夕刻に裸眼で直線の道路をしばらく見ていた。もともと右目は0.1がかろうじて見える程度の近視、そして老眼になり、緑内障といわれ、白内障は歳相応、最後に乱視といわれた。左目も同様だが、0.2程度の視力はあった。
先日右目だけの白内障手術をして、右目については0.3と検眼で言われた。しかし乱視などは治ってはいない。埋め込んだレンズでは50センチのあたりに焦点があうものを入れたとのこと。
夕方、直線の国道を街路灯が点灯した直後にしばらく時間をかけて眺めてみた。はじめは裸眼で両目で見た。まず街路灯は遠くのものほど滲む。左目の白内障のためだと思う。右目だけで街路灯の列を見ると遠くのライトほど二つに見えるが、その距離が少しずつひらいていく。これが乱視というものなのだろうか。
二つの像はわりと鮮明である。何よりも左目だけで見るよりは明るく見える。これまでの眼鏡をかけると、近くの街路灯は一つに見える。乱視の矯正ができていると思われる。しかし遠くの街路灯の灯りは遠くになるにつれ、すこしずつ二つの像が離れて見える。裸眼よりは眼鏡をかけた方が間違いなく見やすい。
同時にもう一つの像が見える。これは実像と虚像に分かれている。実像の方は直線の国道は直線なのだが、もう一つの像はV字形に右に逸れて行く。約5°~10°くらいだろうか。遠くに行くにしたがい拡がっていく。
これは両方の目が別々に見ているためなのか、それとも眼の異常なのか、脳の認知の問題なのか、よく分からない。虚像と思われる右側に見える像もかなり鮮明である。意識しなくとも見えている場合がある。これはまっすぐに歩いていてもこわい。歩車道が分離していない道路を歩いていると右側から車が飛び込んでくるように見える。実際は正面からきている車である。虚像に驚いて身構えてしまいそうである。
眼鏡をかけるとこの虚像はかなり薄くなる。しかし眼鏡を掛けた瞬間、目の周りの筋肉が緊張するのがわかる。手術後の今となってはこの眼鏡は矯正が強すぎるのはわかっているが、この虚像が気にならなくなるためには少なくとも夜はどうしても眼鏡は必要になる。
そういえば、以前、右側から車が迫ってくるように見えて、あわてて身をひるがえしたことを思い出した。数回の経験がある。いづれのときも実際には車は来なかった。錯覚と思って気にしなかったが、今思えばこの虚像を見ていた可能性がある。実際は正面の車で、右側からくる虚像の方が早く迫ってくる。そして目の前で実像と虚像が一体化する。
市民病院の眼科ではこのような話をじっくりとするような雰囲気ではない。しかし次回の診断のときにはきちんと医師の考えを聞いておいた方がよそさぅである。
かかりつけの眼科の方が慌ただしくもないので、そのような相談事には乗ってくれる。