伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

歯医者選びの新常識 あなたにとって最良の歯医者に出会うために

2023-08-27 22:57:54 | 実用書・ビジネス書
 虫歯治療で歯をどの程度削るか、補綴物の選択とそのために歯をどれくらい削るか、歯を抜くか抜かないか、根管治療、インプラント、歯石除去、定期検診等のさまざまなトピックを採り上げつつ、歯科医の目からどのような歯医者がよい歯医者なのかを論じた本。
 歯科医院で歯石を除去し歯面清掃をしても歯周病の発症や進行の予防にならない(言われてみれば当然ですが、プラーク(歯垢)は歯科医がいくらきれいにしても翌日には再沈着するもので、毎日歯ブラシで除去するしかない:41~51ページ)、歯を抜いた後何も入れなくても(ブリッジや入れ歯、インプラントなど入れなくても)問題は起こらない(「歯が動くことはほとんどない」と108ページに書かれていて、他方で「歯が大きく動くのは歯周病の治癒過程」と110ページでは言っているなど、記述にややブレは感じますが、「大変なことになる」ことはないという限度で)(106~113ページ)など、なるほどと思いました。
 最新の技術を用いても患者にとっていい治療とは限らない一方で、50年前に著者の父が行った根管治療について現在の治療のレベルから見れば「プアーな治療」ということになるが歯根破折も起こしておらず歯根の周囲に大きな問題も見当たらず神経を取って50年以上も経過しているにもかかわらずブリッジの支台として十分に使える状態だった、この患者にとっては父はよい歯医者だったという紹介をしています(21~22ページ)。その患者の状態・条件によって最適な治療が違ってくることもあり、うまくいった、いい状態が続いている患者にとってはよい歯医者という説明ではあるのですが、ここはその現在の視点からは「プアーな治療」がそのケースでは何故うまく持ったかの説明が欲しいところです。「歯科治療では理屈通りにいかないことが多々あるのです」(131ページ)ということはあるのでしょうけれど。
 すべての患者にとってよい歯医者というのがいるわけでもなく、すべてを歯医者に任せて歯の健康が保てるものではない(毎日の歯磨きが重要な意味を持つのですし)、患者が自覚を持って歯医者とよいコミュニケーションを心がける必要があるというのも、心しておきたいところです。


小西昭彦 阿部出版 2023年5月1日発行

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« わたしは広島の上空から地獄... | トップ | 人体と病気まるわかり大全 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

実用書・ビジネス書」カテゴリの最新記事