蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

次世代太陽電池  (bon)

2022-09-23 | 日々雑感、散策、旅行

     今日は秋分の日、お彼岸の中日です。昼夜の長さが同じ日ですから、今日から
     夜が長くなるのですね。秋の夜長・・。あちらこちらで萩がきれいに咲いてい
     ます。おはぎ・・ですね。 日銀はとうとう為替介入にはいりました。

 

 政府は2050年のカーボンニュートラルを目指した電源計画を策定し、1973年/
2020年差で、化石燃料は94.0%→76.3%、さらに2030年までに41%にまで減少、
再生可能エネルギーは1.0%→18%をさらに36~38%と大幅増計画とされています。
 しかし、原子力発電量は、2030年までに20~22%を占める計画とされていて、
温室効果ガス削減のためには、原発再稼働はもちろん新規設置の推進さえ謳われ、
COP21パリ協定の実現に向けて今後の電力の安定供給のため原子力発電はやむを得
ないと試算されているのです。もちろん、再生可能エネルギー(再エネ)の開発
推進を強力に実施するとされ、太陽光発電については、今後の住宅建設にはほぼ
100%設置するとの計画がなされているようです。

      
                    (資源エネルギー庁より)

 

 最近では、郊外に行くと太陽光発電の設備が大々的に設置されているようにな
りましたし、戸建て住宅の屋根にも見られ、また、風力発電のプロペラも目に入
るようになっています。

 ここで、太陽光発電に関して、新しい材料「ペロブスカイト太陽電池」の開発
状況について取り上げました。その実用化に向けてこの10年で大きく躍進してき
ているのです。

       ペロブスカイトの構造
         (科学技術振興機構より)

 ペロブスカイトは、ロシアのウラル山脈で発見された鉱物だそうですが、同様
の結晶構造を持つ素材を一般的な化学物質として合成して作ることが出来るのだ
そうです。このペロブスカイトは、発光材料として注目されて来たそうですが、
これを「発電材料」として、1981年に宮坂力氏(現、桐蔭横浜大学医用工学部特
任教授)により、ペロブスカイト太陽電池が発明されました。
 2009年の論文発表では、発電効率が3%程度と低く、不安定であるなどから評価
されなかったようですが、その後発電効率が10%を超え、2012年に『サイエンス』
に発表されると、世界で大きく注目を集めることとなったのです。

 日本でも、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はペロブスカイト太
陽電池の実用化を推進するため、200億円を投じた開発支援を行っており、東芝な
どの6つの事業が採択されました。

 東芝では、フィルム型のペロブスカイト太陽電池の開発を進めており、2021年9月
には703㎝²のモジュールで、太陽の光エネルギーの電気への変換効率15.1%を実現
したとあり、2025年までに変換効率は20%以上、発電コストは1kWあたり20円以下
のペロブスカイト太陽電池の実用化を目指しているという。これは、シリコン電
池の発電効率に匹敵し、コストは半分程度の優れモノということなんですね。
 リコーでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とペロブスカイト太陽電池の共同
開発を進め、ペロブスカイト太陽電池の軽量で低コストである特性をいかし、人
工衛星の軽量化による、打ち上げコストの削減を目指しているという。 また、
ホシデンでは、モバイル機器やIoT機器への搭載などの応用をはかり2023年から量
産化を目指しているそうです。

             

 太陽電池は半導体の材料によって種類があり、現在主流となっているのはシリ
コン太陽電池で、ほぼ95%のシェアを占めているそうです。 しかし、シリコン
太陽電池は重く、設置場所に制限があり、価格も高く、製造工程の高温で電力消
費量が多くかつCO₂が排出されることも課題でありました。

 ペロブスカイト太陽電池は、これらシリコン太陽電池の課題に対して、軽量で
薄く、やわらかいなどの利点、製造が安価、レアメタルを必要としないなどのメ
リットあり、設置上の課題は殆ど撤廃され、コストも1/5~1/3にあると見込まれ
ているそうです。

 今後実用化に向けてのペロブスカイト太陽電池の課題は、パネルとしての大型化、
変換効率の更なる向上、耐久性の向上だといいます。 さらに、実用化の最大の
課題は、ペロブスカイトの安定性だとあります。 ペロブスカイトは、酸素や水
分といった外的要因を受けやすく、また加熱劣化による内的不安定性があり、こ
れらによって発電効率の低下が起こるというのです。 さらに、ペロブスカイト
化合物に鉛を使用していることへの懸念もあるといいます。

 以上簡単に、ペロブスカイト太陽電池の概要を観ましたが、シリコン太陽電池
よりはるかに軽量で、印刷工程でも可能であることや、製造コストが半分程度に
なる上、曇天でも雨天でも発電が可能などの利点から、その実用化に大いに期待
が寄せられているところです。

             

 2021年7月に環境省が2030年度の太陽光発電の導入目標を約2,000万kW分上積み
しましたがこれは原子力発電20基分の電力に相当するといいますから、安価で
設置制限のない普及型太陽電池が、現状の試算(レファレンス)を超えて導入が
進み、その他の再エネ(洋上風力発電、地熱発電など)の新たな開発をも期待し
て原発依存がなくなる方向を期待したいところです。

 日本で生まれた技術ですが、ポーランドのベンチャー企業は昨年世界で初めて
ペロブスカイトの商業生産を始めたとあります。インクジェット印刷でペロブス
カイトを基盤に塗っているそうです。

 

 

 

日本で発明された次世代太陽電池 軽くて薄くて折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」の実力 都市全体を"発電所"に

 

 

 

コメント
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