伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

裁判長!桃太郎は「強盗致傷」です!

2011-06-29 22:36:17 | 人文・社会科学系
 昔話のエピソードを現在の日本の法律で裁いたら、という設定で法律の解説をした本。
 法律や裁判の話を親しみやすくわかりやすく解説するために、こういった手法を使うことはよくわかります。私も、自分のサイトで、「レ・ミゼラブル」のジャン=バルジャンのケースとかを使って説明したりしてますし。
 でも、昔話を使うことで、裁判の争点の立て方に無理が出る感じがするし、大前提として裁判が成り立たないでしょってケースも少なからず。そもそも「かちかち山」のウサギや「さるカニ合戦」のカニのような動物が被告人になり得るのか(あぁ、オオヒシクイやアマミノクロウサギを原告にして裁判やってた環境権裁判の関係者の方ごめんなさい)、タヌキやサルを殺したら「殺人罪」なのか(コラムでは金太郎の動物相手の格闘は動物愛護法違反とか:67ページ、欲張りじいさんがシロを殺すのは器物損壊罪:107ページとも書いているのに)、月に帰ったかぐや姫や消えていった雪女を相手に裁判ができるのか・・・
 それをおくとしても、弁護士の考えでもいろいろだなぁと感じます。私の感覚では、かなり違和感を感じるところが少なからずありました。「かちかち山」でおばあさんを殺されたおじいさんのために仇討ちをした裏山のウサギが懲役15年って。義憤に駆られた殺人といえば思い起こしやすい豊田商事会長刺殺事件の主犯は懲役10年だったことを考えても、どうかなと。まぁ最近は重罰傾向ですからそんな古い事例は当てはまらないということでしょうか。姫君が一寸法師に騙されたことは時効(32ページ)というのに雪女の脅迫は数年後に結婚して10人もの子をもうけた後でも時効・除斥期間が検討もされない(111、116ページ)のはどうして。耳なし芳一で「芳一が危険にさらされる可能性をわかっていながら、和尚が寺を空けた行為は、刑法の重過失傷害に当たる可能性が高い」(131ページ)って本当ですか。加害は第三者(幽霊ですが・・・)なのに不作為で重過失傷害ですか。王様は裸だと指摘した子どもは名誉毀損罪で有罪って、子どもが14歳未満かどうかの検討もなく有罪にしちゃうのもすごいし、公務員に関する事実の場合は公益目的の要件は不要で真実なら処罰されないという明文の規定があります(刑法230条の2第3項)が、公益目的があったとは考えられないから有罪(220ページ)ってどういうことでしょう。王様は公務員じゃないってか。


小林剛監修 永岡書店 2010年9月10日発行
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面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと

2011-06-29 07:48:13 | 実用書・ビジネス書
 就活のための面接に臨む姿勢、話すべき内容、情報収集方法などについて解説した本。
 面接まで10分しかないときには、面接の姿勢として、面接は商取引と心得よ、自分の希望だけいくら言っても相手に響かない、相手に利益があるか、相手にどういう好影響を与えられるかを意識して語る必要がある、無理して自分を飾るな、無理をして入っても後々苦しむだけだし経験豊富な面接官にはなりすましは見抜かれるということを、自分が選ぶ側ならどの人を選ぶかという事例を付けて説明しています。面接まで1日あるときは、自分が語るエピソードを具体的な事例で、また日常のちょっといい話を検討することを、1週間あるときは面接相手の企業の調査とそれに合わせた志望動機の検討を語っています。
 転職の際の前の会社の退職理由の語り方とかも含めて後半はだんだんマニュアルっぽくなる感じですが、最初の面接まで10分しかないときの心得的な部分(第1章)と、最後の就職・転職の常識を疑ってかかれ(第6章)というところが、目からウロコっぽくておもしろく読めました。
 ただこの第6章だけ、「である」調なのは、なんか変な感じがします。


海老原嗣生 プレジデント社 2010年3月19日発行
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