自衛隊広報PR映画といっていいだろう、航空機、訓練場すべて惜しみなく映像に提供されている。その手のオタクにとっては随喜の涙を流すんだろうが、ただ普通の映像として取り上げると稚拙な展開で、最近の邦画では十分すぎるほどB級っぽい作りである。
初監督かなと思ったら結構活劇を撮っている監督である。最近の映画ではこれほど幼稚に思えた映画はない。他の作品のレベルが上がっていることにもよるんだろうが、、。 . . . 本文を読む
宇宙を探っていた恋人が突然死んでしまう。その取り巻きのいろんな関係、騒動、恋物語を2時間の長時間に集約した意欲作だ。
登場人物はこの手の演劇では多い目でそれでもきっちりと性格付けがはっきりしているので分かりやすい。主役の青年の心情もある程度類推されるがラストのなるまで明かさず、それはそれで面白い。最後まで抑えたことで美しい恋物語となって収束した。
現代においてこのような夢ロマンものは僕たち大人 . . . 本文を読む
人生って何なんだろう。別に構えて考えているわけではないが、恐らく人は毎日の生活を通じて少なからずこんなの俺の本当の人生じゃない、とかもっと別の生き方があるはずだとか考えることが多いだろう。
この映画は心臓移植を宣言された若者が今までの人生のすべてのヴェールを剥がし、透明の気持ちで世の中を眺めると、パリという街中の光景がまるで違ったものになり、そこには人間味溢れた生活臭があり、恋があり、哀しみがあ . . . 本文を読む
暗鬱でそれでいて凝縮した演出で、この映画、ホラー映画なんでしょうが、何か格の高い極みにもっていく人間への憧憬とたゆまない愛が映像のあちらこちらで感じられる。
ファーストシーンの意味合いがラストまで隠されるわけだが、観客は勿論その意味をずっと考えているわけである。ミステリー的には他愛ない展開ですが、でも1シーン1シーンが緊密な映像で、主人公の心理をそのまま映像に当てはめたうまい演出で、その緊張感が . . . 本文を読む
2008年のミステリーベストとして誉れ高い著書を読まずにはミステリーファンとは言えまい。ということで、だいたい苦手な伝奇ものに挑戦して見ました。
導入部のヤマを間違って彷徨う描写はさすがと言わせるものがあり、本に没頭させてくれる。しかし、登場人物の名前が親族であるからにしてよく似ており、最初のページに人物紹介があるものの何回そこを繰ったものか。まあそれにしても人がばったばったよく殺されるものか、 . . . 本文を読む
何故今、市なのか、それも女座頭市なのか分からないまま映画を見てしまったが、思ったより映像は美しくしっかりと作ってある。まあ、ハナシが完全に「用心棒」のパクリだが、パロディにしようとしない何かも感じられた。
要は女座頭市だから男と違い、殺すにしても説得力を求められるということなんでしょう。ただ殺戮するだけでは不自然なんですよね。それを離れ瞽女で説明しようとするからなんか結びつかないんです。(という . . . 本文を読む
題名からして、てっきり僕は地球の自転が止まってしまうパニック映画だと思っていたのですが、、。
どうも突っ込みだらけの映画のような雰囲気ですなあ。まさか、それを求めて作ったわけでもないものを、、。
一番ぎゃふんと来たのは例の目玉ばかりが大きいオスカー像の出現の時です。これはダメだなあと思いました。センスがなさ過ぎます。まるで純B級じゃあないですか、、。この映画はまさに正月映画の家族みんなで見れる . . . 本文を読む
クリスティの「そして誰もいなくなった」をアレンジしたサスペンス映画だが、孤島に存在する面々が全く同じ職業だから(研修だから当たり前なのだが)一体何のために殺していくのか皆目分からず掘り下げ方が浅く、当然面白味も少なくなっているように思った。
まあ、まさにB級映画だからくどくど言う必要もないはずですが、変わった殺し方だけでは観客にとっては退屈で肝心の誰が時犯人なのか、動機は何なのかがあまりいい加減 . . . 本文を読む
市川実和子と三浦由衣が出演しているだけで、こりゃあもう怖い作品になるのは自明のこと。(どちらかというとバックミラーに写る顔面を想像させる)
で、今回は探偵松田龍平の心の空洞に焦点を置いた映画なんだ。それだけでは単調だと思ったのか通常の苛め女子高校生を配置して輻輳させたホラーに仕上げている。確かに怖いけれども心を震わせるような怖さではなく、直接的な視覚によるホラーへ重点を置いた模様だ。
そうする . . . 本文を読む
それにしてもミック・ジャガーはすごい。顔は多少年齢を感じさせるが、その体型、動きは若いときと全く変わらない。いやむしろ細くなっているのでより軽快でセクシーだ。声も十分艶があり、うなるほどの超一級ミュージシアンであることが分かる。
映画は特に冒頭は劇映画より面白い構成で本番撮影までの不安、期待を鋭角な数台のカメラで映し回る。人間がまるで輪切りにされるMRIのように彼らをあらゆる角度から描写しまくる . . . 本文を読む
戦後のどさくさ状態での誘拐シーンはかなり迫力があり導入部からこの作品にすんなり入ることができる。まあ15年後の殺人事件との接点もなかなか読みごたえがあるが、本格からは少々遠いかなあというのが感想であります。
ミステリーではあるけれど、犯人が何かあっけなく感じたし前半ほどは惹き付けるものがなかったかなあ。現代ではなく昭和を意識した書きぶりはなかなかのものと評価できる。 . . . 本文を読む
曹洞宗の開祖道元の伝記物語であります。結構生真面目な作りでドラマチックな部分が少なく、いつもの高橋伴明の艶が見られない。まるで宗派一門のためのPR映画のごとくかなり節制をしながら映画を作った感がする。
映像にまず色が見られない。色彩映画だから勿論色そのものはあるんだけれど、高橋のまなざしと言うか、人物に入っていく拘りのようなものが見られない。当然傍観者的なタッチに終始し、道元の懊悩までは描かれな . . . 本文を読む
冒頭の誘拐話はとても面白かった。どんな展開、伏線があるんだろうと、ワクワクさせるテクはさすが連城だ。しかも洗練された文章で500ページの長編だがどんどん読み進めていく。
でも、このプロットはちょっとリアリティに欠くよなあ。最後までどうなるかわからないその書きぶりはミステリーとして一流だけど最後であっと言わせるタネがあれでは読み終えた後どっと疲れる羽目になってしまった。
しばらくぶりの連城の作品 . . . 本文を読む
新しい年。ところが元旦から5年ぶりに風邪をいただいてしまう。熱などはないが、咽喉と鼻がおかしい。親戚への正月参りもありまた家族も地方から帰ってくるので極力悪くならないようにする。
ずっと風邪など引かないのであるが、こうやって引くとだいたい2週間は直らない。熱がないのだけはいつもラッキーだ。食欲も変わらない。でも、咽喉がおかしく人とまともにしゃべれない。咳き込むことが多い。
おまけに3日から仕事 . . . 本文を読む
イ・ミョンセ監督と言えば前作「デュエリスト」の大胆な映像に酔った覚えがあるが、今回は小説家の脳裡をまさしく映像化することによりさらに新たな挑戦をしたといえる作品である。
この映画はミョンセと観客との、ある意味確執であろうと思う。ミョンセは映像を通して観客に問う。君たちは僕の映画を好きなのか、それともただスターを欲しているのか、それを問いたい、と、、。だから、登場人物は極端に少なく、セリフも夢の如 . . . 本文を読む