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ブラームスはクラリネットのための曲を4曲作っている。まず1891年に完成した、このクラリネットと弦楽四重奏のための「クラリネット五重奏曲」(作品115)、並びにクラリネットとチェロ・ピアノのための「クラリネット三重奏曲」(作品114) 。さらに1895年に完成している2つのクラリネットソナタ(作品120) 。
いづれも1891年に知り会った名クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトに刺激を受けたことが作曲の動機となっている。前2曲はブラームス58歳、ソナタは62歳と最晩年の作品である。
作曲への意欲の減退に悩まされていたブラームスを刺激して4曲もの創作に駆り立てたクラリネット奏者ミュールフェルトという名手に感謝しなくてはならないと思う。姉妹曲と云われるこの五重奏曲と三重奏曲、特に五重奏曲は名曲と云われている。私もよくこのCDをかける。ブラームス自身は三重奏曲の方が気に入っていたらしい。
クラリネットという楽器はヨーロッパにおいて17世紀末ごろに発明された楽器である。比較的歴史が浅い。クラリネットという楽器は不思議な楽器で、低音と高音で温実ががらりと変わる。どの音域で音色が変わるのかはわからないが、低音は丸みのある太い音、高音域は鋭い細い音と形容するのがいいように思う。私は低音の響きが好みである。低音から高音にいたるパッセージや音質の違いを吹きこなすにはとても技術がいるということを聞いたことがある。
第1楽章の冒頭のバイオリンの重奏で一気に引き込まれる。とても明るい印象の出だしである。第2楽章はいわゆるジプシー調と云われる旋律で、静かな哀調を帯びた透明なクラリネットの旋律が私の好みである。以前はこの第2楽章だけを聴く場合も多かった。クラリネットの美しい音色がとても印象に残る。第3楽章は少し暗い印象もある。いかにもブラームスらしいスケルツォ楽章だと思う。第4楽章は主題と変奏曲というつくり。5つの変奏曲それぞれが違う様相であらわれてくるのが印象的である。チェロのソロのような個所も聴きどころである。冒頭のモチーフが突如再現するなど、変化に富んでいる。
実はクラリネット三重奏曲はCDを持っていない。だいぶ以前にラジオ放送で聴いたことがあるだけだ。他にはホルン三重奏曲も持っていない。これを機会にできるだけ早めにこれらのCDを購入してじっくりと聞いてみたいと思っている。
このCDにおさめられたウェーバーの「序奏と主題と変奏」はとても明るい曲である。クラリネットがこんなに明るく屈託なく、そしてバイオリンの明るい音色に陽気に絡んで進行するのは、ブラームスとは対照的に思える。ただし解説によるとウェーバーの作曲ではないのではないかという疑問もあるそうである。
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