釧路湿原内の閉鎖された領域に建てられた寄宿制の広大な学園に入れられた14歳の少女水野理瀬が過ごす学園生活とそこで起こった事件を描くミステリー小説。
閉鎖的な学園、寮ごとに分けられ「ファミリー」単位での生活、主人公を特別扱いする謎めいた校長、聡明で周囲から一目置かれ賞賛される一方で妬まれ疑惑をかけられて孤立する主人公、その中でも絆を結ぶ数少ない友人の存在、時として幻覚・悪夢とも思われる脳内映像に悩まされる主人公、学園内で催されるさまざまなお祭り的行事と生徒が巻き込まれる悲惨な事件、そしてハロウィーンに起こる特別なできごと…といった設定・展開は、私には「ハリー・ポッター」との共通性を感じさせます。「終章」がなければ、私には、この作品はハリー・ポッター類似の読み物と受け止めたでしょう。
水野理瀬の人物像が、当初からの聡明ではあるが自信のない不安定な少女から終章で一変するところが、この作品の肝ではありましょうけれども、私はそこに馴染めない気持ちがあります。どちらかといえば最初から終章のような人物像であればそれをより肯定的に評価できたのに、という思いがあるのです。
文章については、情景描写の巧みさに感じ入りました。
恩田陸 講談社文庫 2004年1月15日発行(単行本は2000年7月)
「メフィスト」連載
閉鎖的な学園、寮ごとに分けられ「ファミリー」単位での生活、主人公を特別扱いする謎めいた校長、聡明で周囲から一目置かれ賞賛される一方で妬まれ疑惑をかけられて孤立する主人公、その中でも絆を結ぶ数少ない友人の存在、時として幻覚・悪夢とも思われる脳内映像に悩まされる主人公、学園内で催されるさまざまなお祭り的行事と生徒が巻き込まれる悲惨な事件、そしてハロウィーンに起こる特別なできごと…といった設定・展開は、私には「ハリー・ポッター」との共通性を感じさせます。「終章」がなければ、私には、この作品はハリー・ポッター類似の読み物と受け止めたでしょう。
水野理瀬の人物像が、当初からの聡明ではあるが自信のない不安定な少女から終章で一変するところが、この作品の肝ではありましょうけれども、私はそこに馴染めない気持ちがあります。どちらかといえば最初から終章のような人物像であればそれをより肯定的に評価できたのに、という思いがあるのです。
文章については、情景描写の巧みさに感じ入りました。
恩田陸 講談社文庫 2004年1月15日発行(単行本は2000年7月)
「メフィスト」連載
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