僕の大学では、充実した図書館の絵本だけの部屋(えほんの森)を水曜日と土曜日、日曜日に一般市民に開放しています。また、定期的に保育実習室も開放し、乳幼児と保護者がいっしょに楽しめるようにしています。これは、短大では保育、四大の子ども発達学科では保育のほか、幼児教育、初等教育を専門的に学んでいて、その充実した施設や設備を休日などに一般の人にも利用していただこうということで実施しています。
実は、これが学生たちにとって、子どもとの温かい接し方を実践的に学ぶいい機会にな るのです。
先週8日の土曜日、僕が担当するゼミの学生たちが、図書館の「えほんの森」で絵本の読み聞かせを中心としたイベントを行いました。手遊び~読み聞かせ~手遊び~パネルシアター~読み聞かせの順で発表し、乳幼児や保護者の方々と楽しく過ごしました。
学生たちは、4月からこれまで、幼児期のことばに関する発達段階を調べ、そこから参 加してくれる子どもの年齢に合った本の選定、読み方の研究、読み聞かせの教育的効果などを自ら学び、6月8日に向けて準備し、練習を重ねてきました。週1回のゼミの時間だけでは不十分ということで、自主的に集まって相談したり練習したりもしていたようです。僕は、ゼミの学生たちの本気を十分すぎるくらいに感じていました。ことばに関する子どもの発達については僕の専門分野です。僕の研究は初等教育ですが、今回対象となる子どもの年齢が3~5才が中心との情報もあり、学生達の研究が僕にとっても勉強になりました。ゼミですから、研究の方向づけ が僕の役割なのですが、ついつい読み方や動作などに口出ししてしまい、時として反省したり、それでも学生たちがもっと高いところを目指せるようにしたいという思いもあり、大学の先生ということを忘れ、まるで小学校の先生みたいになってしまっていたこともあったような気がしています。なんだか、小中学校の「総合的な学習の時間」の大学生バージョンのような活動になり、ゼミの時間がすごく楽しく感じられました。
発表の当日は10時30分集合、11時開始という計画でしたが、学生たちは9時半には集まり、図書館内のホールでリハーサルを始めていました。僕のゼミの学生たちは本当に 頼もしい学生たちです。
11時。
「さあ、みんな集まって~。お兄さんたちといっしょに、遊びましょう。」
ゼミ長のことばで手遊びが始まりました。子どもたちの乗りが悪いのを察知したのか、予定になかった「では、もう一度お兄さんたちといっしょにやりましょう。」
こうして、みんなが乗ってきたところで、
「それでは、お姉さん が絵本を読んでくれま~す。」
バスに乗って遠足に行ったお話ですが、「右に曲がりま~す」では、読み手の学生だけでなく、みんなで絵本といっしょに体を傾けます。「左に曲がりま~す」も同様です。聞き手の子どもたちやお母さんたちもいっしょに体を動かしています。お弁当の「いただきま~す」は、ゼミ生全員で手を合わせて言います。このように、絵本の読み聞かせにも学生たちの工夫が加わっています。
こうして、約30分間の「えほんの森」でのイベントが進んでいきました。
終わってからのミーテイングでは、うまくいったことを互いに認め合うだけでなく、「次はこうしよう」ということもいくつか出てきました。教育実習などでこの日に参加できなかった学生もいるので、次の土曜日の15日にも行うことになっています。今週のゼミの時間にもう少しチェックを入れて、ゼミ生全員が満足感と充実感が感じられるようにしていきたいと思っていま す。
先々週の5月1日の土曜日は、短大の学生たちが保育実習室で一般の子どもたちといっしょに遊んだり歌ったり工作をしたりする企画「あそびの森」で実践的な学習を行いました。その日は僕も補助で入りましたが、短大の学生たちも保育士めざしてがんばっています。29日にも行われます。また、23日(日)と7月7日(日)は高校生を対象としたオープンスクールも開 催されます。7日のオープンスクールでは、僕も45分間の模擬授業(高校現代国語)を予定しています。もちろん、ここでも学生たちは大活躍することでしょう。
僕にとっては、6週続けて土日のどちらかが出勤になってしまいましたが、何もかもが初めてのことで、しかも自分が担当する学生たちの活躍も見られます。大学の先生って、土日にもイベントや体験活動があって大変だけど、すごくやりがいのある仕事だなあと思います。そう思わせてくれる、本気になってがんばることのできるhiroゼミの学生たちに感謝しています。