工業高校に通うたった一人の女生徒三郷心が、工業技術を競う高校生ものづくりコンテストに挑む青春小説。
九州に三郷ありと言われるほど腕のいい職人だった祖父が経営していた町工場で、こつこつと書きためた秘伝のノートを若い職人が盗み出して失踪し、取引先の倒産や祖父の病気が重なって工場が閉鎖された経験を引きずって、手作業の技術を否定し、コンピュータでの制作技術の習得に打ち込んでいた心が、先輩の原口や風来坊の職人小松さんの確かな技術に裏打ちされた旋盤の音の美しさや作品の美しさに惹かれ、職人の技術の魅力に取り込まれていく過程は、お約束の展開とはいえ、引き込まれます。
旋盤技術のマニアックな部分はついて行けませんが、技術の世界の厳しさ、微妙さを感じさせます。
青春小説ですから恋心の部分もありますが、全般的には、地味な世界での地道な努力を扱った小説で、そこに読み味があると思いました。
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まはら三桃 講談社 2011年2月24日発行
九州に三郷ありと言われるほど腕のいい職人だった祖父が経営していた町工場で、こつこつと書きためた秘伝のノートを若い職人が盗み出して失踪し、取引先の倒産や祖父の病気が重なって工場が閉鎖された経験を引きずって、手作業の技術を否定し、コンピュータでの制作技術の習得に打ち込んでいた心が、先輩の原口や風来坊の職人小松さんの確かな技術に裏打ちされた旋盤の音の美しさや作品の美しさに惹かれ、職人の技術の魅力に取り込まれていく過程は、お約束の展開とはいえ、引き込まれます。
旋盤技術のマニアックな部分はついて行けませんが、技術の世界の厳しさ、微妙さを感じさせます。
青春小説ですから恋心の部分もありますが、全般的には、地味な世界での地道な努力を扱った小説で、そこに読み味があると思いました。
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まはら三桃 講談社 2011年2月24日発行