★蝉しぐれ捨てきれぬ夢捨てる夢 西岡光秋
人生とは、「夢をいくつも捨て続けて一つの夢だけを抱いて、この世にさよならするまでの時間」とのことである。そのためには若いうちにたくさんの、それこそ捨てても捨ててもまだ残るだけの夢を持たねばならない。はて、私はいくつの夢を持っていただろうか。そしていくつの夢を捨ててきたのだろうか。69歳になろうとている今、果たしていくつの夢を持っているだろうか。
その夢、捨てた夢をひとつひとつ検証したいものであるが、検証しようとすると忘れてしまうのも夢である。私などは朝に目が覚めると見ていた筈の夢を全く覚えいない。それが夢というものの本質だと思っている。
人は夢だけで生きているのではないが、やはり夢をどこかに保持していないと生きていけないもののようである。
夢と云えば、蝶々。
「胡蝶の夢」ということわざがある。「荘子が蝶になった夢を見、人間ということを忘れて楽しく飛び回る。 夢から覚めて自分が人間であることを思い出しあらためて夢の中のことを思うと自身が蝶になったのか、それとも、蝶が荘子になったのか、よくわからなくなった」という故事に基づく。
夢と現実との区別がはっきりしないこと、また、人生には絶対的な確定要素はなく、すべてが相対的なものでしかないとの喩えである。
「胡蝶の夢」を思い出し、本日家から4000歩余りの公園でニイニイゼミと蝶を撮ってみた。