子どもを親と引き離して山の中の〈学び舎〉で集団生活をさせ、〈問答〉等の独自の手法で子どもの対話力、考える力を養うという〈ミライの学校〉が頒布していた泉の水に不純物が混入していたことから生じた紛争後に撤退した静岡の施設の跡地から子どもの白骨死体が発見されてマスコミが騒ぎ立てる中、約30年前の小学校高学年時に〈ミライの学校〉の1週間の夏合宿に参加した経験がある弁護士の近藤法子が、かつて娘が孫を連れて〈ミライの学校〉に入ったまま音信不通という吉住夫婦から発見された遺骨が孫のものでないか確認することを依頼されて、〈ミライの学校〉の東京事務所を訪れて田中と名乗る女性と対峙しながら、自分ではその遺骨が合宿に参加したときに友だちになった(が、その後疎遠になったままの)ミカのものではないかという心配をし、過去の記憶をたどり現在の調査を進めていくというサスペンス小説。
子どものときの記憶と、大人になった今の見方、子どものときの言葉や約束とそのままになった過去、それに対する思い、時の流れによる自分と相手の変貌などをうまく配して読ませる小説です。
弁護士の目からは、民事事件で「弁護人」と書くのはやめて欲しい(正しく「代理人」と書いているところもあるから、わかってるはずなんですけど)とか、刑事事件じゃないんだから自分の依頼者が後から別に「入廷」してくる(537ページ)ということはないでしょなどの違和感がありましたが、マスコミが騒ぐ事件の依頼を受けた弁護士のとまどいについての描写には共感を覚えました(私の経験についてはこちら→大事件を受けるとき)。
辻村深月 文藝春秋 2021年6月10日発行
山梨日日新聞等の新聞に連載
子どものときの記憶と、大人になった今の見方、子どものときの言葉や約束とそのままになった過去、それに対する思い、時の流れによる自分と相手の変貌などをうまく配して読ませる小説です。
弁護士の目からは、民事事件で「弁護人」と書くのはやめて欲しい(正しく「代理人」と書いているところもあるから、わかってるはずなんですけど)とか、刑事事件じゃないんだから自分の依頼者が後から別に「入廷」してくる(537ページ)ということはないでしょなどの違和感がありましたが、マスコミが騒ぐ事件の依頼を受けた弁護士のとまどいについての描写には共感を覚えました(私の経験についてはこちら→大事件を受けるとき)。
辻村深月 文藝春秋 2021年6月10日発行
山梨日日新聞等の新聞に連載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます