goo blog サービス終了のお知らせ 

Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

ワイツゼッカー元ドイツ大統領の国葬と「荒れ野の40年」演説

2015年02月11日 22時40分35秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
 31日に亡くなった元ドイツ大統領ワイツゼッカー氏の国葬が行われた。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150211/t10015387191000.html

 1985年5月8日に西ドイツの連邦議会でワイツゼッカー大統領が行った敗戦40 周年を記念する有名な演説、いわゆる「荒れ野の40年」演説から引用してみる。
 なお、全文はここにある。http://www.asahi-net.or.jp/~EB6J-SZOK/areno.html

★問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。
★われわれ年長者は若者に対し、夢を実現する義務は負っておりません。われわれの義務は率直さであります。心に刻みつづけるということがきわめて重要なのはなぜか、このことを若い人びとが理解できるよう手助けせねばならないのです。ユートピア的な救済論に逃避したり、道徳的に傲慢不遜になったりすることなく、歴史の真実を冷静かつ公平に見つめることができるよう、若い人びとの助力をしたいと考えるのであります。
★人間は何をしかねないのか——これをわれわれは自らの歴史から学びます。でありますから、われわれは今や別種の、よりよい人間になったなどと思い上がってはなりません。
★ヒトラーはいつも、偏見と敵意と憎悪とをかきたてつづけることに腐心しておりました。若い人たちにお願いしたい。
他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。
‥‥これらの人たちに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。
若い人たちは、たがいに敵対するのではなく、たがいに手をとり合って生きていくことを学んでいただきたい。
民主的に選ばれたわれわれ政治家にもこのことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい。そして範を示してほしい。


 先ほどブログに掲載した高村薫氏の記事「敗戦に至った戦争責任に中途半端に蓋をせざるを得ず、結果的に歴史を清算できなかった戦後日本の負債でもある」と合わせてこだわり続けたいものである。

「二分される社会」(高村薫)

2015年02月11日 20時46分52秒 | 読書


 岩波書店の「図書2月号」をめくっていたら、作家の高村薫氏が連載している「作家的覚書」が目に入った。
 この文章の中で「‥原発再稼働や集団的自衛権行使容認など、必ずしも国民の支持が高いわけでもない独善的な政策にひた走っている政権へのこの消極的な承認は、私たち自身がある種の反動的な時代の行へ傾いていることの証である。この空気は69年前、敗戦に至った戦争責任に中途半端に蓋をせざるを得ず、結果的に歴史を清算できなかった戦後日本の負債でもある。」という文言に立ち止った。
 全面的な賛同とは云えないが、とても大事な指摘だと思っている。