伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

データ思考入門

2023-11-21 22:55:31 | 実用書・ビジネス書
 著者が東洋経済オンラインで作成提供していた新型コロナ関係のデータを一覧できるダッシュボード(複数のグラフや地図を一元化して見られるツール:9ページ)等のコンテンツを例に、データの可視化について解説した本。
 「データの可視化は、その気になればいくらでも手間と時間をかけることができてしまいます。コンセプトを明確にしないまま手を動かし始めると、無駄な作業が発生したり、伝える要素が多過ぎてかえってユーザーに何も響かないことがあります」(69ページ)とか、「意見をフィードバックしてくれるユーザーは全体の中でもデータに関心が強く、知識量も多い。そのため、どうしても応用的なデータや高度な機能の追加に要望が偏りがちです。しかし、こうしたユーザーの要望に従ってデータや機能の追加を繰り返していると、それだけ初見のユーザーに対して壁を作ってしまうことになります」(175ページ)などは、まさに作り手としての経験から来る悩みでしょう。「子どもにもわかる」をコンセプトにして裁判などを説明するサイトを作り始めたけれども、正確さを気にし、内容の充実のために追加を繰り返すに連れ、作る手間も増え、難しくなってしまった自分の経験に照らしても「実感」です。
 東洋経済オンラインなどネット上で見せることを想定しての解説なので、テクニカルにはさまざまな見せ方や動きも含めたもの(「優れたインタラクションの参考として、私はいつもテレビゲームやスマートフォンゲームをお手本としています」:137ページ)が書かれていますが、私としては、ユーザーに誤解を与えないように気をつけるべきことを著者がそこここで繰り返している点の方を見ておきたいと思いました。


荻原和樹 講談社現代新書 2023年2月20日発行

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