朝、広島の朝。コンパクトな部屋でゆったりと目覚める。
特に今日は時間的にどうこうするものでもない。時間は十分ある。しかも、都会である安心感もある。
ホテルは9時頃出発。結構冷える。まず、歩いて県立美術館へ進む。休日明けだが開館している。広いロビー。あまり人がいなそうな美術館。受付で「今日は常設展示しかありませんが、、」と、申し訳なさそうに若い女性が伝えてくれる。
特に言うようなものもないが、十分 . . . 本文を読む
乾いていてそれでいてユーモアとふとした哀しみを感じ取るゆったりとした時間の流れ、、まるでカウリスマキタッチの映画がイスラエルからお目見え。
アラブとイスラエル、言わずと知れた敵対国同士だ。
隊長のまるで硬い表情は国家の象徴か。イケメン隊員のヤング(でもないけど)とは対照的だ。隊長と隊員はおそらく分身的存在なんだろうけれど、アラブ世界を象徴している。対する食堂の女主人とその取り巻きはイスラエルその . . . 本文を読む
ミステリーでも殺人事件は発生しない。日常系の謎をうまい酒と料理を楽しんでいるときに解いていくといういかにも石持、余裕の作品集であります。
とにかく彼の作品はちょっとした奥底に潜む部分が謎となり、ミステリーとなる。
よく僕たちの日常でも周囲には限りなく謎というものがある。謎があるということは解決も当然あるということなのだよね、、。
僕はあまり料理にはウンチクはないのでただ読んで感心しているだけだが、 . . . 本文を読む
ホラー映画不得意の我輩がこの手持ちカメラの迫力(「ボーン・スプレマシー」のポール・グリーングラスを超えているぐらい)と、映像と密着したど迫力の音響の魅惑の前に目が釘付けになり、もうタジタジとなってしまったことを告白いたします。
内容的には前作よりかなりトーンダウンだが、映像的に興奮度を高めていること、及びナパーム弾の炎火猛烈シーンは映画史上でも一番残酷ではないかと思われること(むしろ僕は原爆を連 . . . 本文を読む
荒削りだけれどギドクのすべてがここにあるといっても過言ではないほど愛への昇華と美術的な拘りがある。後年の作品はすべてこの作品の焼き直しではないのか、と思えるほどシンプルに、生きることと死ぬことへの想いを驚くことにロマンティシズムいっぱいに描いている。
途中での一連のピストル事件は茫洋としているが、それでもこの映画の欠点とならずむしろ詩的に思えるほど。
ラストの心中の水面下の絵画のある部屋シーンは . . . 本文を読む
人類が地球を捨ててコロニーに移住し、4畳半のたたずまいを思い浮かべるその郷愁に似たアイロニーはどこから生まれるのか、、、
服部まひろさんの美声がたよとう人間の生存の悲しみまで感じてしまうぐらい素晴らしい演劇でした。
コント的な掛け合いも素敵で、関西演劇の質の高さをまざまざ見せ付けられました。 . . . 本文を読む
ナチスが収容所で偽札を作っていたというのは知らなかったが、映画で見るとなるほどそれぐらいしていただろうなあ、というのがまず感想です。同じく北朝鮮でも国家ぐるみで偽ドル札を作っているぐらいだから、、。
映画では偽造集団だけが他のユダヤ人と違って優遇された生活をしている。卓球台まであてがわれているぐらいで、ピンポン中でも隣の壁を越えるとユダヤ人の銃殺の音が聞こえてくる。
偽札を作らないと自分たちが殺 . . . 本文を読む
いい話んなんだけどなあ、何でかな、涙は出ましたが心で泣けなかったです。小説では恐らく感動できるんだろうけれど、映画では脚本、演出がすべてです。
岡田准一の振込み詐欺が逆バージョンになる話はいたく気に入りましたが、肝心の父親に対する不信感がギャンブルで身を持ち崩す過程が理解不能。
西田が永遠の恋人の死に面しているとき、彼を慕っている女に気づいたからってその女のもとに行くでしょうか、、。
三浦友和も急 . . . 本文を読む
この旅行3日目である。
今日はいよいよ対岸の多々ある島に行ってみようと思った。
とはいえやはり寺、美術館は見たいなあと思うと、耕三寺のある生口島に行くことにした。
フェリーに乗り40分ほどか。しかし乗っているときアッと思った。
学生時代に今の家内と二人で旅行したときある寺に行ったことを思い出した。大三島とどこか行ったなあとは思っていたが、耕三寺だったのだ。
でも引き返すわけにも行かず(というのも、 . . . 本文を読む
今ぞっこんの石持浅海の短編集であるが、これ一冊で一つの長編とでもいうべき味わいがある。
何と言っても探偵役が人間ではない生命体というのが味噌であろう。しかも、バンパイヤに似ており、何百年も生きているということが分かってくると萩尾望都の「ポーの一族」なんかを思い起こしてしまう。
特にラストの本題にもなった「温かな手」は特にミステリーではなくとも石持浅海の本質を知ることの出来る秀作だ。この読後の鮮やか . . . 本文を読む
なかなか力作であった。
練習もかなりやっているのか、せりふのしゃべり方にみんな自信を持っていそうだった。3つのエピソードを縦に、ラジオDJを掘り下げている。かなり重層的な演劇で、こういう演劇が関西でもあるのはうれしい限りだ。
ただ、今回でこの演劇も終わりだと冒頭で言っていた。だとすれば残念ですね。
久しぶりに関西演劇で楽しめた作品であります。 . . . 本文を読む
あまり書くべきこともないお楽しみ映画だが、お気楽映画で楽しめればそれでいいのかな。予告編が面白かったので気になっていたが、予告編以上ではなかったような気がしました。
この映画、初めて見ましたが、何か盛り上がらないのは、主役のヨアン・グリフィスが義理の弟のテクを持っていないことではないだろうか。メインヒーローが空を飛べないのでは欲求不満のみが残ります。
また、全体に子供向けというか、幼稚で安っぽく、 . . . 本文を読む
今やどのホラー映画にもあるゾンビがこの映画にも当然あり、少々食傷気味ではある。しかし、際立った戦闘美人ミラがこの映画の芯でありまして、相変わらず強く美しい。立ち姿もかっちょいい。
筋書きは、まあうまく次作に繋がればいいといった安直思考ではあるものの退屈はしない。娯楽作品としては水準作ではないか、と思う。
けれども、冒頭の、森も川もなくなってしまった、なんて解説を聞いていたら疑問が生じました。ガソリ . . . 本文を読む
イオセリアーニの待望の新作。この無気力系のほのぼの感が素晴らしい。
ちょっとした失言で、現世のチカラの根源すなわち金、地位、女、家をすべて失ってしまう主人公。仕方なくふるさとへ帰還する話なのだが、故郷に帰ると、彼が大臣であろうがなかろうが関係なく自然体で接してくれる旧友たち、旧恋人たち、親族たちの暖かさ。
都会人たちがふと疲れたときに見る映画としては最良のものだと思う。画面に散りばめられているイオ . . . 本文を読む
うーん、あまり素直といえない映画ではないか、というのがまずの感想です。
描いているのがキョーサン主義騒動という手法ですが、子供から見た視点とはいえ、主義に熱中している大人たちがあまりに幼稚すぎて、どうせやるなら徹底的に戯画的にやるとかすれば風刺的な広がりもあるものを、中途半端な捉え方で子供のみの視野がクローズアップされただけであったようだ。
例えば超金持ちから貧乏に陥るとか、両親の環境変化による . . . 本文を読む