19歳の娘香織に自殺され妻とも離婚して50歳で早期退職した51歳の元システムエンジニア石井隆平が、ウラジオストックからリスボンまでユーラシア大陸の端から端まで列車で旅をするという思いつきを実行するうちに、同じ行程を5日早く進んでいる自殺予定の19歳女性エリカの存在を知り、思い惑いながらその自殺を食い止めるべく試行錯誤する小説。
パパッ子だった娘が友人との関係から鬱になり、父親との交流を続けていったんは回復しながら、恋人との関係でまた鬱になったあげく父親の不倫を知った後首つり自殺という設定は、同年齢の父親には切ないというより胸を突き刺される思い(あ・あの・・・娘の年齢は違いますし、不倫もしてませんけど)。その設定の巧みさというか、ちょうどターゲットに当たったせいで、隆平の思い、戸惑い、ためらい、後悔が身に染みます。同時に姉の自殺、両親の離婚に翻弄された次女里子の思いと成長にもしんみりとさせられます。
ストーリーは、エリカの隆平に対する感情の揺れと、シベリア鉄道と各国の交通・通信環境の下でのインターネットと携帯電話を駆使した情報収集と説得とその限界が交錯して展開していきます。
作者自身がその行程を体験しているとのことで、紀行文としても、特にシベリア鉄道とロシアへの怨嗟の念と各国のアルコール事情が味わえます。

大崎善生 講談社 2010年11月15日発行
パパッ子だった娘が友人との関係から鬱になり、父親との交流を続けていったんは回復しながら、恋人との関係でまた鬱になったあげく父親の不倫を知った後首つり自殺という設定は、同年齢の父親には切ないというより胸を突き刺される思い(あ・あの・・・娘の年齢は違いますし、不倫もしてませんけど)。その設定の巧みさというか、ちょうどターゲットに当たったせいで、隆平の思い、戸惑い、ためらい、後悔が身に染みます。同時に姉の自殺、両親の離婚に翻弄された次女里子の思いと成長にもしんみりとさせられます。
ストーリーは、エリカの隆平に対する感情の揺れと、シベリア鉄道と各国の交通・通信環境の下でのインターネットと携帯電話を駆使した情報収集と説得とその限界が交錯して展開していきます。
作者自身がその行程を体験しているとのことで、紀行文としても、特にシベリア鉄道とロシアへの怨嗟の念と各国のアルコール事情が味わえます。

大崎善生 講談社 2010年11月15日発行