Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「日経サイエンス」2月号から

2023年12月28日 22時19分07秒 | 読書

 夕食後は久しぶりに「日経サイエンス」を紐解いた。読んだのは2月号の「DNAが語る古代ヤポネシア」。ゲノム解析と考古学を組み合わせて、先史時代のヤポネシア(島尾敏雄の造語)での複雑・多様な古代人の流入と混血の歴史を見ようというもの。
 これまでは、縄文人に弥生人が流入・混血し、「日本人」の原型が出来たと教わってきたが、さらに古墳時代の人々のDNAの解析からいっそう複雑な流入・混血が想定されるらしい。
 また、アズキという作物、縄文犬とニホンオオカミとの関係などにも言及されていた。
 なお、このゲノム解析から進化を探るという分野は私の最も不得意とするところ。

・縄文人の痕跡を現代人に探る
・ゲノムで見る躍動の弥生時代
・アズキ 日本から大陸に渡った作物
・古墳に眠る人々の家族関係
・縄文犬とニホンオオカミの深い関係
の5編を読んだ。

 「渡来の波の「三段階モデル」や日本人集団を中央軸と周辺部分に分ける「内なる二重構造モデル」を提唱している。さらに遺伝的特徴の異なる集団間の混血の時間的・空間的ダイナミクスをもっと加味して精緻な説に仕上げなくければならない。」(「縄文人の痕跡を現代人に探る」)。

 「渡来人の故郷の一つ(中国東北部の内モンゴル自治区から遼寧省にかけての西遼河地域)が判明したが、谷ものルーツとなる場所が存在するようだ。…「渡来人と縄文人の混血」は従来考えられてきたよりも幅広い時代と地域で起こった可能性がある。」(「ゲノムで見る躍動の弥生時代」)

 理解できたかどうかは別として、とりあえず目を通し終わった。他の特集や記事は追々と。


「キリストと性」 その2

2023年12月28日 18時07分42秒 | 読書

     

 昨晩の日付が変わる直線に年賀状85通を投函し、満月兼十五夜の月に照らされながら帰宅。風は冷たかったが、ホッとした。
 本日は、「キリストと性 西洋美術の想像力と多様性」(岡田温司、岩波新書)と、「奇病庭園」(川野芽生)を交互に読んだ。

 「キリストと性」の第3章「マリアとキリスト」を読み終え、第4章「もしもキリストが女性だったら」へ頁を進めた。

使徒ヨハネとマグダラのマリアとの宇陀で、三角関係にも似た葛藤のストーリーが語られてきたていう経緯があったように思われる。」(第1章)

ユダというキャラクターがいかに中世の人々の想像力を刺激していたか・・・・。福音書記者たちが伝えてきたよりもはるかに豊かなイメージが、ユダというキャラクターのうちで響き合っているのである。」(第2章)

マリアとイエスの愛は、本来の母子愛をはるかに凌駕して、女性性/男性性、肉体/精神の境界にも揺さぶりをかけて北のである。マリアの存在は、三位一体という男性中心的な教理をも揺るがしかねない力がある・・・・。」(第3章)

 中世からルネサンス、そして現代までも聖書の登場人物達に、さまざまな物語を付け加えられて行く過程、それがあるからこそ聖書が息長く生き延びてきた秘密も見出される。同時に「性」にまつわる複雑な意味付与や「解釈」が世俗の実体の反映でもあることは想像に難くない。取り済ました「正統な解釈」だけにキリスト教があるのではないことが充分にわかる。

 「奇病庭園」はまだ飲み込めていないので、後日。