ハリー・ポッターシリーズについて、イギリスの階級社会や人種問題、性的少数者などがどのように反映/問題提起/戯画化されているかなどを考察し、学校物語文学との関係やダンブルドアやハリーの性的指向、ハーマイオニーの位置づけとロンとの結婚の意味などを論じた本。
あとがきで示されているように(212~213ページ)、英米文学を専門とする学者である著者が過去に発表した5本の論文に加筆修正して出版したものです。ハリー・ポッターの一読者である私には思いもよらない検討もなされていますが、タイトルから期待されるようなハリ・ポタファン向けの書物ではないように感じられます。
ハリーがロンに恋していて、「死の秘宝」でハリーがロンに「ハーマイオニーは妹みたいなものなんだ」と説明したときハリーはハーマイオニーをロンに渡したのではなくロンをハーマイオニーに渡してロンへの欲望を諦めた、ハリーが唐突にジニーと付き合い始めたのはウィーズリー家の一員となってロンに近づくためという考察(168~175ページ)は、「へぇ」とも「へっ」とも思います。また、ウィーズリー家がしもべ妖精を使っていないことが魔法世界では許しがたいことでありそれゆえに純血主義者たちからウィーズリー家が「血を裏切る者」呼ばれていた、だからハーマイオニーにとってロンはふさわしい結婚相手と評価できるという考察(186~205ページ)も、引用されている(193ページ)ようにモリーがアイロンがけをするしもべ妖精がいればと嘆いていることからしてもウィーズリー家が積極的な意思を持ってしもべ妖精を使わないことにしたとは考えがたいことなどからして疑問を持ちます。
そういった違和感はありますが、自分が考えつかなかった視点で改めてハリー・ポッターを考えてみることができ、参考になりました。
菱田信彦 小鳥遊書房 2022年7月7日発行
あとがきで示されているように(212~213ページ)、英米文学を専門とする学者である著者が過去に発表した5本の論文に加筆修正して出版したものです。ハリー・ポッターの一読者である私には思いもよらない検討もなされていますが、タイトルから期待されるようなハリ・ポタファン向けの書物ではないように感じられます。
ハリーがロンに恋していて、「死の秘宝」でハリーがロンに「ハーマイオニーは妹みたいなものなんだ」と説明したときハリーはハーマイオニーをロンに渡したのではなくロンをハーマイオニーに渡してロンへの欲望を諦めた、ハリーが唐突にジニーと付き合い始めたのはウィーズリー家の一員となってロンに近づくためという考察(168~175ページ)は、「へぇ」とも「へっ」とも思います。また、ウィーズリー家がしもべ妖精を使っていないことが魔法世界では許しがたいことでありそれゆえに純血主義者たちからウィーズリー家が「血を裏切る者」呼ばれていた、だからハーマイオニーにとってロンはふさわしい結婚相手と評価できるという考察(186~205ページ)も、引用されている(193ページ)ようにモリーがアイロンがけをするしもべ妖精がいればと嘆いていることからしてもウィーズリー家が積極的な意思を持ってしもべ妖精を使わないことにしたとは考えがたいことなどからして疑問を持ちます。
そういった違和感はありますが、自分が考えつかなかった視点で改めてハリー・ポッターを考えてみることができ、参考になりました。
菱田信彦 小鳥遊書房 2022年7月7日発行
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