経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

景気後退に身構える NY市場 (上)

2022-12-20 07:58:12 | 株価
◇ 投資家の行動も様変わり = ニューヨーク株式市場の空気が一変した。FRBは先週14日、政策金利の0.5%引き上げを決定。同時に、23年末の政策金利が5.1%になるという見通しも公表した。これで23年中に利下げが始まるという公算はほぼ消滅、アメリカは景気後退に入る――と、多くの市場関係者が懸念した。その結果、一部の投資家たちは「景気後退に備えるための行動」をとり始めている。

パウエルFRB議長は、利上げ発表後の記者会見で「23年中に利下げを実施できる可能性はない」とバッサリ。また「景気後退になるかどうかは判らない。仮になったとしても、その深さがどのくらいになるかは判らない」と発言。さらに「23年末の金利予想を再び引き上げないという自信はない」とまで言い切った。これで市場関係者の景気後退に関する懸念は、一気に確信に変わっている。

これまで市場は「実体経済が悪化すれば、FRBの金融引き締めテンポは緩和される。だから株式は買い」という、やや奇妙な論理を貫いてきた。これは景気後退を‟遠くの幻影”としか考えていなかったからである。しかし現実に景気後退の影が目に見えてくると、そうは言っていられない。これからは実体経済を映す経済指標を注視、素直に反応して行く必要に迫られた。

その経済指標は、これから悪い結果が出てくる可能性が高い。すでに工業生産が2か月連続で減少、小売り高も11月は前月を下回った。各種の景況感指数も低下している。だとすれば、株式一辺倒の資産運用は危ない。投資先は安全性の高い国債などに分散することを考えよう――投資家の行動に変化が現われ、市場のムードは一変した。

                       (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 下げ -289.48円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2022-12-19 07:47:39 | 株価
◇ 3つの数字に翻弄された株価 = ダウ平均は先週556ドルの値下がり。終り値は3万3000ドルを割り込んだ。週初は11月の消費者物価が上げ率を7.1%に縮小したため上昇。週央はFRBが0.5%の利上げを発表。この上げ幅は織り込み済みだったが、23年末の政策金利が5.1%まで上がるという見通しが出て下落。さらに週末は11月の小売り売上高が前月比マイナス0.6%。景気後退の恐れが一挙に増大して下げている。

日経平均は先週374円の値下がり。終り値は2万8000円を割り込んだ。だがニューヨーク市場に比べると、下げ方は小さい。前週もニューヨークが下落したのに、日経平均は上げている。なぜなのか。出遅れ株への物色もあるようだが、外国人投資家は手を引いている。早くもクリスマス休暇のムードに入ったのか。それとも日本株に対する見方に、変化を生じたのか。

ニューヨーク市場は利上げと小売りの軟調が重なり、景気後退への警戒感が拡大した。まだカネ余り状態は続いているから、今週は反発する可能性もある。しかし景気後退への警戒感が続くと、株価は下降局面に入るかもしれない。年末商戦の行く方、企業業績の見通しなど、関心は実体経済の指標に集中するだろう。

今週は21日に、11月の訪日外国人客数。23日に、11月の消費者物価。アメリカでは19日に、12月のNAHB住宅市場指数。20日に、11月の住宅着工戸数。21日に、11月の中古住宅販売、12月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。22日に、7-9月期のGDP確定値。23日に、11月の新築住宅販売が発表される。

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (143)

2022-12-17 07:57:24 | なし
◇ 中国が無症状感染者の集計を取り止め = 世界の感染者は累計6億5416万人、この1週間で387万人増加した。この増加数は前週より25万人多い。死亡者は666万8400人で、週間1万2492人の増加だった。この増加数は前週より405人少ない。感染者は微増、死亡者は微減したが、全体としてコロナの勢いはやや強まっている。こうしたなかで日本の状態だけが明白に悪化。また中国が無症状感染者の集計を取り止めた。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計108万6199人。この1週間で2837人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、フランスとインドネシアが16万人台、ドイツが15万人台となっている。ヨーロッパ大陸諸国でやや増加したが、全体として大きな変化はない。

日本の感染者は累計2670万3839人、この1週間で98万0597人増加した。この増加数は前週より20万3586人多い。9週連続で増加数が拡大している。死亡者は5万2879人、この1週間で1529人増加した。この増加数は前週より249人多い。増加数の拡大は7週連続。世界中でこのように状態が悪化しているのは日本だけ。政府はコロナの扱いをインフルエンザ並みに格下げしようとしているが、死亡者が週間で1500人も出ているようでは、とても無理だと言わざるをえない。

ゼロ・コロナ政策の修正に走っている中国政府は14日、全国民に対する検査を停止、無症状感染者の集計も取り止めると発表した。この結果、感染者の増加数は全国で7700人に減ったが、北京市だけで発熱患者が2万2000人に達したという不可解な現象も現れている。一般市民はむしろ感染を恐れて外出しない。このためゼロ・コロナ政策を修正しても、経済活動が回復しないという状況に追い込まれている。

        ≪16日の日経平均 = 下げ -524.58円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

企業物価は 高止まり : 11月

2022-12-16 07:41:11 | 物価
◇ 石油・石炭の値下がりで一息ついたが = 日銀は12日、11月の企業物価を発表した。それによると、20年平均を100とした物価指数は118.5。前年比では9.3%の上昇だった。21か月連続で上昇している。このうち輸入物価は契約通貨ベースで8.6%の上昇、円ベースでは28.2%の上昇だった。まだ円安による輸入物価の押し上げが続いている。

品目別にみると、最も大きく値上がりしたのは電力・都市ガス・水道の49.7%上昇。次いで鉱産物が32.9%、鉄鋼が20.9%、紙・パルプが10.8%の上昇。飲食料品は7.2%の上昇だった。516品目中、438品目が上昇している。ただ、ここで注目されるのは石炭・石油製品の価格。前年比でわずか0.5%の上昇にとどまっている。この傾向が持続すれば、物価全体の上昇に歯止めがかかる。

企業物価の上昇が、いちばん激しかったのは9月。前年比で10.3%上昇した。それに比べれば、11月はちょうど1ポイント上昇率が縮小したことになる。ところが品目別に比べてみると、鉄鋼以外はみな11月の方が大きく上昇している。たとえば電力・都市ガス・水道の9月の上昇率は38.8%で、11月を下回っていた。飲食料品も、9月は6.4%の上昇だった。にもかかわらず11月の指数が9月を下回ったのは、石油・石炭製品の価格がほぼ横ばいとなったことが大きい。

エネルギーの国際価格は、ロシア産の供給に不安のある天然ガスが強含み。しかし原油や石炭は目立って下げた。それに加えて円相場が円高に振れたため、日本が輸入する石油・石炭製品も上げ止まったことになる。エネルギーの面からみる限り、これで一息つけたという感じが強い。ただ原油や石炭の国際価格が値下がりしたのは、世界経済に不況の影が忍び寄ったため。そういう意味では、喜んでばかりはいられない。

        ≪15日の日経平均 = 下げ -104.51円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

「「来年は不況」を覚悟 : 日銀短観

2022-12-15 07:41:25 | 景気
◇ 全産業が3か月後は業況悪化を予想 = 日銀は14日、12月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス7で、3か月前の調査より1ポイント低下した。主たる原因は原材料価格の高騰。4四半期連続の悪化となった。一方、大企業・非製造業の判断指数はプラス19、前回より5ポイント改善している。コロナによる行動規制の解除が、業況判断の改善につながった。

この調査は、日銀が3か月ごとに実施している。業況判断指数は「業況がよくなった」と回答した割合から「悪くなった」と回答した割合を差し引いた数字。今回は9235社から回答があった。中小企業・製造業はマイナス2で、2ポイントの改善。中小企業・非製造業はプラス6で、4ポイントの改善となっている。このように現状の業況判断は、それほど悪くはない。

ところが3か月後の先行き予想になると、状況は一変する。大企業・製造業はプラス6で、1ポイントの悪化。大企業・非製造業はプラス11で、8ポイントの大幅な悪化。また中小企業・製造業はマイナス6で、3ポイントの悪化。中小企業・非製造業はマイナス1で、7ポイントの大幅な悪化。つまり来年3月の業況は、全産業が悪化を見込んでいるわけだ。

製造業の場合は、世界経済の低迷を警戒する。アメリカやヨーロッパ諸国は、金融引き締めの効果が表われて景気は下降局面に。中国もコロナ騒ぎで不調が続く。一方、非製造業の場合は物価高が続いて消費が伸び悩む。コロナに関する規制解除は進んでも、コロナ前の状態にはなかなか戻らない。企業はそういう事態を見越して、先行きを厳しくみている。短観からは、そんな企業の心理状態が見て取れる。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +201.36円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

    

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