さすが年季の入った演劇集団。多数の出演者。十分言いなれたセリフの言い回し。何より、奈良時代、天武系一族の女帝時代の歴史絵巻が楽しく面白い。あの怪しげな鶴の張本人、与兵衛が道鏡になっていくのはとてもユニークで面白かった。
きらめきの奈良時代絵巻を堪能できたのは、脚本がかなり一を占めている。古代史を知っている人はなお楽しく、歴史がまったくの人はそれなりに楽しい秀逸演劇ドラマであります。
八嶋智人は . . . 本文を読む
コトリ会議、久々の新作。若旦那家康さんの配慮で、かなりの時間前に劇場に到着するも、ロビーにはコーヒーが用意されていたり、過去の演劇がモニターに上映されていたりと、とてもアットホームなくつろぎの空間が用意されていて、いい気分のまま演劇に入る。
そして劇は、これがなんと100年後の地球の姿で、大戦に明け暮れる人類はもう8次大戦のさなかである。人間はつばめと混血し、人間部分の意識は30%に成り果てる。 . . . 本文を読む
学生演劇で3時間もの長丁場。しかも自ら書き上げたという労作。これがまた面白い。若いっていいなあと、舞台を見ていて思う。みんな溌溂。ダンスあり、アクション有り。精一杯飛んでいる。
他の演劇とは一線を画すように、セリフのしゃべりも明確。トチリもなし。すごい練習量だと思う。みんなよくやった。
前半後半と分かれるが、長くは官にないまま、余裕を残してジエンド。最後もどんでん返し風で面白かった。
28期 . . . 本文を読む
今日一日、しかも一回だけの演劇公演、というのはおそらく僕の長い演劇経験でも初めてのこと。人気俳優、南野陽子さん、大谷亨介さんが夫婦役で、最初と最後をきりりと締める。その他、関西在住の演技派どころ18名も参加して、いぶし銀で、ポエムのようないとおしい劇を奏でてくれる。
1000年の時代をつなぐ神戸。そこに生きていた人たち、その営みをまるで人生の最後に垣間見る走馬灯のように映し出す。
時間は80分 . . . 本文を読む
スタジオ公演だが、実に広い舞台。この空間であれば殺陣が自由自在に行うことができる。俳優陣は10人ほど。みんなよく練習していて、セリフのとちりはない。
この舞台、壁中劇が通常のイメージではなく、実に現代と同程度に重要視して描かれている。その内容も著名な信長、お市の方、浅井長政、秀吉そしてクライマックス本能寺の変と辿ってゆくので、本篇より実際濃いぐらい劇中劇が強く際立つ。
本篇も、 . . . 本文を読む
この時期になると7時間の一人芝居フェスが来る。もう高齢者もいいところなのだが、このフェスが好きで、体がまだ続くかどうかも確かめて毎年見ている。いやあ、ほんと全国津々浦々いろんな方言が飛び交い、趣向もピンキリ。選び抜かれた芝居だから、どれも一筋光っている。
7時間といえど、11芝居、人生を凝縮した芝居が続き、貴重な一日であります。その中でもお気に入り、「ケンジとトシ」、「やじうま」、「コレカラノブ . . . 本文を読む
旗揚げ公演でしょうか、なのでこういう公演は私は見に行くことにしている。映画と同じく処女作にはその作家の想いが詰められているからだ。
さて、この公演、冒頭からがなぜか取っつきにくく、一部の俳優たちのセリフ発声も気になったこともあり、僕はちょっと気がそれてしまう。
でも、ポエムを意識しているんだろう、柔らかな美しい世界を追う心情などがそのうち見え始め、気持ちが180度変化していることに気づく。なか . . . 本文を読む
マイム舞台はここまで完全版なのはひょっとして初めてかもしれない。とにかくセリフがないので、彼らの動き、つながり、表情から何かを得る体験をさせられる。
表現が受身形なので、当然自分自身に犠牲を強いる何かを当初感じていた。でも目と耳が音楽と相乗効果でなり始めてから、とても楽しみに変化したことを告白する。
そのうち音楽がかなり影響力を示していることに気づく。これはほかの演劇では考えられないことだ。当 . . . 本文を読む
初めてのオムニバス版。とっても面白い。5編あるが、すべて泣ける。美しい。徳田さんが、今のままでも素晴らしいのに、さらにその先を見て新しい何かを常に考えているということは重要です。まずそのことを誉めたい。だからこの劇団は続くのだろうなあ、、と思う。冒頭のエピソードが最後にまた合致するその展開はとても素敵でした。いつもより橋本さん、役も重く、こちらも素敵でした。もう次作が気になり始めたいい劇団です。い . . . 本文を読む
やはり大劇団の演劇の能力は高い、ということを印象付けた作品です。
私には朝倉摂は舞台美術で成功した美術家という印象が強いが、舞台ではその半生はかなりユニークなお人だったんだあなあと面白くもあり、正直な人でもあり、なかなか苦難が多かったようだ。
俳優陣がもう十分これ以上ないという演技を見せてくれるので、安心感が漂い、不思議な安定感と充実感があります。素敵な人生を垣間見た気がします。
「山はどこ . . . 本文を読む
意味不明の題名です。舞台でもこの用語は出てこず、最後までわからず。セリフも高知弁なんだろうが、ちょっとわからない部分もあり。と言って、決してこの舞台をけなしているわけではありません。高知の都会から離れたふし工場の事務所が舞台です。方言はこの芝居では重要である。
ひとりあくせくしている女所長のところに若い空き巣男が紛れ込んでくる。この冒頭の設定が斬新で面白い。なかなか外に出られない男となぜかおびえ . . . 本文を読む
初めて見る劇団なのだが、なんと今回で20周年の記念作品だという。そして驚くべきは小演劇では僕にとって初めてというか、30人越えの出演者であること、またそのすべての出演者がみんな宝塚歌劇のごとく全員若き女性だということであります。
話は何か5,6個のエピソードを群像劇に仕立てた感があります。その間に見事な歌唱力のもとに打ち出されるダンスがある。それはもう見事というほかない。迫力満点、そして実に美し . . . 本文を読む
三島由紀夫の傑作戯曲二本立て。両方で4時間。この前、木下歌舞伎で5時間、今月末には一人芝居フェスで7時間、と体力試練が待っている。
さて、まず「サド侯爵夫人」、文学的、ちょい難しいセリフのオンパレードでちょい置いてけぼりの展開。(これはあくまで私の能力、の限界か?)おそらく原作をちゃんと読んでいないと分からないのかな?まさに三島由紀夫のきらびやかな世界観が充満しておりました。
次は「わが友ヒッ . . . 本文を読む
まさに平安後期武士の始まりといった時代。しかも所は東北平泉。藤原氏の前時代、いわゆる歴史でいうところの「前九年の役」あたりを題材にしているので、歴史的にはわかりづらい。
でもそれほど真面目に鑑賞しなくてもいいように面白く娯楽的に作っているので、十分楽しめる代物だ。なんといっても全員が、体を張ったかのような熱演。体から汗の息吹が見えんばかりの立ち回り。もう圧倒されますね。
ただテーマからはいまの . . . 本文を読む
緻密な計算の元に作成されたかのようなコメディであります。セリフが軽快でしかも考え尽かされているので、正直一つ一つしっかりと聞いていないとこの面白さはわからない。聞き逃すと次についていけないかのような何かがあります。それでいて、十分爆笑ものなのだから、この脚本づくりは僕らの恐らく想像できない苦労があるのだと思います。
日本ではこういう劇団はありそうであまりないかなあ、、。アメリカではこういうのは多 . . . 本文を読む