突然ですが映画「館」なんです。
最近になって映画を観る機会は多く、楽しみにしています。 テレビ、特にBSで
ウイークデイには大体放送がありますので、見たいと思うのを録画しておきます。
そうです。映画館に行って観るのではなく、自宅で寝そべったりして・・。
ところが、手元にある会報に「映画館」についての記事を見つけました。『映画館
の魅力と未来』(岩崎ゆう子氏、コミュニティシネマセンター事務局長)と題して、
これまで気が付かなかった、というか殆ど意に介していなかった「映画館」について
述べられていて、ほとんど知らないことばかりなので、記事の内容をかいつまんで
ここにご紹介したいと思いました。
有名なトゥシンスキー劇場(アムステルダム)
(Esquireより)
最後に映画館で観た映画は何だったか? 思い出してみると、シネ・リーブル池袋
というシネコン(シネマコンプレックス)で、2018年に観た『モリのいる場所』でし
た。 変わり者の画家、熊谷守一の生涯を描いた作品で、山崎努がその役で面白く
印象に残る映画でした。映画を観たことで、後に、豊島区千早町にある「熊谷守一
美術館」にも訪問しました。
熊谷守一の代表作の一つ 熊谷守一美術館
横道にそれましたが、確かに映画館で見る映画は、広い暗い空間の中で、全方位
から聞こえる音、音楽に誘われて、多くの知らない人と一緒に観ていますが、全く
孤独の中で、自分一人の世界に入って画面の中に身を埋めてしまっているのです。
会報記事にも、これが映画館の大きな魅力だといっています。
会報記事から映画館事情などをご紹介しますと・・(データは、2024年3月発行の
『映画上映活動年鑑2023』)
先ず映画館の種類として、「シネマコンプレックス(シネコン)」「ミニシアター/
名画座」「既存興業館」「成人映画館」の4つに分類されているそうです。シネコン
はご存じの通り、一つの建物にいくつかの映画上映施設があるタイプで現在主流と
なっています。ミニシアターは小規模映画館で、アート系、インデペンデント映画
と呼ばれる作品でアジア、ヨーロッパなどさまざまな国の多彩な映画を上映していま
す。ここ数年は増加傾向にあるそうです。 既存興業館というのは、大手映画会社
直営または系列館として経営されて来た従来型の映画館を指しています。 次第に
減少傾向にあるそうです。
で、現在日本の映画館は 592館 あるそうですが、下の表にあるように、89%が
シネコンなんですね。(会報記事のデータを表形式に加工しました。以下同じ。)
そして、どのくらい見られているか? 2000年代では 2019年が最高で、その
観客数は1億9491万人だったそうです。この数字は他の国と比較すると、さらに次の
表に示されているように、韓国、フランス、アメリカ・カナダと比較して、1人あた
りの年間鑑賞本数で見ると、韓国4.4本、フランス3.3本に比べて日本は1.5本と諸外国
では日本よりかなり多くの本数を映画館で見ているということだそうです。
日本で、観客数が最も多かったのは、1958年だそうで、11億2745万2000人だそう
ですから現在の10倍近いですが当時の人口は9000万人あまりで、1人当たりに換算
すれば、年間10本以上となります。当時は、多くの日本人は毎月1本以上の映画を
映画館で見ていたことになります。
現在は、映画そのものを見る人がどのように変化しているかは、述べられていま
せんが、映画館で見なくても、ネットや他の手段(DVDなど)で、映画そのものの
観賞はやはり結構多いのではないか‥と思うのです。 個人的に言えば、映画館を
訪れる機会はぐっと減っていますが、その反面ネットで映画を観る機会はかなり増え
ています。高齢で出歩かなくなったことが主な理由ですが、若い人たちも、ネット
などでの映画鑑賞は結構多いのではないかと思います。
日本の映画館の数は上述したように592館とありますが、これは多いのか、少ない
のか?については、仮に、人口をスクリーン数で割った、「1スクリーンあたりの
人口」として諸外国と比較したものを下表に示しています。
これで見ると、韓国は日本の2倍以上のスクリーンがあり、フランスやアメリカ・
カナダは、日本の3倍も4倍ものスクリーンがあることになり、日本のそれはかなり
少ないといえるとあります。
さらに、日本の映画館を地域で見ると、592館、3682スクリーンのうち、200館
1291スクリーンが関東にあり、これは約35%にあたり、このうち83館(415スクリー
ン)つまり約14%が東京に集中しているそうで、全国1718市町村のうち18%の301
市町村には映画館があるがその他の80%以上には映画館がないとあります。
人口5万人以下の市町村(1215)で映画館のあるのは54(4%)に過ぎず、大きな
地域格差があると指摘されています。フランスでは2万人以上の町の殆どに映画館が
ある。1万人以下の町でも28%、1~2万人の町では73%映画館があるそうです。映画
館は図書館に次いで館数が多く、国民にとって重要な文化、教育施設と考えられて
いるとあります。
また、映画館の建物自体を捉えても、日本ではいずれ建て替えることを前提として
作られているのに対して、外国では、「パレス」と称されるにふさわしい壮麗な映画
館が多くあり、中でも100年以上の歴史を持つアムステルダムの「トゥシンスキー
劇場」(冒頭写真)などは観光地としても見学ツアーに組み込まれているそうです。
以上述べられてきたのは、とりもなおさず、映画館の斜陽に危惧を感じ、何とか
持ち直すことが出来ないかの思いがその根底にあると推測されますが、会報著者は
その未来について、「子どもと映画」をつなぐプログラムを地道に広げて行くことが
重要だと提案されています。
コロナ後は、ミニシアターの観客の中心をなしていた中高年の女性層が戻ってきて
いない、観客の高齢化が大きな要因ではないか。 映画館で映画を観たことがない
子どもは、恐らく大人になっても映画館には行かないだろう。
映画を映画館で見る時、周りに人がいても、自分ひとりで目の前の大きなスクリー
ンに投影される映像、全方位から溢れる音を浴びて2時間ほどを映画に集中する・・
そこに映画館の良いところがある。映画の内容(コンテンツ)は、ネットでも見ら
れるが、「コンテンツの視聴と映画館での体験とは別もの」であり、映画誕生から
130年の未だ新しい芸術である映画は、映画館の大きなスクリーンで上映されること
を前提として製作されて来た。
会報記事のご紹介は以上ですが、ところどころ私見もはさんで分かりずらいところ
もあったかもしれませんが、確かに、映画館で見るのは、やはり迫力が違いますし、
それに推された感動も大きいものがあります。 何といっても映画館では、自分が
映画に包み込まれて一体化しているような環境ですから、テレビ画面の前とでは大き
な違いがあります。 たまに、「映画館に行く」というイベントを確立しても良い
かもしれません。 子どもと一緒ならなおさら・・。
戦国スペクタクルドラマ『SHOGUN 将軍』US本編映像 (五大老たちの前に吉井虎長が現れる)
映画好きな人は多いけど、映画館で観なくても、という人が多いのかなと思いますね。
ポップコーンの香りは映画館を連想します(笑)
確かに、映画好きの人は多いけれど、映画館で見る人は少なくなって
いるでしょうね。少し前までは、映画館の前で並んでいたこともあったり、
時刻を気にせずに入館すると、映画が終わるまで立ち見していました。
ネットやスマホなどの普及も大いに影響があるのでしょうね。