伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

東京建築さんぽマップ 最新改訂版

2023-10-23 23:34:23 | 趣味の本・暇つぶし本
 東京の近代建築物を散歩がてらに見て回ろうという形で紹介した本。
 著者自身、特権を駆使して中に入ったりしているのではなく、門扉の外から少ししか見えないと書いているものもあり、読者が実際に見に行ける範囲で紹介している点、「本書は散歩の本である」(はじめに:4ページ)という趣旨が貫かれていると思います。ただこの本は2011年の初版のあと2015年(最新版)と2022年(最新改訂版)に改訂されているというのですが、現存しない建物や現在は見ることができない建物もそのままになっている(現存せずとか現在は非公開とかの記載はありますけど)のは残念です。
 採り上げられている建物は戦前の建築が多いですが、かなり最近のものもあり、また写真で見る限りごくふつうの日本家屋やビルもあって、かなり著者の好みが反映されているのだと思います。
 紹介の際の論評も、絶賛から酷評まで、また設計者に対する著者の意見/好き嫌いを含めバラエティに富んでいます。例えば、霞ヶ関の法曹会館の外装改修が「偽りの化粧」(スクラッチタイルに似せた白のタイル、石に似せたアルミパネル)が腹立たしいとして、「法曹とは裁判官、検察官、弁護士などのこと。正義を貫こうという姿勢に疑問を持っちゃう」(66ページ)というコメントは、少しビックリするけれども忖度なく言いたいことをいう姿勢は清々しいかも。
 青山/神宮前の建設当時話題を呼んだ狭小住宅「塔の家」について、「あしたのジョー」に熱くなった若き建築学生はこぞって「少年マガジン」片手に見に行った建物ものであると紹介している(150ページ)のですが、その塔の家がどうしてあしたのジョーと関係するのか、この本を読んでも、さらに言えば少し調べても、全然わかりませんでした。何か内輪ネタがあるのか、もう少し説明して欲しいと思いました。


松田力 エクスナレッジ 2022年12月13日発行(初版は2011年4月)

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