平原の中央に位置するトール国の靴屋の娘マーリィが、トール国を征服した強国アインスから尋ねてくる貧乏貴族と称する青年で実はアインスの第1王子カリオルと、10年前にトール王がアインスに攻め滅ぼされたときに死んだといわれていた幼なじみの元トール王子ハジュンの間で思い惑いながら、国や政治、民族の文化を考える恋愛ファンタジー。
舞台設定は「碧空の果てに」のものそのままで、ユイの馬使いメイリン、シーハンの首長ターリら「碧空の果てに」の主人公たちも登場します。平原シリーズ第2弾というところでしょうか。
征服された人々の無念、哀しみ、特に文化を奪われることの屈辱、支配者の目をかいくぐって生きる者たちのしたたかさ、民族の文化への誇りといったものが心に染みます。また武力に劣る側が知略と交渉でいかに平和と独立を勝ち取るか、民主主義への憧憬と現実主義の折り合いといった深みを持たせているのも、児童文学では白眉と言えましょう。
「碧空の果てに」と比べると自立志向の主要女性キャラがリーファくらいというのが寂しいですし、基本的な設定が笛の名手ではあるものの普通の少女が2人の王子に思われるといういかにも少女漫画的展開でちょっと気恥ずかしいのが私には玉に瑕でしたが。
濱野京子 角川書店 2011年1月30日発行
「碧空の果てに」は2009年11月8日の記事で紹介しています。
舞台設定は「碧空の果てに」のものそのままで、ユイの馬使いメイリン、シーハンの首長ターリら「碧空の果てに」の主人公たちも登場します。平原シリーズ第2弾というところでしょうか。
征服された人々の無念、哀しみ、特に文化を奪われることの屈辱、支配者の目をかいくぐって生きる者たちのしたたかさ、民族の文化への誇りといったものが心に染みます。また武力に劣る側が知略と交渉でいかに平和と独立を勝ち取るか、民主主義への憧憬と現実主義の折り合いといった深みを持たせているのも、児童文学では白眉と言えましょう。
「碧空の果てに」と比べると自立志向の主要女性キャラがリーファくらいというのが寂しいですし、基本的な設定が笛の名手ではあるものの普通の少女が2人の王子に思われるといういかにも少女漫画的展開でちょっと気恥ずかしいのが私には玉に瑕でしたが。
濱野京子 角川書店 2011年1月30日発行
「碧空の果てに」は2009年11月8日の記事で紹介しています。