昨日、岩波書店の「図書11月号」の読みたいと思ったものは読み終えた。前回は[表紙]の司修の「夢見下のフロッタージュ」の最後の2行を引用した。
昨日読んだものは、次の6編。
・ミルテを植える 落合勝人
・残念だが、パーティーは次回にお預けだ 鷲田清一
「雑然、雑多。複数の時間が絡まり、積層しているのが、わたしたち一人ひとりの現実だ。‥コロナ禍のもとで(さまざまな行事等が)延期ないし中止になった。そういう仕切りのあったことも思い出しにくくなった。‥時間は表情も律動も失い、のっぺらぼうになる。‥時間が滞留し、向かう方向もまた定かではない‥。」
「《いま》という瞬間に閉じ込められるというのは、ひとにとってカタストロフィックな事態である。人間の意識というものは現在から不在への意識のたなびきのなかにこそ住まうからだ。‥《いま》という瞬間の連続ばかりがあって、時が流れないというのは、きわめて危うい状況である。」
「相互接触を、現場感覚を、開かれた相互交通を、多様性を--と私たちが訴えてきた価値をいったんしっこうさせるという、そういうことをずっと強いられてきた一年半である。」
・新出・智月宛芭蕉書簡 藤田真一
・父と兄の書棚が招いた変な読書 志茂田景樹
・十一月、実りの秋の動物たち 円満宇二郎
今号はこの6編のみで終了。