伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

古代ローマの生活

2016-03-26 04:59:07 | 人文・社会科学系
 古代ローマの共和制(紀元前509年~紀元前27年)の末期から帝政期にかけての都市部、主として首都ローマの社会と暮らしについて検討し解説した本。
 ローマの市街地面積は墨田区(山手線内側の約4分の1)程度で最盛期の五賢帝時代には100万人近い人口があり(32~36ページ)、5、6階建てのアパートも見られ多くの庶民はアパート暮らしだった(42~47ページ)とか。4世紀には公立の公衆浴場(テルマエ)が11、私立の公衆浴場(バルネア)が856もあり、公衆浴場数がピークだった1968年の東京都と比べても人口1人あたり公衆浴場数は約3.5倍という計算になるそうです(53~55ページ)。公衆浴場の多くは温泉ではなく、近くの水源から引いてきた水を沸かしていた(58ページ)ということですが、その熱源はどうやって確保していたのでしょう。
 資料が限られ、その正確性や解釈の限界から、どの程度真実に迫れているのかに疑問もありますが、総じて古代ローマの文化程度の高さに驚きました。
 医者は嫌われていたが大儲けをし(253~259ページ)、弁護士は報酬の上限を低く定められていたため儲からなかった(289~292ページ)というのも、身につまされますが、興味深く思えました。


樋脇博敏 角川ソフィア文庫 2015年7月25日発行(単行本は2005年4月:NHK出版)
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