著者の一連の推理的小説の中では導入部は面白いが、中段、特にハナシが読めてからがわくわくさせるものがなくなっていくのは惜しいところ。
江戸川乱歩賞に応募したものを補作して出版したものらしい。
でも、美術への造詣も深いし、さすがラストまで楽しませるストーリーテラーは健在。
65点
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何気ない語りから入る現代の少しずっこけた感じの探偵の出現。
文章が楽しく乗ってしまうが、じわじわミステリーが始まっている。この感覚はこの作家の独特のものでわれを忘れるぐらい本を楽しむことが出来る。
でも、そのうち中だるみのようなものが見え始め結構普通のミステリーではないのかなあ、と思い始めたとき強烈などんでん返しが始まっていた。
今年の収穫作の一つ。ミステリーファンはご覧あれ。
80点 . . . 本文を読む
かなり感覚的で斬新なセンスの感じられる映画だ。ばらばらに思える登場人物がそれぞれ関連付けられるパターンは新しくもないが、それなりにやはり映画的で面白い。女優がかなり個性的できらりと光っている人ばかりで演技的にも見ごたえがある。
人生ってこの映画のように、ひとつの時間に固執しないで、絶えず新しい時間を求めていく過程に何かが生まれていくものなのだろう。
通常の人間はその流れ行く時間にしがみついてゆく部 . . . 本文を読む
ジム・キャリーお得意の活劇コメディー。アメリカ的な笑いがどうも僕にはなつけずボソッとした笑いしか出来なかったけれども、実は妻役のティア・レオーニ がとても僕はお気に入り。だけど、二人が悪乗りしてボニー&クライドばりに強盗を働き出してからは少々興ざめになってしまった。
ラストにああいうハッピーな仕掛けを持ってきてもちょっとニコニコするわけには行きませんでした。
ちょっと全体に不発の感が強いのではない . . . 本文を読む
メジャーの映画ではなかなか意味深な内容。人間の業まで感じる素材は興味深い。原作があるんだろうけど、どんでん返しもないままのあのラストはちと納得できず。それと主人公が入り込み過ぎて殺戮をするまでのプロセスが僕には謎として残った。リアリティーがないと言うんじゃなく、ちょっと無理があるよね。
でも、演出的には熱いものが全篇覆っており楽しく謎解きに参加することが出来た。娯楽作としては合格の出来だと思う。 . . . 本文を読む
乙一のちょっとめずらしく棘のある作品集。
乙一はすべて読んでしまったので、最近また読み直している。何度読み直してもそのたび感動してしまう。今、一番好きな作家だ。一つ一つの作品を大事に読んで見たいそんな作家も少ないだろうなあ。
乙一では毛色の変わった作品が詰まっている。
90点 . . . 本文を読む
何かこのコンテストそのものもきな臭いものも感じるが、少々いやな題材でございます。
自己チューの父親がどれだけみんなの心を苛つかせているのかも知らなく、ますますいい父親だと錯覚しているところなど身につまさせられるところもある。だいたい結婚生活など、えてしてこういうものなのである。毎日が錯覚の連続なのである。
まあ、そんな家族の崩壊めいたプロセスをアメリカ的に短略的に描いたこの作品、妻の心の病といい、 . . . 本文を読む
いい年をして子供まで産ませたプータローの凋落の人生ざま。どこにでもよくあるハナシなのだが、カメラがドグマ映画風ですこぶる迫力あり。その迫真的な映像はラストの男の改心まで緩みを全く知らない。未来が男の姿とかぶさる少年との引ったくりのシーンの新鮮なこと。ほんと、最初から最後まで観客の心の休まるときが全くなかった、珍しい映画である。
でも、こんなだめ男でも一緒に泣いてくれる優しい女もいてくれるのだ。
男 . . . 本文を読む
うーん、まいったなあ。この感動。この人間愛。こういう映画を見た後で、この社会に人間たちの憎しみがあることが不思議に思われてくるほど、この映画を見た観客はほぼ全員同じくすばらしい心の空間を共有したのではないだろうか、、。
兄の視点から告げられる「ポビーとディンガン」のハナシ。最初は僕らも兄と同じく怪訝な感じにとらわれるのだが、映画の進行と共に捜索活動に入る時点においても別段違和感がなくなっており、家 . . . 本文を読む
乙一の作品を映画化。あの、乙一の繊細で独特の世界が映像化されるのかどうか、こわごわ見始めたが、あまり原作から逸脱していず、まあまあの出来。安心したところです。
5編のオムニバスもそれぞれ力作で乙一ワールドに入り込める。
「カザリとヨーコ」の牙。「SEVEN ROOMS]の推理小説好み。「陽だまりの詩」の透き通った死生観。「SO-far そ・ふぁー」の親子のつながり。ただ、「ZOO」だけが原作と似て . . . 本文を読む
ゆったりと流れるカメラ、その長回し。リー・ピンビンの相変わらずうっとりとするような豊穣な映像。インテリ層の悦楽さと彼らの支えで生活をなす花柳界の華麗だがすさまじい世界。でも、すべて映像に昇華されひとつに美術画のようでもある。シャオシャンの余裕と受け止めるか、、。
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何か容貌も冴えない5人の俳優。パク・シニャンがカッコよく見えるぐらい。それほど他の俳優はイモ過ぎる。良くこれだけ集めたなあと思えるぐらい。だからなのか、演出も少々冴えない。やはりこの手の映画ではハリウッドに大きく水を開けられている。
おまけに途中でどんでん返しらしきものも分かってくる。これじゃ何を楽しみにこの映画を見ればいいのだろうと思ってしまう。
面白いのは韓国銀行(日本でいう日銀)での現金強 . . . 本文を読む
映像と俳優だけは飛びっきり美的に優れている。だけど、それだけの映画のように思える。特にラストのあの弟の死病は何かとても唐突に感じ、この作品を哀しいかなつまらないものにしたと思う。
だいたい、女の子の心がはっきりわからないし、(どっちも好きそうだし、普通そんなことはないよね?)苛つくところでもありました。
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クォン・サンウというよりキム・ハヌルのヘチャメチャコメディー。あまりに開けっぴろげで気恥ずかしさえ感じる青春煥発もの。
若いときはこんな映画見てそういえば楽しかったなあ、なんて思えるぐんぐん青春してる映画でした。
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さすがフランスの重過ぎない軽すぎないそれでいてさらりと戦争を言ってのける。作りすぎた嫌いはあるものの、、
あの、身代わりの老人のしたことは頭で考えていることと、実際のこととはあまりにも違いすぎてむごい。ドイツ人のピエロも同じく人間賛歌のために自分の命さえ投げ打った。この二つの事実はあまりに重い。重過ぎるが、老人の妻のようにそれでも人を信じ続けるしかないのが人間の生きていくすべだろう。
ラストの子供 . . . 本文を読む