行定勲監督、三島でも白眉の「春の雪」、大丈夫だろうか、、。見る前からかなり心配しました。でも、撮影がりー・ピンピンと聞いてから、興味津々。彼のカメラはホウ・シャオシェン、ウォン・カーウァイ映画ではまさに主役。豊穣な色合いの恋愛映画が楽しめる。今回は映像の楽しみから入りました。
セリフ自体がもう三島文学の匂いがして最近の日本映画ではもうかなり新鮮。若いときは僕らもこういう観念的な会話も良く交わしてい . . . 本文を読む
前作が強烈な印象をいまだに残す怪作であるので、どうしても引きずってしまうのであるが、導入部はスムーズで、今回も面白いと予感させる。
僕の好みかもしれないが、前作が限られた密室でのあの悲惨な出来事の積み重ねだったのに対し、今回は密室でもなく、部屋がかなりあるので、閉塞感が薄れる。
それと前作の「SAW」の本当の意味の怖さを知ったときの衝撃的な恐ろしさが今回はまったくといっていいほどないので、通常のホ . . . 本文を読む
事件が起こるまでの描写も何気なくうまい演出振り。どうみてもB級ホラーなんだが、結構俳優も魅力的だし、映画への思い入れがあちこちで感じられる(映画ファンを大事にしてくれそうな)暖かい雰囲気で作られたセンスのいい映画だ。
出演者たちの殺され方は結構ショッキングだが、それほど怖くはない。
むしろ、そんな危ない場所を離れたらいいのにと思いながら、どんどん館に入っていこうとする出演者。観客に苛立ちを起こさせ . . . 本文を読む
こんなにうまくいくのかなあなんて穿った見方もあると思うけれど、それなりにスタイリッシュだし、クールでいて迫力もある。でも、何かこの男と女、華がないよな。ボスのA・フィニーの方がかっこいいね。と、コーエン好きの僕もいまいちの味。
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見てる間も見終わった後からも何かじわじわ人生の喜び、切なさを感じる等身大の映画だ。子供の視線で子供の心で大人中心の世界を見ているまなざし、だけどそれは大人が製作したものだということ。不思議だなあ。
けれど、このすがしさは何だろう。思ったよりずしんと来る秀作だ。
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ブラジルの刑務所って日本と違い結構自由でこんなこと刑務所でしていていいのだろうか、なんてつまらないことばかり考えていたら、ラストにものすごいシーンが待っていた。これはすごい。
でも、この大殺戮を描きたいがために、2時間を囚人の個々の切り取られた人生を描く方法は説明調で平凡だ。もっと刑務所の生活から彼らの人生を紐解いてほしかったと思う。
この映画は囚人たちからだけの聞き取りで作った映画だと解説して . . . 本文を読む
最初はドキュメンタリー映画かなあと思っていたら、そうでもなく、ただセリフが全くないんだ。結構そういう映画も見てきた。今まで文字が入ったりするけど、この映画にはそれもない。2年程前かな、パレスチナ映画で全く劇映画なんだけど、セリフが最後までないのがあった。それ以来。そのときも睡魔が襲ったものだが、今回はそれほどでもない。
鳥の視線で映像が展開されたり、モグラが地中にいるときに何か上から攻撃しているも . . . 本文を読む
イギリスという反映を誇った国家でも最下層ではこういう移民に伴う現実があるということ。それでももがき生きていく。手探りでも灯りを模索する。自然と出来てくる助け合いの輪。
それらを社会派タッチにしないでエンターテイメントにしたところにこの映画の価値はあると思う。
お気に入りの「グリフターズ」よりは柔らかくなっているけれど、さすがのいい切れ味。職人芸です。
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完璧なラブストーリーである。究極の愛という月並みな言葉を並べてもこの映画を語ることはできないであろう。純粋のしかも強い愛なのである。
以下、ネタバレです。
難病ものとはいえ、肉体ではなく若い女性に突然襲いかかるアルツハイマー。
ラブストーリーでありながら、記憶が新しいものから失われていくという考えさせられる内容になっているので、単なる号泣映画にしていないところが偉い。
構成もいいね。前半は二人 . . . 本文を読む
いやあ、かなり面白かった。すこぶる楽しませてもらった。これがアメリカ映画、だなんて、し、信じられない、、。
かなりハイセンス。普通の映画の一番の盛り上がりシーンだけをオムニバスで描いた感のある贅沢映画、っていうのかな、これは映画芸術でしょう。
映像は、白黒でこの豊穣感はスゴイ。血の色のパートカラーもいいなあ。
起承転結も切れ切れのようでしっかりとしているし、文句なし。
欲を言えば少女がブスだったこ . . . 本文を読む
映像は中国の自然を生かしきれいだ。コン・リーもきれい。お話もきれい。冴えない詩人に恋をする女。一途過ぎそれが重荷になる男。そこに都合よくごく普通の男が女にモーションをかける。でもさ、これって、古い短編小説みたいだ。だから何なんだ?
きれいであれば映画は映画足りえるの?獣医の男、やくざのチンピラみたいな顔してるので本来なら詩人と対抗できない。その詩人のレオン・カーフィーも昔に比べるとくたびれてる感じ . . . 本文を読む
ベルトリッチの自由奔放な映像と思いきや、パリ革命当時の若者の自由の幻想を回顧して描いたものと気づく。双子兄弟の大人になりきれない二人に振り回されるアメリカ人から見たヨーロッパは、という見方もできるが、それはベルトリッチの言い訳に過ぎない。
当時の若者は(ベルトリッチも含めて)ただ感性の解放、自由の獲得、既成概念への嫌悪、破壊願望、、がうずまいていた。
そんな、懐かしき時代そして過去の映画人たちへ . . . 本文を読む
40年ほど前の映画でこのスリリングな心理小説的映像はすごい。何気ない日常に潜む殺意の瞬間。
それはあくまで家庭という名の正当防衛なのだという見事なパラドックス。そこまでに至るプロセスの緻密さ。それは白眉の心理小説を映像で書き切ったという感じがする。
日本映画でのこのハイセンスは想像を超える。成瀬の最上作のひとつ。
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とても面白い話なのに、演出のテンポがのんびり過ぎて、シャープさに欠けていると思う。少し冗漫な話。
一つ一つの話はかなりいい。
勝地涼のまだ見ぬ母親探し。宮藤官九郎の草花壊しの償い話。倍賞千恵子の盲導犬との再会話。それぞれ感動的だ。
一番つまらないのはミムラの手術を受ける、受けないの話。
みんな死を決してまで奔走しているのに、一人楽をしようとしている感。
ここだけがちょっと浮いていたかなあ。だから、 . . . 本文を読む
毎年秋になると映画で鑑賞することになる藤沢周平作品。
正直、予告編が感動的だっただけに、本番はどうなんだろう、知らない監督でもあるし、、とうがった見方をしてしまったが、いやあ、見ている間のこの清涼感は日本人であることの自意識を否が応でも感じ取ってしまった。
前半の思春期のあの淡い気持ちが一生の恋心になる過程は素晴らしく、ラブストーリーの本道である。
そんな、亜麻色の人生が藩の思惑により現実にかき消 . . . 本文を読む