新幹線に乗り込む二人の若い男女。何か不毛な会話をしている。少し不条理な入り方である。話は展開して、映画的な手法を見せてくれ、4人の物語が語られていく、、。
少し難解な方法が好きらしく、少しばかり登場人角の関係が分からなくなり、しかしセリフに無駄がなく、またセリフの洪水とも取れるシーンも多く、僕には鑑賞力を鍛えられる舞台となった。
人生の弱者へのまなざしが暖かく、感動的な作品となった。題名からは . . . 本文を読む
伊豆でなく北欧でこの人物設定だったらまさにカウリスマキの世界なんだが、日本ではどうしてかやはりその域には達しないですね。不思議です。
小さなただ当たり前の毎日を生きようと思っているだけの人間に降りかかる悲劇を持つ二人。その出会いは他愛ないものだったが、自然とほのかに膨らんでゆく。あまりに不幸な二人だったが、愛の魔法が二人に方向性をもたらす。
いい話ではないか! それでも少々人工的なスパイスが目 . . . 本文を読む
本格ということでしたら、やはり超本格でしょうな。何しろ結婚式での3人の毒殺に絡む解決ロジックがなんと数えたわけではないが、10種以上も、、。これにはたまげました。まだまだミステリーの世界でこんな珍書も出て来るんですな。スゴイです。
人間が書けてないとかいう人が続出でしょうが、別に本格エンタメだと思えば、面白ければいいのではないか、と考える。
この手の緻密な名推理はかなり頭のいい人だけが許される . . . 本文を読む
この劇団は実力がある。結構魅力的な劇を見てきた。今回は新人生歓迎公演らしいが、、。
さて出し物は、題名からはうかがい知れないマトモもの。というのも、題名からもっととぼけたコメディかなと思っていたのである。
宮沢賢治に強く影響を受けた銀河鉄道ものだと見ている内にわかる。車掌を入れて4人の自己探求の物語だが、そのうち一人ずつ途中下車してゆく。自分自身で納得してから自分の行く道を歩み出す。
銀河鉄 . . . 本文を読む
7編の日常的謎を解く安楽椅子探偵ものと言えるだろう、ミステリー好きの4人が集うあるカフェ。そこのカフェの店主が見事みんなの話を聞きながら、名推理をするという仕掛け。これで面白いわけがないだろう、、。
それぞれが短い短編なので、読みやすい文章とともにすいすい小説の中に入ってしまう読者たち。面白いが、設定他愛ないお話しなので、ミステリー好きの若者がこれを読んでくれるかどうかがキーだろう。
そして私 . . . 本文を読む
もうミステリーに新味はほとんどなく、、なんて思ってはいるが、こういう一応本格物もたまには出版される。読んでて面白いけれども、殺人のための殺人を繰り返すというのも、どんなものだろう、現実味がなさ過ぎで、少々やりすぎでないかい?
やはり本格ミステリーではないのではないかい?
とか、揶揄する気持ちがどこかにある。と言って面白くなかったわけではなく、(僕も歯切れが悪いなあ)この発想にはあっと驚いたので . . . 本文を読む
思春期のどこにでもある謎、これって米澤の古典部シリーズに感化された?
でも素敵だね。歳を重ねてもこの時代は人生上でも白眉。うんと評価は甘くなる。肝心のミステリー的には前半の2作はすぐ真相がわかった。僕が分かったということは80%の人たちが分かっているということに他ならない。
これが鮎川哲也賞受賞作とは到底思えないが、これが現実。受け止めよう。
引きこもり探偵歩くんが絶品。ユニークで楽しい。一 . . . 本文を読む
ついいつも見てしまうファンタスティック・ビースト、今回も見る前はワクワクしっぱなし。やはりどこかでハリポタを追ってるのか、、、。
今回は両巨頭対決が冒頭に仕組まれている。そしてなんとこの二人が若い時に恋愛をしていたことを観客に(?)カミングアウトするのだ。そのことが本作の底流に流れるキーポイントになっているが、、。
二人が戦っているのに、どこかでほんわり柔らかさが残っている。映像はそうでもない . . . 本文を読む
この映画を見て、特に前半面白く、彼らのセリフを理解するのに苦労するも、まあ少し分かると知るや、にやにやしながらこの映画を見続ける。
そしてそのうち現実が二人をうちのめしてゆく。この現実とは何か。それはお金と生活だ。二人はそのため就職して自分を売る。労働力を売る。これに耐えかねて自殺する青年もいるが、人は朝起きたら金が要ると言われる。仕方なく金を稼ぐ生業を得なければならなくなる。二人のすれ違いはこ . . . 本文を読む
あまり相性の良くないカンピオン作品だが、これは合格内。2時間、映像が最近の映画では抜きん出て美しく、また音楽にも力を入れて冴えわたっている。映画ファン、狂喜するところである。
でも主要俳優4人が一切内面を語らず、観客は彼ら、映像から取り入れるものを読み解くという作業を強いられるのである。この時点でお休みタイマーに入ると、何もない空っぽの映画になってしまうでしょう。
何か、訳ありなダンストが映像 . . . 本文を読む
静かな映画だ。親友が行方不明で、気持がそれを受け付けない。誰にもわかる感情だ。女性は5年もたっていて、まだその空白感は続いている、、。
東京での高級バーラウンジが素敵だ。客の一人一人を見て音楽を流す店主。心のつながりを常に考えているバーだ。しかし、驚くことにその店主は急に自殺してしまう。人の命のはかなさよ。死はかくして我々のすぐそばに駐留している。
周波数を合わせることで日常生活を営んでいた親 . . . 本文を読む
文章に読みごたえがあるからミステリーではなく普通の小説を読んでいる感もあり。疑似家族の描写も優れており、人の心をきちんと描く作家だなあと思われる。
単なる誘拐事件だけでなく、ちょっと複雑にしているが、それでも家族の絆をテーマにしているのであれば、やはり彼女が子供を置き去りにした理由が弱い。これだけが後々印象に残る。
ミステリーとしても、あっと驚く仕掛けで、これはなかなか見破れないのではないか、 . . . 本文を読む
つい見てしまうイランの巨匠と呼ばれるファルハディ作品。今回は随分と通俗的な事象をテーマに、人間の行動の闇を探っている。
いつも思うのだが、彼の作品はイヤミス系がたっぷりで、切取り部分にそれほど意図的テーマを持たず、人間の卑近な営みをこれでもかと描いている。とても映画作りがうまく、観客は気づくともう彼のペースにはまって映像を眺めていることに気づく。いわゆる映画の魔術師である。
それでも今回は刑務 . . . 本文を読む
オーストラリア観光島でおきた銃乱射事件の犯人の日常を辿った作品です。大人になっても花火が好きで近所からも嫌われているそんなシーンから始まっている。大きな子供なのである。けれど社会はそんな子供を受け入れてはくれない、、。
常に音楽が鳴っている。クラシックであるが、少々不快に聞こえる。レコード盤が古いのか雑音さえ聞こえる。恐らくニトラムの心象の音色なのだろう、それがラストで彼が凶行に走るときにすっと . . . 本文を読む