者は前週とほぼ同じだが、7週連続で拡大している。死亡者の増加数は10月中旬以来の多さ。全体として悪化の傾向が続いている。ただ実際のパンデミック(世界的流行)は、もっと勢いが強い可能性も出てきている。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計108万9340人。この1週間で3141人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、フランス・インドネシア・ドイツが16万人台となっている。このうちドイツが16万人台に乗せた。

日本の感染者は累計2780万0850人。この1週間で109万7011人増加した。この増加数は前週より11万6414人多い。増加数が週間100万人を超えたのは8月下旬以来。21日には、1日の感染者が20万人を超えた。死亡者は5万4729人、この1週間で1850人増加している。9月上旬以来の多さで、前週より321人多い。日本の悪化ぶりは、世界でも群を抜いている。

感染者の集計については、日本もそうだが無症状患者を含めない国が多くなった。また死亡者の集計も、中国は基礎疾患によるものを除外した。また、この1週間をみてもインドは死亡者が18人、メキシコは105人しか出ていない。情報はないけれども、こうした国でも基礎疾患による死亡者を除外しているのではないか。実際のパンデミックは、もっと拡大している可能性が疑われる。油断は禁物だ。

        ≪23日の日経平均 = 下げ -272.62円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     

とうとう陥落! 日銀が利上げ (下)

2022-12-23 08:33:51 | 日銀
◇ 経済全体に活、景気は上昇の公算 = 金利が多少でも上がると、まず活気付くのは金融機関だ。これまではゼロ金利で預金は集まらないし、貸し出しても儲からない。それが少しでも多く預金を集めて貸し出せば、ある程度は利益が出せる。本来の銀行業務が、10年ぶりに復活するわけだ。借りる側の企業も、金利を取られるからおカネを効率的に使おうと努力するようになる。ゾンビ企業は潰れるが、それだけ経済全体の生産性は向上する。

住宅ローンが上がるから、建築業界には打撃とよく言われる。だが実際は、もっと上がらないうちにローンを借りて家を建てようと考える人の方が多い。企業も同じ理屈で、早めに融資を受けて設備を更新してしまおうと考える経営者が多いに違いない。政策金利が3%以上にもなれば、金利負担の重さで経済にはマイナス圧力がかかる。しかし2%未満の金利なら、プラス効果の方が強い。

たとえ0.25%の利上げでも、円相場が大幅に上昇した。これが輸入物価に及ぼす効果は、きわめて大きい。少なくともエネルギーや食料品の、これ以上の値上がりにはブレーキがかかるだろう。電気料金やガソリンなどは、値下がりする可能性もある。企業や家計にとっては大助かりで、設備投資や消費を増やす原動力になるかもしれない。

利上げが預金金利にまで波及すれば、景気を押し上げる力は加速する。いま個人と企業は合計700兆円に近い預金を保有している。これにもし0.1%の金利が付けば、年間7000億円。仮にその半分が消費や投資に向けられれば、どうなるか。ゼロ金利政策を止めれば、こうして経済に活が入る。日銀は少なくとも半年前にそうするべきだった。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +120.15円≫

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

とうとう陥落! 日銀が利上げ (上)

2022-12-22 08:13:01 | 日銀
◇ 超緩和政策の終わり→引き締めの始まり = 日銀は20日の政策決定会合で、長期金利の変動幅を上下0.25%から上下0.5%に拡大することを決めた。仕組みはややこしいが、実質的には政策金利を0.25%から0.5%に引き上げたことと同じ。この決定を受けて、長期金利は0.25%から0.462%に急上昇。円の対ドル相場は一気に6円も急騰、日経平均は668円の急落となった。

黒田総裁は記者会見で「これは金融政策の小幅な修正だ。利上げではないし、引き締めの意図も全くない」と強調した。しかし、これは完全な詭弁。というのも総裁自身が以前「変動幅の拡大は、利上げを意味する」と繰り返し述べていたからだ。こんな詭弁を弄したのも、10年間続けてきた超緩和政策への思い入れがあったからだろう。しかし市場は0.25%の利上げと受け取り、大きく震動した。

日銀が超緩和政策を守り切れなかった理由は2つ。1つは長期金利が0.25%を超えるのを防ぐため、大量の国債を買い続けたこと。その結果、10年国債の取り引きが阻害され、企業が発行する社債の市場にも悪影響が及んだこと。もう1つは円安の進行で、輸入物価が上昇し過ぎたこと。つまり超緩和政策の悪影響が、限度を超したためとも言えるだろう。

だが、こうした2つの悪影響はウクライナ戦争が始まったころから問題となっていた。その後、アメリカやヨーロッパ諸国が利上げを始めても、日銀はひとり孤高の道を歩んできた。それが、とうとう限界に達したわけである。しかし、いったん中央銀行の姿勢が崩れると、市場はさらなる利上げを要求してくる。日銀の今回の決定は「超緩和政策の終わり」と考えるよりは「新たな引き締め政策の始まり」と、捉えるべきだろう。

                        (続きは明日)

        ≪21日の日経平均 = 下げ -180.31円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

景気後退に身構える NY市場 (下)

2022-12-21 07:37:44 | 株価
◇ 危険なのは低格付け債券への投資増加 = 株式市場では、投資する銘柄の厳しい選別が始まった。景気動向との関連性が高いハイテクや商業、金融が売られ、関連性が低い公益事業やヘルスケアなどの銘柄が買われる。もちろん株価が十分に下がれば、ハイテクや商業も買い直されるだろう。しかし傾向的には、こうした選別が当分は続くに違いない。

資金は安全性を求めて、株式市場から債券市場へと移動する。特に国債市場には資金が流入、価格が上昇して金利が低下した。たとえば10年国債の利回りは、一時の4.2%台から3.4%台へ下落。このため日米間の金利差が縮小して、円の対ドル相場も上昇した。またアメリカでは優良債券も買われ、その利回りも同様に低下している。

MMF市場にも、大量の資金が流入した。MMFというのは、短期国債や格付けの高いコマーシャル・ペーパーを中心に運用する投資信託の一種。7月以降の流入額は2570億ドルに達したと推定され、利回りは3.5%程度に上昇している。この金利に惹かれた投資も多いが、MMFはすぐに現金化できるため次の投資先を探す間の‟待合所”的な感じも濃い。

問題なのは、低格付け債券にも資金が流れ始めたこと。もともとリスクが高いために、金利を高くしなければ売れない。最近は周囲の金利が上昇したため、いっそう高い金利を付けるようになった。現在の利回りは平均9%、なかには15%のものもあるという。この高い金利に釣られて、一部の投資家が手を出す。ただリーマン・ショックの経験から、金融機関については買い入れが厳しく規制されてはいる。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -669.61円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫.

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>