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2012.6 三河湾展望アジサイの道と西浦温泉ドライブ

2012-06-27 23:16:46 | クルマでドライブの部屋

<6月16日>
 7年近く乗ったメルセデスCLKをCクラス・セダンに買い替えることにしたので、CLKのラスト・ランとして、土曜日に風光明媚な三河湾を展望する3つのドライブウェイをコースに入れた日帰りドライブをしてきました。ワインディングを多く入れたのは、CLKでの最後のドライブをDscf5069 FRクーペの心地よいコーナリングを思いっきり楽しんで幕を閉じようと思ったからです。
 3つのドライブウェイとは、蒲郡オレンジ・ロード、三河湾スカイライン、三ヶ根山スカイラインの3つです。そこに、西浦温泉、三ヶ根山のアジサイ祭り、三河南部の道の駅を加え、最後の走りを楽しんできました。
 9時30分に豊田の自宅を出ました。東海環状道豊田松平ICに入り、豊田JCTから東名Dscf5052 高速に入って音羽蒲郡ICで出ました。CLKの高速安定性はすばらしいものなのですが、岡崎界隈で事故渋滞に遭い、岡崎~音羽蒲郡間は通常数分で行けるところを30分以上もかかってしまいました。
 音羽蒲郡ICから南に向かう道が蒲郡オレンジ・ロードです。丘陵地帯を走る快適な道路です。清田トンネルを通り過ぎると蒲郡市です。
 みかん園の蒲郡オレンジ・パークに寄ってみました。駐車場も元みかん畑で、駐車場の奥には山の斜面に沿ってみかん畑が広がっていました。園内に入ると、ありとあらゆるみかん加工品が売られていて、さらに三河湾の海の幸も揃っていました。でも、比較的家から近いので、どれもそれほどめずらしいものでもなく、おいしそうに見えたアサリの炊き込みご飯Dscf5050 の具だけを買って外に出ました。海に近い丘陵地ということで、遠くに蒲郡の海が見えました。
 オレンジ・ロードで蒲郡市街地近くまで行った後、次は三河湾スカイラインです。何年も前に有料道路が無料化され、名前こそ三河湾スカイラインとなっていますが、今はただの県道です。
 かつての蒲郡側の入り口から入ると、急カーブの続く上り坂で一気に山に登ります。三河湾北側の国坂峠、五井山、遠望峰(とぼね)山を結ぶ景色バツグンの道路・・・だったはずが海側の木々が生い茂り、さらに枝が道路にはみ出し、その上アスファルトは所々ひび割れ、枯れ葉は積もり放題で、景色も走りも楽しめない道になっていました。元々ドライブウェイなので生活道路になどなりません。カップルたちに人気のあった遠望峰(とぼね)展望台パーキングは、荒れ果ててしまっていました。入り口はバリケードで封鎖され、バリケード越しにちらっと見えた駐車場は黒いタイヤ痕で幾重にも円が描かれ、見るに耐えられない状態でした。以前は、ここからの展望がピカイチだったのです。
 20代の頃、彼女ができるとドライブに誘い、この道をスポーツ・クーペで気持ちよく走り、ドライビング・テクニックを披露し、三河湾が一望できる遠望峰(とぼね)展望台にクルマを停め、美しい夜景を眺めながら「ひょっとしてひょっとするとイイコトがあるかも」とヘンな期待を込めたりして、いろいろ思い出のあるコースでした。車内のBGMにも気を遣い、相手によってユーミンとツイストを使い分け、いい雰囲気になったところで外国の映画音楽・・・。リクライニングを少し倒して×××。すべて聞いた話です。
 そんな思い出のワインディング・ロードが、見るも無惨なコースになってしまいました。有料道路の無料化はもちろん良いことなのですが、管理体制がしっかりしていないとせっかくのDscf5053 素敵な道も台無しになってしまいます。対向車線を走る軽トラの後ろの86(ハチロク)もかわいそうでした。ちょくちょくバイクも走っていましたが、荒れた路面と道路上に積もった腐った落ち葉で、やっぱりかわいそうでした。整備されていればコースも景色もとても素敵な道だけに、すごくすごくすごくもったいないと思いました。
 幸田町に出て、蒲郡市内を南に抜けて西浦温泉に行きました。昨夜、西浦半島の急坂Dscf5054 の中腹にある老舗旅館「富士見荘」さんに問い合わせたところ、日帰り入浴ができるということで、予約を入れておきました。フロントで「昨日電話でお願いした豊田のhiroです。」
と言うと、従業員のおじさんが何かメモ書きのようなものを見ながら「お2人様ですね。伺っております。」ということで、お風呂に案内していただきました。お昼頃の温泉旅館はひっそりとしていて、客室の掃除機の音だけが廊下に響いていました。土曜日ということで、玄関にはずらっと宿泊客の名前が書かれていました。館内はなんとなく嵐の前の静けさという感じがしました。坂の中腹の玄関が5Fで、お風呂は1Fにありました。さすが老舗温泉旅館です。外はガラス張りで、三河湾を一望するすてきな景色を楽しみながらのお風呂です。男湯に入っているのは僕一人だけ。広い湯船で気持ちのいいお湯に浸かり、芯まで温まったところで露天風呂へ。ややぬるめのお湯が心地よく、眠ってしまいそうなくらい気持ちよくなっていました。お湯はヌルヌルとキュッキュッの感じが5分5分の絶妙なバランスで、ほんのりと温泉の香りが漂い、ずっと入っていたいくらいでした。
 5Fフロントに戻り、従業員の方にお礼を言って外に出ましたが、ひとつ不思議なことがありました。それは、料金です。三河湾西浦温泉といえば有名は温泉地です。料金は西浦温泉のHPで1人1000円となっていましたが、いつ更新したかも分からず、豊田にある某温泉旅館の1人1500円くらいを覚悟していました。無名の温泉地の1500円は高すぎるので、僕たちは1回行っただけで行かなくなりました。今回は西浦温泉の大きな旅館ですから高くても仕方がないと思っていたのですが、なんとたったの500円。ワンコインです。二人で野口英世1枚です。実は、富士見荘さんは僕の遠い親戚です。でも、顔パスみたいなことはしたくなかったので、電話で申し込みのときも「豊田のhiro(もちろん本名で言いましたよ)」とだけ伝えました。ひょっとしたら、エライ人に気づかれたのかもしれません。どう考えても、そこらの日帰り温泉より安いわけがないのです。
 ちょっと不思議さを残しながら小さな半島をぐるっと回ってみました。スパ西浦サーキットを覗いてみたら、二輪車のレーサーが練習走行をしていました。見学だけでも料金がいるので、駐車場にクルマを停めることなくサーキットを後にしましDscf5056 た。
 ゆったりと温泉に浸かったあとは、お昼ご飯です。西浦から通称幡豆街道の県道を、CLKを西に向けて走らせました。
 おいしそうな店を探しながらクルマを走らせていると、やたらと「がん封じ、ぼけ封じ、無量寺」の看板が目につきました。案外有名なお寺かもしれないと思い、寄って行くことにしました。看板の矢印に従って走ると、名鉄西浦駅の近くの無量寺はありました。僕たちはあまり信心深い方ではないので、一応お賽銭10円をDscf5057 投げ入れ、本堂に向かって手を合わせました。これでたぶん癌にもボケにもならないはずです。10円分ですが。
 無量寺を出て、再び食事のできる店を探しながら幡豆方面に向かいました。和食の店「喜多」があったので入ると、外観は「飲み屋?」と思える装いDscf5058 でしたが、中はしっかり「和食の店」でした。筍の釜飯とミックスフライの定食を食べたのですが、これがまた美味。特に、蒲郡メヒカリのフライは特筆モノでした。もちろん、他のフライも釜飯もおいしくいただきました。
 西尾市西幡豆(旧幡豆町)から三ヶ根山スカイラインに入りました。ちょうどアジサイの季節で、山全体でアジサイ祭りが行われており、スカイラインのDscf5060 両側にきれいなアジサイが並ぶように咲きほこっていました。パンフレットでは、70000株ものアジサイが植えられているとのことで、とても見事でした。やっぱり、季節の花というのはいいものです。
 道路に沿った小さなパーキングはどこもいっぱいだったので、三ヶ根観Dscf5065 音の広めのパーキングにクルマを停めました。そこから眺める三河湾の景色は、まさにパンフレットの写真そのもの。眼下には、お昼に入った温泉のある西浦半島がくっきりと見え、三河湾に浮かぶ島々がいい雰囲気で点在しています。そして、すぐ目の前には季節の花アジサイが咲きDscf5064 乱れ、この景色を見ただけでも「来てよかった」と思えます。
 天気が良かったせいか、数人のツーリングライダーもいました。三ヶ根山スカイラインは、道路もよく整備されていて、気持ちよく走ることができます。戦没者の慰霊碑があるため、お年寄りのいる家族連れも多く、快適ワインディングの割には走り屋系のクルマやバイクは少なく、かと言ってのろのろ走る荷物を積んだ軽トラや大型車両もほとんどいないため、ほぼ快適なペースで走ることができます。今回はCLKラスト・ランということでFRドライビングを楽しみましたが、ZRX1200ダエグとCB400SBで来ても楽しめたような気がしました。
 途中の喫茶「ゆうとぴあ三ヶ根」でコーヒータイムにしました。海側の席から三河湾の景色Dscf5066 を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごしました。戦没者慰霊の山の喫茶店で、店内には、多くの太平洋戦争当時の遺留品が展示されていました。当時の日本軍の帽子や制服に混じって手榴弾までも置かれていました。
 コーヒーを飲んでいると、三ヶ根観音のパーキングで見かけた横浜ナンバーのCB1300SBのライダーが入って来て、「こんにちは」の挨拶をいただきました。中年の男性と、若い外国人女性のカップルでした。たまたまそこに居合わせただけの人同士の挨拶っていいものだなあと思います。ライダー同士や、山歩きではよくあることですが、僕はこういうのは大好きです。思わず、
「横浜ナンバーのCBの方ですよね。」
と、話しかけました。僕は外向的な性格ではないのですが、ライダーしてる時だけはなぜか性格が変わります。この時ばかりは、相手がライダーということで、二重人格の副の方に変わってしまったのです。CB氏は、アメリカにいた時に世話になった女性が名古屋で日本語講師をしているということで、今回いっしょにタンデム・ツーリングをしているとのことでした。
 CB氏と別れ、再び三ヶ根山スカイラインのワインディングを楽しんで山のふもとの形原温泉郷に出て、しばらく県道322を北に向かって走りました。幸田町からR248でそのまま豊田に帰ることもできますが、いくつかの道の駅巡りをしたくて岡崎バイパス~知立バイパスに入りました。
 まずは新しくできた道の駅「筆柿の里・幸田」に寄ってみました。道の駅スタンプノートをDscf5067 持っていると、どうしてもスタンプを集めたくなるものです。ただ、僕の古いスタンプ・ノートには幸田の道の駅は載ってないので、欄外にスタンプを押しました。
 いちご大福がおいしそうだったので、それだけを買って、またバイパスを走りました。地図には道の駅「にしお西ノ山」が載っていましたが、対向車線からしか入ることができない道の駅でした。迷うことなくパスして、次の道の駅「安城デンパーク」に向かいました。「にしお西ノ山」も新しい道の駅なので、僕のスタンプ・ノートには載っていないのです。だから、通過してもいいのです。
 岡崎バイパスから知立バイパスに名を変えた辺りから渋滞が始まりました。知立バイパスは伊勢湾岸道、東名高速、東海環状道、名古屋高速などの道路とつながっているため、休日の夕方はいつも混んでいるようです。
 安城西尾ICで降りて県道を北に走って道の駅「安城デンパーク」に行きました。植物のテーマパーク「デンパーク」に併設された道の駅で、テーマパークの売店という感じの道の駅でした。お目当てのスタンプを押すと、僕のノートの愛知の欄は残すところあと一つになりました。ほとんど行くことのない旧立田村(愛西市)だけになったので、クラシック・ミニを駆りだしてDscf5068 そのうちぶらっと行って、愛知の道の駅を制覇しちゃおうかなあと思いました。
 安城は豊田の隣町です。こうしてメルセデスCLKのラストランが閉じられようとしていた矢先、びっくりする出来事がありました。な、な、なんと、トヨタDscf9574 上郷工場の西側の県道で幻の名車トヨタ2000GTに出会ったのです。今はもう博物館でしか見られない名車をナマで見られたなんて超感激です。
 こうして、7年近く僕たち夫婦の足として活躍してくれたCLKでの最後のドライブを終えました。日曜日にAMGのホイールを純正品に戻しました。255-18サイズが205-16となり、ずいぶんおとなしい雰囲気になりました。タイヤが細くなったからなのか、ローダウン・サスがとても不自然な感じになりました。なんだかそれだけで僕たちのクルマではなくなったような気がして寂しくなりました。
 しかし、日帰りドライブとしては、地元の愛知三河の良さをいっぱいいっぱい感じられるドDscf5062 ライブになりました。若い頃は時々訪れていた場所なのですが、いつの間にか行くこともなくなっていました。三河湾界隈もドライブ・コースとしていい所がいっぱいなのです。

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2012.5 両親と行く奈良井宿散策と安曇野道祖神巡りのドライブ

2012-05-03 20:13:37 | クルマでドライブの部屋

 僕が子どもの頃、ドライブ好きな父は、よく当時の愛車パブリカUP700・カローラKE10でいろんな所に連れて行ってくれた。その父も、今はもう80を過ぎ、心臓疾患を患い、身障者手帳をもつ老人だ。それでも、今もなお自分で愛車ゴルフⅣを駆り、時々ドライブに出かけているくらい元気で常々ありがたいと思っている。耳も少し遠くなり、心配は心配だが、好きなDscf3218_5 ことをさせてあげたいという思いで、見送っている。
 いつだったか、晩ご飯を食べている時、
「よく、奈良井に行くけど、そんなにいい所か。」
と、言ったことがある。中山道R19は僕の大好きな道の一つで、その途中の宿場町の奈良井はお気に入りの場所だ。だから、諏訪や松本方面へのドライブやツーリングでよく立ち寄っている。
 父を奈良井に連れて行ってあげたいと思うものの、身障者の父は長く歩くことができない。宿場町の散策など、到底無理なことだ。そこで、登場するのが車椅子。インターネットで、安くて、軽くて、丈夫な車椅子を探し、取り寄せた。
<4月28日>
 GWの初日の4月28日、VOXYの3列目シートを跳ね上げたカーゴ・スペース部分に、車椅子と折り畳み椅子を積み込み、9時40分頃に豊田の自宅を出た。
 家からすぐの東海環状道豊田松平ICから入り、渋滞状況を見て場合によっては瀬戸品野から土岐か瑞浪まで下道を走るつもりだったが、一向に混み合う様子がない。渋滞覚悟の土岐JCも、ペースを落とすことなくスムーズに超えられ、ドライブ気分の高まる中央道へとすんなりと入ることができた。屏風山PAでトイレ休憩をとり、快適なペースで走り続けた。
 中津川ICからは僕のお気に入りのR19。まずは中津川市街地を抜けた辺りにある元越ドライブインでトイレ休憩をとった。高齢者とともに行くドライブでは、ひんぱんに休憩をとる必要があるのだ。母は、すぐに何かを買おうと店内をぶらぶら歩き出す。旅行に行く機会がめっきり減り、お土産を見るのが楽しみなのだろう。
 元越の次は、道の駅「賤母」にクルマを停めた。父が「道の駅で止まって」と言うので、わずか10㎞あまりでの休憩だ。中部の道の駅スタンプ・ノートのスタンプを増やしたい父は、RDscf3190 19の道の駅のスタンプがほとんど無いので、この先はほぼ各駅停車で進むことにした。
 母はやっぱり、ここでもお土産を買っている。
 道の駅「大桑」でスタンプ休憩をとった後、大桑村須原宿近くの運動公園駐車場でお弁当にした。豊田よりかなり北で標高も高い中山道は、春の花が道の周りの至る所に咲き乱れていた。須原の運動公園も薄いピンクや濃いピンクの花々に囲まれて、暖かな春の日差しを受け、いい雰囲気のピクニック気分になった。芝生に折り畳み椅子を出し、妻が作ったおにぎりを4人でほおばると、家族みんなが健康で過ごしていることの幸せを心の底から感じられた。
 おいしい空気を吸い、きれいな花々の景色をおかずにしておにぎりを食べ、お腹も満たされた。
 須原を出て、上松で国道沿いの小野ノ滝を右手に見て、寝覚ノ床を通過し、道の駅「木曽福島」「日義木曽駒高原」と各駅停車して、中山道R19を北に向かった。木曽川は大きな岩がいっぱいで、愛知で見るおだやかな木曽川とはまったく違う男性的な顔をしている。その周りの赤やピンクの花が、力強さと優しさのバランスを保ち、車窓からは、春と新緑とのいい季節が感じられ、心から「来てよかったなあ」と思えてきた。
 そんなことを思っているうちに、鳥居峠を越え、今回のドライブの目的地「奈良井宿」に着Dscf3197 いた。
 いよいよ車椅子の登場だ。車椅子初体験の父はなんだかうきうきした表情で、押す僕は初体験に緊張気味、母は押したがっているような顔で、妻はそれぞれの顔を見ながら、「お母さんに押させてあげたら」などと、気を遣っている様子。高齢で身障者の父は、約1㎞の昔の面影をはっきりと残した宿場町の街道を散策するなど、とっくにあきらめていたようだが、車椅子があり介助者がいれば大丈夫だ。
 車椅子を押し始めてすぐの踏切で、自在に動く前輪が横を向いてレールの隙間にはまってしまった。危ない危ない。こうなると、前にも後ろにも動かないのだ。力いっぱいハンドルを押し下げ、てこの原理で前部を上げて脱出した。これが、自走式の介助者なしだったら大変なことだ。それに、線路を越えたゆるやかな下りの坂でさえ、ブレーキで進むのを押さえながら進まなくてはならなかったり、わずかな傾斜でも片方の手に力がかかったりするのだ。簡単そうで、案外大変だということが分かった。
 宿場町の街道は古い旅籠や店が並び、まるで江戸時代にタイムスリップしたような雰Dscf3196 囲気が漂っている。しかも、奈良井は木曽路の山の中にあり、歩いているとその先に山が見え、後ろを振り返ってもやっぱい木曽の山がくっきりと見える。ここ奈良井は、木曽の山々を背景に、江戸時代の宿場町の風情そのままの街並みが続き、とてもいい雰囲気を醸し出しているのだ。
 父も、「これは楽ちん」と言いながら、宿場町の風情を楽しんでくれているようだ。
 1㎞ほど歩いて宿場町の北の端のJR奈良井駅手前で折り返し、途中の喫茶店でアイスコーヒーを飲んだ。4月末の中山道とは思えないような暑い日になり、妻は、
「お母さん、ずっと歩いてるけど大丈夫かなあ。」
と、母の体を心配してくれていた。母も若い頃はスポーツに興じていたとは言え、もう82歳と高齢だ。さっさと見て歩くのではなく、こうしてのんびりと休憩をとりながら散策した方がいDscf3200 いのだ。
 初めての介助式の車椅子体験で、側溝のふたの隙間と、わずかな傾斜が要注意ということを知った。駐車場に戻る南向きの復路になると、車椅子の操作も慣れたもので、トレッドとホイールベースの短さによる走行特性もつかめてきた。そうなると、押すのも案外簡単だ。
 南の端の土産物屋さんで、またまた母は買い物だ。なぜか、木曽檜のしゃもじを買っていた。父も、この時は車椅子から降り、店内の狭い通路を土産物を見ながら自力で歩いていた。長い距離でなければゆっくり歩くことはできるが、壁や手摺りにつかまりながら歩いていることが多い。
 帰りの踏切は、車輪がはまることなくばっちり通り抜けることができた。
 1時間もいれば十分な宿場町を2時間近くかけて散策したため、宿泊予定の安曇野まで行く時間が気がかりになってきた。そこで、これまで各駅停車だった道の駅はすべて通過し、快速電車になって塩尻を目指した。
 塩尻市街地が近づくにつてれて、ぶどう畑が広がり、もっと近づくとりんご畑が広がってくる。国道の両側には「ぶどう園」「りんご園」の看板が目立ち、秋になるとかなりの賑わいをDscf3204 見せることになるだろう。それにしても、市街地近くになっても、市街地に入っても、一向に混雑してこない。渋滞覚悟のGWのドライブだったが、いい意味での拍子抜けだ。
 塩尻ICから長野道に入っても、高速道路の流れはよく、4時頃には豊科ICを出ることができた。道の駅の各駅停車やのんびり過ごした奈良井のロス・タイムを取り戻そうという思いも、なんの工夫もなく取り戻すことができた。
 インターからは、カーナビに従って西に向かった。県道495号線を走ると、なつかしい日本の原風景という感じの安曇野の景色が広がってくる。天気はいいけれど、うっすらともやがかかっていて中央アルプスの山並みは霞んでいる。
 なつかしいと思ったのは、実はこの道は去年の夏にソロ・ツーリングで走っている道だった。今日の宿泊宿の「ほりでーゆ四季の郷」は、日帰り温泉施設を併設していて、去年の夏に入った温泉だ。すごく気持ちがよかったという印象があり、それで今回予約することにしたのだった。
 アルプスあずみの公園を過ぎ、烏川渓谷まで来ると、道幅が狭くなってくる。川に沿って走った先に「ほりでーゆ四季の郷」はある。
 駐車場は、日帰り温泉の利用客でいっぱいだった。車椅子の父がいるので身障者用駐車スペースに停めようとしたが、あいにくいっぱいだった。従業員の方が、駐車スペースでない空いた場所に置くように言ってくださったので、入り口に近い場所に停めることができ、父は車椅子なしで歩いてロビーに入ることができた。
 チェックインの時、大きく「リニューアル・オープン4月28日」と書かれた横断幕が目に飛び込んできた。4月28日と言えば今日だ。フロントの人は、
「昨日まで、閉まってたんですよ。」
と言って、リニューアル・オープン記念のくじ引き券をたくさんくださった。
 3階の部屋からは、アルプスの山々が展望できたが、うっすらと霞んでいた。僕たち夫婦Dscf3210 は部屋でのんびり過ごすことにしたが、両親はすぐに温泉に入りに行った。
 温泉は、1階の日帰り温泉と、3階の宿泊者専用温泉の2か所で、両親はあまり歩けないので、3階のお風呂に行くことにした。
 夕食の7時までには、まだ2時間近くもあった。のんびりとお湯に浸かっていた両親が部屋の戻ったのは、なんと6時近かった。どうやら、また売店を見てきたようだ。
 僕たちも、晩ご飯前にお風呂に入ることにした。1階のお風呂には露天風呂もあるので、日帰り客で混んでいるのを覚悟の上で1階まで行った。
 妻と入り口で別れ、脱衣場に入ると、なにやらもものしい雰囲気。従業員の方が走って中と外を行ったり来たり。服を着たまま中をのぞいてみると、老人が倒れていて、バスタオルがかけられていた。意識はあるようだが、まったく動いていない。お客さんたちは、そこを避けるようにして温泉を楽しんでいるようだったが、やっぱり気になるのかちらちら見ていた。3階の宿泊客専用のお風呂に行こうかとも思ったが、広いお風呂なので、入ることにした。
 体を洗い、お湯に浸かると、やや熱めのお湯が気持ちよく、温泉独特のぬめぬめ感はないものの、肌をさわるとキュッキュッという感じがした。しばらくすると救急隊の方たちが来て、倒れている老人に水を飲ませながら丁寧に運んで行った。
 内湯の中はなんだか落ち着かない雰囲気が残っていたので、僕は露天風呂に出てみることにした。すると、こちらはややぬるめで、僕好みのお湯だ。晩ご飯まで十分な時間があったので、ゆっくりのんびり露天風呂を楽しむことにした。
 僕がお風呂から上がると、妻がロビーから「こっち、こっち」と手招きしていた。救急車はまだ玄関の外にいた。
「何があったの。」
「お年寄りが倒れてて・・・。」
と、見たことを妻に話した。
 部屋に戻ったのが7時少し前。ちょうど食事の時間だ。
 両親と4人で、1階の大広間へと急いだ。
 料理は地のものをふんだんに使った献立で、やや薄味の味付けは、僕たちの口にも高Dscf3206 齢者の口にも合い、おいしくいただくことができた。普段は小食の母も、いつもの倍以上とも思えるほど口にしていた。僕でさえ多めかなあと思える量のおいしい料理だったが、両親もたくさん食べ、すごく喜んでもらえたように思えた。
 1時間半くらい、おいしい料理を食べ続けた僕たちは、部屋に戻ってすぐにごろんと横になった。両親は元気いっぱいで、またまたお風呂に入りに行きました。のぼせて倒れた老人を見たので、ちょっと心配だったが、父は心臓に持病があることを十分自覚しているので大丈夫だろう。僕たちも、寝る前にもう一度温泉に入ったが、2回目は3階の部屋の近くの宿泊者専用のお風呂にした。
 なんとなく、お湯が重いというのか、体がダルい感じがした。1階のお風呂でお年寄りが倒れていたのも、このせいかもしれない。きっと、効き過ぎるくらいの効能があるのだろう。ただ、このダルさは、心地よいダルさで、眠りに就くときには寝るのにちょうどいいダルさだた。寝付きの悪い僕でもすぐに眠ってしまった。
<4月29日>
 朝、両親がごそごそと動きだしている音で目が覚めた。まだ6時前だというのに、また温泉に入りに行ったようだ。
 8時過ぎに朝食を食べ、9時過ぎにチェックアウトした。チェックインの時にいただいたリニューアルオープン記念のくじを引き、当たった割引券を使って売店に向かった。母と僕たち夫婦はいくつかのお土産を買ったが、父はあまり土産物には興味がないのか、それとも体がダルいのか、すぐにロビーに腰掛けていた。そこで、ロビー横の喫茶コーナーでコーヒータイムをとり、ゆったりとした朝を過ごした。
 「ほりでぃーゆ四季の郷」を出て、去年僕が見た大きな道組神のある所に向かった。両Dscf3217 親は道祖神を見るのは何十年ぶりかで、もうどんなだったかさえ忘れていたそうだ。昨日の霞も薄らぎ、中央アルプスの山並みが美しい。雪を被った山も見える。安曇野のゆったりした風景と美しい山並みと道祖神を楽しんだあとは穂高神社だ。歳をとると神社仏閣が好きになるという。両親とのドライブでは、必ず神社かお寺をコースに入れることにしている。
 穂高神社は思ったより多くの人で賑わっていた。境内も広く、周辺にいくつもの道祖神がDscf3220 あるということで、身障者用駐車スペースにクルマを停めさせてもらって車椅子で参拝することにした。
 本殿と、長寿と書かれた祠でお参りをし、境内の周りにあるいくつもの道祖神を見て回った。すっかり車椅子を押すのも手慣れてきた。
 神社を出て周辺の道祖神巡りをすることにしたが、手にしていたガイドマDscf3223 ップの縮尺があいまいなため、近いと思っていた道祖神も案外遠く、クルマで回ることにした。しかし、すでにお昼も近くなっていたので、車窓から2つの道祖神をながめただけで、豊科ICに向かうことにした。
 インター手前のコンビニでお昼ご飯のパンやおにぎりなどを買い、インターに入った。GWでサービスエリアのレストランは超満員だろうと予想したからだ。
 長野道・豊科ICから入ってすぐの梓川SAを通り過ぎる時、駐車場がいっぱいになってDscf3224 いた。お弁当を買っておいたのは正解だったような気がした。
 岡谷JCから中央道に入り、最初のパーキングの辰野PAにクルマを停め、クルマの中でお昼ご飯にした。パーキングにコンビニがあったので、あらかじめ買っておく必要はなかったかもしれないが、どこのPAにもコンビニがあるとは限らない。
 その後は、ひたすら中央道を豊田に向かってクルマを走らせるだけだ。中央道は、やや高い所を走るので、すごく景色がいい。右側の山にはきれいな花が咲き、左にはいくつかの集落が遠望でき、まったく飽きることのない高速道路だ。恵那山トンネルや土岐JCの手前から多少は渋滞があるかと思っていたが、帰り道も混むことがなく、それどころか順調すぎるくDscf3226 らい順調に走ることができた。神坂PAでトイレ休憩をとったほかは、ノンストップで、しかも快適なペースで東海環状道・豊田松平ICまで走り続けることができ、予定よりずいぶん早い4時頃には家に着くことができた。

 初めて車椅子を積んでドライブに出かけたが、これなら心臓に不安をかかえる父も「○○散策」の旅に出られる。ただ、小さな段差や溝のふたの隙間は車輪がはまりやすいし、狭い道の路側帯を歩くのもすぐ脇をクルマが通って怖いと感じることもあった。母が押したがっていたが、結局一度も押させてあげなかった。ある程度体力がないと介助は難しいことも知ることができた。老老介護という言葉を耳にするが、なかなかできるものではないことを実感するドライブだった。
 まだまだ父は元気で、いろんな所に行きたがっている。今後も、たまにはこうして車椅子Dscf3225_2 で景色のいい所や雰囲気のいい町並みを両親といっしょに歩いて楽しみたいと思う。

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2012.2 長野売木村で雪見の温泉

2012-02-25 02:04:05 | クルマでドライブの部屋

 18日の土曜日の朝、温暖な豊田でもうっすらと雪が積もっていました。
 このところ、テレビの旅番組では雪を見ながら温泉に入るシーンが多く見られ、いつも「気持ちよさそうだなあ」と思っていました。そして、「今日がチャンス」とばかりに、妻を誘って南信州へと向かったのです。
 10時40分に家を出て、R301で松平へ、そして巴川沿いの県道で足助追分に行きました。道路こそドライ状態でしたが、田畑はすでに雪景色になっていて「この調子、この調子」とつぶやきながら4WDのVOXYを二駆で走らせました。
 ところが、R153で南信州の山の方に向かって走るのですが、足助から稲武にかけては、それほど雪は多くありません。山の北側斜面に雪があるだけで、道路は完全にドライ状態が続いていました。それでも、長野県との県境を超え根羽村に入った辺りから少しずつ雪はDscf2236 増えていきました。
 平谷村に入ると、道路以外はすっかり雪で覆われ、真っ白な景色になってきました。スキー・シーズンの休日にもかかわらず道路はすいていましたが、平谷スキー場だけは大賑わいでした。
 長野と言えば信州蕎麦に信州味噌。お昼になったので、平谷村の蕎麦屋さんで信州蕎麦を食べました。薄い色で、麺は細く、蕎麦の味の濃いおいしい蕎麦でした。Dscf2237 南の端とは言え、さすが信州です。
 平谷スキー場に「スノーモービルコース12月から3月」という大きな看板があります。年に1回か2回ほど岐阜県飛騨市のスノーモービル場でスノーモービルを楽しんでいる僕は、その看板が気になり、少し戻ってスキー場に行ってみました。VOXYを四駆に切り替え、看板に従って雪の坂道を登っていきましたが、それらしい建物はありませんでした。通るたびに気になっていた看板ですが、本当にスノーモービル場があるのかどうか。もしあったとして、レンタルマシンがあるかどうか。雪があるうちに電話でもしてみようと思い、再び国道に出ました。
 平谷の交差点を右に折れ、R418で売木村を目指しました。売木村に出るには、標高1000mを超える平谷峠を越えなければなりません。さすがに、標高が上がるにつれて雪はどんどん多くなってきました。路面も完全に雪道となり、四駆パワーとミシュランスタッドレスタイヤ・パワーでくねくねした坂道をぐんぐん登りました。
 平谷峠から見渡す雪を被った南信州の山々の美しかったこと。青い空と白い峰。ゆっくり走ってクルマが止められる場所を探しましたがありませんでした。峠以外は道の両側が木々に覆われ、遠くの景色を見ることができません。峠からの景色は一瞬の輝きだったのです。それでも、国道沿いの白樺林の雪景色も信州らしくていいものです。
 下り坂の途中から、また雪が少なくなってきました。
 お目当ての温泉うるぎ温泉「こまどりの湯」は村の中心地にあります。村役場近くに分かDscf2240 りやすい案内標識があり、すぐに着くことができました。
 うるぎ温泉「こまどりの湯」のお湯は、実に気持ちのいいお湯でした。つるつるぬるぬる度「強」のお湯はややぬるめで長く入っていたいお湯でした。お湯の中で肌をなでていても、なんだか石けんが落ちてないみたいな気がするくらいつるっつるで、「気持ちいい~」と声が出そうになったほどです。
 しばらく内湯に浸かったあとは、いよいよ露天風呂で雪景色を見ながらの温泉です。外に出たとたん「さぶぅ~」。マイナスの外気温の中をすっぽんぽんで歩くのですから、それはもう、寒いなんてものではありませんでした。大急ぎでお湯に浸かりました。この瞬間がたまりません。
 「あれっ、雪が見えない。」
 残念ながら、露天風呂の周りには雪がありませんでした。テレビの旅番組のようにはいきませんでしたが、真冬に入る信州の温泉の気持ちいいこと。しかも、お湯はつるっつる。さすがにだんだん体が重い感じになってきて、お湯から上がることにしました。
 お風呂上がりはもちろんコーヒー牛乳です。ぽかぽかになった体に冷たいコーヒー牛乳。極楽極楽・・・です。
 帰りに、近くの「うるぎふるさと館」に寄って、お米と漬物を買いました。売木村のパンフレDscf2241 ットの名産品の一番に「おいしいお米・うるぎ米」と書かれていたからです。漬物は両親へのお土産です。
 ふるさと館を出て、もと来た道を戻りました。雪の平谷峠では、もう一度輝いた景色が見て写真に収めたくてクルマが止められる場所を探しながらゆっくり走りました。やっぱり駐車スペースはありませんでした。美しい景色をしっかりと目に焼き付けて、峠を下りました。
 4WDと言えども、雪の下り坂は怖い物です。慎重にクルマを進め、平谷村に出ました。R153に出れば、もうほとんど雪の心配はありません。それで気が抜けたのか、温泉に長く浸かって体が重くなったような感じがしたからなのか、急激に睡魔が襲ってきました。
 愛知県に入る手前で、ふと気づいたらセンターラインをまたいで走っていたことがありました。
 「ヤバッ」。プチ居眠り運転です。これは初めての経験です。愛知県に入って道の駅「どんぐりの里いなぶ」にクルマを止め、リア・シートをフルフラットにし、カーテンを閉めて横になりDscf2242 ました。こんな時、VOXYは便利です。完全なフルフラットとは言えませんが、仮眠するには快適すぎるくらいよく眠れます。僕は、VOXYを車中泊にも使っているくらいですから、仮眠などお手のもの。
 小一時間ほど眠ったらすっかり目も覚め、いい気分で帰路のドライブを楽しみました。

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2012正月 松本城と信州美ヶ原温泉のお正月ドライブ

2012-01-18 23:31:34 | クルマでドライブの部屋

<1月2日>
 1月2日と3日は、妻の両親と信州松本へ温泉ドライブに行く予定でした。ところが、元日の夜から腰が痛いと言っていた妻の父が、歩くことさえつらい症状になり、急きょ僕たち夫婦と妻の母の3人だけで出かけることになりました。父は前日もすごく楽しみにしていたらしく、Dscf2163 母の話では、眠れないといけないから枕まで準備していたとのことでした。それだけにすごく残念でしたが、腰の痛みを我慢してまでいっしょに連れて行くわけにはいきません。父一人を残し、VOXYに3人が乗り込み、豊田市の妻の実家を出ました。
 10時に実家を出て、豊田松平ICから東海環状道に入り、そのまま土岐JCから中央道を走って中津川ICで出ました。思った以上に道はすいていて、高速道路も、インターから出てからのR19も、ずっと快適に走り続けることができました。それでも、道の駅などはお正月休みで混雑しているかもしれないと思い、南木曾町のコンビニでお弁当を買い、大桑村須原宿付Dscf2130 近のスポーツ公園の駐車場にVOXYを止めて、3列目のシートと2列目の片側のシートにアレンジして、3人でコンビニ弁当でお昼にしました。妻と母はとても仲がいいので、クルマの中で食べるコンビニ弁当もなんだかとても楽しそうでした。僕もおいしくいただくことができました。
 いつもは荒々しい木曽川も、水量が少なく、ごろごろした白い大きな岩ばかりが目立っていました。このR19は、バイク・ツーリングでよく利用する道です。上松町の小野の滝などは、決まってバイクを止めて休憩するポイントになっています。今日は、横目で見ながら通り過ぎましたが、気のせいか滝の水量も少なく見え、夏の滝よりも豪快さが足りなかったような気がしました。
 最初の目的地は中山道奈良井宿です。駐車場にVOXYを止め、昔のまま残されている宿場町の通りを3人で歩きました。南北に延びる街道筋の通りは、まるで江戸時代にタイムスリップしたような町並みです。それにも増して僕が好きなのは、南を見ても北を見ても、その先にあるのは深い山です。それが、いかにも中山道の宿場町を象徴しているようで、僕のおDscf2133 気に入りの宿場町なのです。これまでに3,4回奈良井の民宿に泊まりましたが、民宿というより旅籠と言った方がいいような雰囲気なのです。
 妻は、旧家の店ですてきなブローチとピアスを買いました。そして、おしゃれな喫茶店に入り、妻と母はコーヒーを、僕はぜんざいをいただきました。おいしいコーヒーも飲みたかったのですが、缶コーヒーを飲みながら運転していたので、お正月らしくぜんざいを選んだのです。妻は、コーヒーを飲みながら買ったばかりのブローチとピアスを身につけ、うれしそうにしていました。
 奈良井を出て、再びR19を北に向かい、塩尻から長野道を走って松本ICで降りました。いつもながら、松本市内は混雑していました。長野県の代表的な都市ですから、混雑するのは覚悟の上でした。松本市街地を東に横切って3㎞ほど走り、午後4時くらいに今夜の宿、信Dscf2138 州美ヶ原温泉の「ホテルニューことぶき」に着きました。
 1時間ほど部屋でおしゃべりをしたりしてくつろいだ後、5時頃に妻と母がお風呂に行きました。僕はテレビを見ながら部屋で留守番です。晩ご飯は7時ということでしたから、2人が戻ってもしばらくは部屋でごろごろし、6時頃にお風呂に行きました。
 「熱っ。」
 思わず声が出そうになりました。そっと体を沈めていくと、この熱さが心地よくなってきました。その後、外に出て露天風呂に入りました。外の方が気持ちぬるめの感じがしました。ぬる好きの僕にはちょうどよく、いつもより長めに浸かっていました。
 晩ご飯は、信州特産の料理でした。義父の分をキャンセルしたのがこの日の朝だったので、当日のキャンセルはきかないため料理も4人分でした。そこで、おいしい料理は父の分も食べることにし、僕が約半分、妻が2割、母は自分の分で精一杯ということで、父の分の7割くらいは平らげてしまいました。信州と言えばそばです。料理長が打ったというそばはまさに逸品でした。父の分は僕と妻で取り合いになったほどです。ただ、3人ともおなかがいっぱいになり、おいしそうな山の幸の釜飯があまり食べられませんでした。仲居さんにお願いして、残った釜飯をおにぎりにしてもらいました。
 寝る前に、もう一度温泉に入りました。露天風呂の方が僕にはちょうどよい熱さと分かっていたので、迷わず外に出ました。僕は行った時には、露天風呂には誰もいませんでした。Dscf2141 外に出た瞬間は「さぶっ!」、お湯に入って「熱っ!」。寒いはずです。真冬の信州なのですから。
 温泉のおかげで体は中からぽかぽか温まり、気持ちよく眠りに就きました。


<1月3日>
 朝にもう一度温泉に入ろうと相談していたのですが、布団の中があまりにも気持ちよく、3人ともすぐには布団から出られませんでした。
 8時に朝ご飯をいただき、9時過ぎにチェックアウトしました。そして、朝のコーヒーが飲みたかったので、ロビーでおいしいコーヒーをいただいたり、売店でお土産を買ったりして、しばらくのんびりと過ごしてから旅館を出ました。
 最初の目的地は、もちろん松本城です。母は、40年ぶりくらいと言っていました。お城近くの駐車場にVOXYを止め、歩いてお城に行きました。西側から入りましたが、その美しさはすばらしいものです。お堀を通して見る松本城の天守閣は、日本一と言われる姫路城にも匹Dscf2144 敵するほどの美しさを放っています。からす城と称されるように黒い板壁が青い空にくっきりと映え、見とれてしまいます。
 僕はふるまわれていた豚汁を、妻は甘酒をいただき、催されていた和太鼓を聴きながら、天守閣をながめました。ちなみに、豚汁は250円、甘酒は100円でした。
 11時過ぎに松本城を後にし、県道63号線で塩尻に向かいました。県道63号線は、松本盆地を右に見ながら走る道です。市街地の向こう側には頂に雪を被った山々が連なり、すてきな景色が広がっていました。
 塩尻からは往路と同じR19を南に向かいました。
 お昼ご飯の時間になってきました。予定では、信州そばの店に入って名産のそばを味わDscf2150 うつもりでしたが、昨日の夜の釜飯のおにぎりがあります。木曽町のコンビニでおかずのコロッケと卵焼きを買い、旧三岳村の道の駅の駐車場で、またまた昨日のお昼と同じようにVOXYの車内で食べました。なんとなくアウトドアっぽくて楽しくなります。
 次の目的地は、霊峰御嶽山の麓の神社です。3人で初詣をすることにしていました。ところが、カーナビで検索すると「御嶽神社」にはナントカ宮と名の付くいくつもの神社がありました。物知りの義父がいれば、どの宮が一番御利益があるか選んでくれると思いますが、父は家で留守番です。そこで、行きやすそうな「里宮」を選びました。
 道の駅のある県道20号線に沿って走れば里宮に着きます。国道を離れると、道の両脇には雪が積もっていていい雰囲気です。信州らしい田舎道を、カーナビに従って走りました。
 御嶽神社里宮は広い駐車場のあるちょっと大きめの神社でした。ところが、鳥居の先は見渡す限りの急な階段でした。僕も登りたくないと思いましたが、なによりも80歳に近い母を登らせるわけにはいきません。そこで、すぐ近くの若宮に行くことにしました。
 御嶽神社若宮は、狭い坂道を車で数100mほど登った所にありました。部分的に雪が積もっていたので、4WDに切り替えて登りました。狭い駐車場にVOXYを止めましたが、辺りDscf2154 に人の気配がしません。鳥居をくぐっても、神社の森はひっそりとしていて、人っ子一人いないのです。茅葺きの由緒ある神社のように見えましたが、正月3日に誰もいないというのは寂しいものです。それでも、本殿に灯りは点いていました。少し高台にあるため、雪を被った御嶽山がよく見えます。なんとも存在感のある立派な山です。誰もいないとは言え、霊峰御嶽に見守られてのお参りですから、御利益がないはずがありません。3人でしっかりと手を合わせました。
 御嶽神社でお参りをし、御嶽山をながめた後は、家路につくだけです。旧三岳村から上松町に出る山道で、再びVOXYを4WDに切り替えました。スタッドレスタイヤだけで十分な程度の雪でしたが、せっかく4WD車を選んだのですから、安全のためにもちょっとだけ四駆でDscf2157 走りました。
 山の中の狭い雪道は上松町の桟の湯の交差点でR19に合流しました。
 バイク・ツーリングでの休憩場所にしている小野の滝をどうしても見たかったので、2人の反対を押し切って滝の脇のパーキングにVOXYを止めました。そして、3人で小野の滝をながめました。滝の半分は凍っていて、残りの半分だけが滝になっていました。往路であまり豪快に見えなかったのは、水量が少ないだけでなく、凍っていたからでした。凍った滝というのもめずらしく、しっかりとカメラに収めてきました。
 夕方からUターンラッシュで渋滞が予想されていたので、早めに中津川ICに行き、中央道~東海環状道で豊田に向かいました。中央道では、クルマはかなり多くなっていましたが、Dscf2160 制限速度前後の速度で流れていました。
 午後4時には鞍が池PAの出口で出て、妻の実家に帰りました。留守番の父を含め、4人でおせちをつつきながら、たくさん土産話をしました。父はとても残念そうにしていましたが、またいつか、腰の調子が戻ったら、4人で出かけたいと思いました。

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2011冬の 岡山湯郷温泉・神戸六甲・福知山市動物園の旅

2012-01-05 23:46:03 | クルマでドライブの部屋

<12月23日;天皇誕生日>
 天皇誕生日の23日、10時40分頃にスタッドレス・タイヤを装着した4WDのトヨタVOXYで豊田の自宅を出ました。東海環状道豊田松平ICから伊勢湾岸道、東名阪、新名神、名神、京滋バイパス、名神、中国道を乗り継ぎ、岡山県の美作ICまで一気に走り、湯郷温泉に着いたのが4時少し前でした。新名神の土山SAで昼食をとり、中国道の名塩SAでコーヒー休憩をとっただけで、四日市IC付近の日常的な渋滞以外はずうっとい~い気持ちで走り続けまDscf2078 した。
 湯郷温泉は、美作ICからものの5分ほどの所にあり、案内標識も分かりやすく、カーナビの助けもあって迷うことなくたどり着きました。予約しておいた旅館「竹亭」は温泉街のほぼ中心の高台にあり、旅館街が一望できる大きな旅館でした。
 1時間ほど部屋でごろごろした後、フロントで「湯めぐりコースター」を900円で買い、温泉街に繰り出しました。「湯めぐりコースター」は、湯郷温泉旅館の3つのお風呂に入ることができるパスポートのようなものです。ちなみに、どこの旅館の日帰り入浴の料金は1回600円Dscf2082 なので3つ入れば半額で入れることになります。
 まずは、湯郷温泉で一番大きな旅館「湯郷グランドホテル」の温泉に入りました。広い温泉でしたが、人も多く、とても活気にあふれたお風呂でした。ただ、僕の隣に入ってきた人が肩から腕全体に青っぽい色の細かなレトロチックな模様の入った人だったので、しばらくして外湯に移動しました。
 露天風呂は内湯よりも熱かったのですが、ぬるめのお湯好きな僕でも、内湯に入ってから熱いお湯に入ったので、なんだかいい感じがしました。すると、さっきの肩から腕にかけて模様の入った筋肉質の強面の人がまたまた隣に入ってきました。ちょうど、これ以上入ってDscf2083 いたらのぼせてしまいそうなタイミングだったので、再び内湯に移動し、少ししてから出ました。クリスマス寒波で外気は3℃しかありませんでしたが、さすがは温泉の湯です、体の内側からぽかぽかしてきました。
 2つ目は、「竹亭」に戻る途中の旅館「にしき園」の温泉に入りました。高級そうな和風の旅館でした。お風呂も落ち着いた感じで、ゆったりと入ることができました。無色透明のお湯ですが、ほんのりと香る温泉のにおいが心を落ち着かせてくれます。そして、すっかり暗くなった旅館街を妻と2人でげたの音を響かせて「竹亭」に向かって歩きました。
 晩ご飯は個室でカニすきでした。カニは剥くのが面倒なのですが、山陰のカニは味がDscf2088 濃く、おいしくいただきました。
 寝る前に、「竹亭」の温泉に入り、もう一度体の内側から温めて眠りに就きました。
<12月24日:クリスマスイブ>
 9時半にチェックアウトし、コーヒーのサービス券でおいしいコーヒーをいただきました。午前中は、温泉街の散策です。湯郷温泉のホームページにモデルコースとマップがあったので、あらかじめ家でプリントアウトしてきました。
 チェックアウトの時に、フロントで各館共通入場券を買い、まずは「鉄道模型・レトロおもちゃ館」に入りました。HOゲージの鉄道模型は、マニアにはたまらない魅力でしょう。広いジオラマの中を、田舎の風景の中では国鉄時代の古い電車やSLが、都市部の風景の中を新幹線や新しいタイプの電車が走っていました。妻はいつの間にか椅子に座り込んでジオラマを眺めていました。妻が、思いのほか鉄道に、とりわけ新幹線のドクターイエローに夢中になっていたのにはびっくりしました。また、43分の1スケールのミニカーもたくさん展示してありDscf2090 ましたが、これは僕のコレクションも負けていません。僕も、200台以上のミニカーを収集しています。僕は、1分の1スケールの公道を走れるミニカー「ローバーミニ」も持っているのですから。
 次に行ったのが「現代玩具博物館・オルゴール館」です。オルゴール独特のアナログ音源の音色がとても素敵でした。おもちゃ館のおもちゃも、不思議な積み木などを実演で紹介されていて、なかなか興味深いものでした。3つ目は「昭和館」です。はっきり言ってガラクタ集めのようなものでしたが、ブリキのおもちゃ、昔のまんが本、古い道具類など、昭和人の僕の年代にはなつかしい品々だらけでたまりませんでした。
 散策の最後は、昨日の「湯めぐりコースター」の3つ目の温泉「鷺温泉館」に入りました。日帰り温泉施設で、のんびりと最後のお湯を楽しみました。当然、湯上がりはコーヒー牛乳Dscf2091 です。
 クリスマスイブということで、小さなおしゃれなケーキ屋さんでお昼ご飯にしました。もちろん、食後はクリスマス・ケーキです。
 湯郷温泉街の散策は、どこを歩いてもとてもひっそりしていて、道行く人がほとんどいなかったのですが、プチ博物館に入ると案外多くの人で賑わっていました。残念だったのが、女子サッカーなでしこリーグのクラブチーム湯郷ベルのグッズをあまり見かけることがなかったことです。サッカー大好き人間の僕は、なでしこJAPANのワールドカップ優勝ブームもあり、すごく楽しみにしていました。それでも、観光案内所に1枚だけ残っていたメンズのTシャツを手に入れることができました。バッジ類やステッカー類などもあれば欲しかったです。
 湯郷を出て中国道、北六甲道路を経由して神戸六甲山に着いたのが4時少し前でした。お気に入りのオルゴール館「ホール・オブ・ホールズ」に行き、オルゴールなどの大型の自動Dscf2097 演奏装置のアナログ音の音楽を楽しみ、予約してある六甲山ホテルに行きました。
 チェックインをすませ、お目当てのクリスマス礼拝に参加しようとしたら、
「5時からですから、今はじまったところです。」
と言われました。てっきり例年どおり6時からと思っていたので、荷物をフロントに預けて大急ぎでホテルの庭のチャペルに向かいました。
 教会では、賛美歌を歌ったり、聖書を読んだり、牧師さんのお話をお聞きしたりしてクリスマスらしいひとときを過ごしました。結婚以来、ほぼ毎年クリスマスはここで過ごしています。僕たち夫婦の年末の恒例行事です。教会でのひとときを過ごすと、この1年間の無事をうれしく感じるのです。それほど信仰心の強い僕ではありませんが、この時ばかりは「神に守らDscf2100_2 れて・・・」と思えてきます。
 晩ご飯は、夜景の見えるレストランでジンギスカンです。牛肉とマトンでお腹を満たしま した。
<12月25日;クリスマス>
 今日の目的地は子ザルのみわちゃんがいる福知山市動物園です。六甲山を下り、六甲北道路で中国道西宮北ICへ、そして、中国道、舞鶴道を乗り継ぎ、福知山ICで出ました。
 動物園は三段池公園内にあります。広い公園で、体育館や武道場、科学館や植物園などがあり、駐車場から動物園までの散策路をぶらぶらと公園の景色を見ながら歩くことになります。大雪注意報が出ていたわりにはここまでほとんど雪を見ることはありませんでしたが、やっと少しパラついてきました。
 「えっ、これなの?福知山市動物園って!」
 予想をはるかに超える小さな小さな動物園でした。とても全国区人気の子ザルのみわDscf2103 Dscf2116 ちゃんのいる動物園とは思えませんでした。なんと言っても、飼われている動物はウサギやニワトリ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどほとんど家畜の類でした。一番大きな動物がロバなのですから。
 入ってすぐの手作りっぽい檻に、みわちゃんとイノシシがいっしょにいました。みわちゃんがうり坊の背中に乗って、ロデオのようにして園内を走り回ることで全国的に有名になったのですが、今はうり坊が大人になり立派なイノシシになったため、危険なので園内を走り回ることはしないようにしているそうです。それでも、イノシシとニホンザルのみわちゃんは同じ檻の中でいっしょに仲良く暮らしていました。落ち着きのないみわちゃんは、よくそのイノシシを踏み台にして、檻の高い所へジャンプしていました。それでもイノシシは怒ったりはしません。2匹は仲良しなのです。
 ひととおり動物を見て回り、再びみわちゃんの檻の前に戻ると、ちょうどお風呂の時間になりました。飼育員のおじさんに抱かれ、お湯の入ったバケツの中に入れられると、いたずらサルのみわちゃんもすっかりおとなしくなり、気持ちよさそうな顔をしてお湯につかっていました。人間と同じです。時々のけぞるような仕草をしたりして、本当にかわいいおサルさんでしDscf2111 た。その姿は、全国的に有名になったサルとは思えないくらい素朴な感じがして、かわいくてかわいくて、動物園を出るのが寂しい気がしていました。とてもローカルな、派手さがまったくない、ゾウもキリンもライオンもいない、地味な動物園でしたが、だからこそみわちゃんはのびのびとイノシシといっしょに暮らしていられるのかもしれません。
 公園のレストランで食事を済ませ、クリスマスの雪景色を見たくて、舞鶴道~若狭道を走って小浜まで行きました。さすがに日本海側の町です。大雪注意報も出ていて、しっかりと雪景色になっていました。
 北陸道敦賀ICまで来ると、道路にも積雪があり、雪は一段と強まってきました。高速道路のクルマのペースはとても遅く、米原JCまでほぼノロノロ状態でした。大きめのアラレ、小さなヒョウといった感じの雪も強く降ってきて、クルマに当たる音も大きくなってきました。雪道に対する覚悟を楽しみに変え、長く雪景色を見ていられると思い、のろのろ運転を楽しんで帰ってきました。さすがに時速30㎞から50㎞の高速道路ですから時間はかかりました。それDscf2119 でも、7時には豊田の自宅に着きました。
 湯郷温泉の湯めぐりと温泉街の散策、六甲の教会でのイブの夜、かわいい子ザルのみわちゃんのいる動物園、そして山陰の雪景色・・・。おもしろい3日間でした。

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