蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

JR九州  (bon)

2015-03-11 | 日々雑感、散策、旅行


                       今日で、あの日から丸4年が経ちました。   既に4年という月日が過ぎるというのに、
                                いまだに行方不明者が2,584人にのぼり、避難者は22万8千人を超えるという。
                                福島原発は対処療法に明け暮れ、未だ汚染水漏れが納まらない。大きな災害に改めて
                                思いを寄せ、被災された方々のご苦労に胸が痛みます。


 今週末(3月14日)には、北陸新幹線(長野~金沢)が開通します。  最近のテレビなどで、沿線スポットや
金沢古都巡り、地域特産品など、いろんな角度から取り上げて、盛り上げているように思えます。
 
 少し前に、話題になったクルーズトレイン “
七つ星” という、豪華列車の紹介が報じられていました。 どこかヨーロッパあたりの列車かと見間違えるほどですが、じっと見ていると日本独特のおもてなし心が滲み出て
すぐにわかります。 とにかくすごい列車で、いつかは乗ってみたくなりました。

 そんな前置きは、さておき、先ごろH氏からネット配信いただいた記事に “JR九州” の痛快な取り組みが
紹介されていましたので、ここにコピペさせていただきました。

  七つ星列車、いずれの写真もJR九州HPから拝借しました。

 列車全景                        DXスイート
        
 

 

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「JR九州会長『型破り経営者宣言』」
                        唐池 恒二 (九州旅客鉄道株式会社 代表取締役会長) 
                           文藝春秋 2015年3月号 p354-363

 【要旨】大きな反響を呼んだ九州新幹線全線開通のCMが記憶に新しいJR九州(九州旅客鉄道)は、さまざまな
アイデアを駆使したビジネス展開でも知ら
れる。 「ゆふいんの森」に端を発するD&S(デザイン&ストーリー)列車や、
日本初の豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」、また、鉄道関連以外にも船舶、飲食、農業まで多角的に
事業を営む。それらの破天荒な 発想による
取り組みを先頭に立って進めてきたのが、本記事の筆者、同社の
唐池会長だ。 
同氏の手がけたビジネスの根底にあるのは「九州を元気にする」こと。それは政府が重要課題として
掲げる「地方創生」にもつながるものだ。本記事で
は、他のビジネスのヒントにもなる、これまでのJR九州における
取り組みと、
そのもとになる考え方を語っている。

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  2013年10月15日、クルーズトレイン「ななつ星in九州」の初運行。どこの沿線や駅でも、手を振る大勢の
人々がいる。そして、駅に降り立った私の手
をとって、「こんなすごい列車を九州に走らせてくれた。九州の誇りだ」と
口々に言ってくれたのです。当初、私は不安でした。誰もが気軽に乗れるわけではない豪華クルーズトレインを
走らせることに、地元の方々がどのよう
に感じるのか、と。しかしそれは杞憂でした。
 安倍政権のアベノミクス第三の矢の成長戦略のなかで、最重要課題として掲げるのが「地方創生」です。
このスローガンは、ひらたく言えば、「地域
を元気にする」ということ。それはまさに、私たちJR九州がこれまでずっと
取り組んできたことなのです。

  大阪出身の私がJR九州に勤めることになったのは、国鉄分割民営化直前に門司鉄道管理局勤務でそのまま
JR九州に振り分けられたからです。福岡は、
現在でこそ全く違いますが、“ムラ社会”のような閉鎖的な場所だと感じ、
苦労したものです。その頃、胸襟を開いてくださった社外の飲み友達がいまして、非常に斬新なアイデアに溢れた
方でした。とりわけ彼が強く薦めてい
たのが、九州全土を周遊する豪華な寝台列車だったのです。しかし当時は
業本部販売課の一介の副課長に過ぎず、そんな豪華列車など直ちに実現できるわけもありませんでした。

  その頃、由布院に向けて観光列車を走らせるということになり、そのプロジェクトを担当することになりました。
由布院が求めているものは何か、私
は取材を続けました。すると、ドイツのバーデン=バーデンのような、
温泉
と自然が豊かなヨーロッパの高原リゾートを目指していることがわかりました。そんな光景を念頭に置いて考え、
「ゆふいんの森」と命名したのです。
 このネーミングは当時、社内で「長すぎる」と議論を醸しました。しかし、私は、「お客さまは、長い名前はすぐに
省略して呼んでくれます」と譲らな
かった。つまり、略して呼ばれることが浸透したことの証だと考えていたのです。
運行を始めてすぐに「ゆふもり」と呼ばれているのを聞いたときは嬉
しかったものです。

  89年3月、博多と別府を結ぶ「ゆふいんの森」は運行を開始します。もっとも、その出発式のまさに当日付けで、
私は船舶事業準備室に異動となり、
高速船「ビートル」の就航準備に邁進することになります。

  「ゆふいんの森」は、「地域と一緒になって元気を作り出す」というJR九州の目標が具体化した最初であり、
のちに私がJR九州の社長就任後、次々と
生み出していった「D&S(デザイン&ストーリー)列車」の魁たる存在です。
地域が持っている文化や歴史、素材からなるストーリーを踏まえ、そのストーリーが魅力的に輝くための列車の
デザインを目指す。そうした想いを込めて、
単なる観光列車ではなく、D&S列車という言葉を造ったのです。

  現在、D&S列車は9本が運行していますが、外観も内装もすべてデザインは異なります。地域の魅力を最大限
表現するデザインは、水戸岡鋭治さんの存
在なくしては実現できませんでした。

  「指宿のたまて箱」というD&S列車は、前方から車体を見ると、左半分が白、右半分が黒というシンプルにして
ユニークな配色ですが、デザインが先行し
たわけではありません。ネーミングがコンセプトであり、ストーリーなんです。
 2011年3月の九州新幹線の全線開業に合わせて、鹿児島中央と指宿を結ぶ特急列車を走らせることになりました。
あれこれ考えて、数年前に指宿の旅
館の社長さんが、指宿は浦島太郎伝説でまちおこしをしていると話していたことを
思い出しました。指宿には龍宮神社があります。では、浦島太郎を思
い浮かべることのできる列車名にすれば、
と思ったのです。考えているうち
に、車両を箱に見立てて、「玉手箱」というのが浮かんだ。「指宿のたまて箱」という
名前とともに、「黒髪の青年だった浦島太郎が玉手箱を開けると
白髪の老人になったんですから、車両を真っ二つに
して、こっちを真っ黒に
してこっちを真っ白にしませんか?」と水戸岡さんに提案したのです。

  「ななつ星in九州」の命名は非常にてこずりました。生みの苦しみを味わって辿り着いたのが、「九州は七県で、
自然・食・温泉・歴史文化・パワース
ポット・人情・列車という七つの観光資源があり、車両は七両編成」ということで
「ななつ星」だったのです。

  他に誇るようなストーリーがない地域はどうするのか。私は、物語がない地域は、物語を作ればいいと考えています。
 熊本と天草を結ぶ特急「A列車で行こう」は、2011年10月に運行を開始しました。A列車のAは、天草のAです。
そこから何かないかと考えて、『Take
the 'A' Train』というジャズのスタンダードナンバーを連想しました。
こう
した取り組みに対して、天草の方々が喜んで応えてくれたのです。「せっかくこういうD&S列車が誕生したんだから、
天草でジャズフェスティバルをやろ
うじゃないか」。現在、「A列車で行こう」の運行に合わせたジャズコンサートが
開かれるなど、地域内でどんどん話し合いが進んでいます。

  JR九州は“異色のJR”と言われています。その原因の一端は水戸岡さんにあるのですが(笑)、お客さまが求めて
いることに気付き、常に提供するこ
とができたからだと思います。それは、鉄道会社にいながら、船舶や外食といった
鉄道以外の事業に長く携わり、鉄道事業を客観視できたという私自身
の経験もあったと思います。

  「世界一の列車」を目指した「ななつ星」は九州という地域に根ざしたからこそ注目されました。ですから、
「ななつ星」から見える車窓の景色も大
事な要素です。九州には、日本の原風景というべき里山や棚田などの
美しい
風景が広がっています。ただ、実際は休耕田や荒地が多く、雑草生え放題で車窓が寂しい場所も少なく
ありません。九州で仕事をさせていただいている
会社としてなんとかしたい。そこで、「JR九州ファーム」を立ち上げ、
農業
に取り組んでいます。荒れ果てた土地を生きた土地に甦らせれば、そこに近辺の人たちの雇用の場が
生まれる。やがては回り回ってJR九州のお客さまに
なってくださるかもしれない。農業というのは一番地域を
元気にすると思っ
ています。

  JR九州は、D&S列車、外食、船舶、農業など様々な分野で知恵を出して、九州が元気になることを目指して
きました。そして、さらに地域の方々を100%
意識した事業展開を可能にするため、2016年度の株式上場を
目指し準備して
います。上場によって、鉄道沿線の住民のみなさんに株主になっていただき、意見や要望が
届きやすい環境を作りたいと考えております。「ななつ星」の
車窓から見えた地元の方々の笑顔を私は終生
忘れることができないでしょう。
今後も地域の笑顔を作るべく、努力してまいります。

 コメント: JR九州のように、「ストーリー」を提供し、それを顧客や地域住民と共有することは、ビジネスや
地域活性化に資する強力な手段なのだろ
う。しかもJR九州の場合、唐池氏や水戸岡氏が、自ら “面白がって”
アイデ
アを出していることが、本記事からうかがえる(もちろん、苦労も多いのだろうが)。特急「A列車で行こう」の
事例などは、その面白さに地域住民が
乗っかり、さらに面白い企画を生み出そうとしている。頭を柔軟にして、
“面
白がる” ことが、成長戦略の大きなポイントといえるのではないだろうか。
                                         Copyright:株式会社情報工場

 

 スタンダードナンバーで・・(先日も選曲しましたが、ここは是非とも。)

 

 

 

 

 

 

 


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