この題名はどうもいかがものか、あまり考えないで作っちゃった感もするなあ。最初の出だしはアクションっぽいが、それ以降実にしんみりした話になる。これは予想外の映画である。
お贔屓シアーシャの冒頭の尼さんスタイル殺戮シーン。仕種がちょっと変だなあと思ってたんだよね。でも気のせいかと流していたら、後で真相が明かされる。なるほどこの監督、結構心情的な映画を作ろうとしている。
シアーシャの言動から彼女が純 . . . 本文を読む
久々のデ・パルマ。昔の筆力は取り戻したのかのう。と、そんな期待をこめて映画館へ。後半の完全ミステリー部分はまあ楽しかった。でもなあ、前半の2人のタッグマッチはやはり長いかなあ。くどいと思う。
僕はレイチェル・マクアダムスのファム・ファタール女ぶりはぞっこん好きだ。セックスシーンが如何せんおとなしすぎてインパクトないけど、それでもまあ許せる。
僕が問題にしたいのはノオミ・ラパスの太りようなのだ。 . . . 本文を読む
僕も長い演劇遍歴を標榜しているが、しかしお寺の境内の中のホールで演劇を見たことはあるけれども、本堂の中で、仏像を背景にしてまさにそこで演劇を見たのは初めての経験である。ただただ驚いた。
後で聞くところによると、主演の俳優はこの寺の副住職であるとのこと。であるから演劇が可能だったんだなあと、納得。仏像を前に走るは、ギャグはあるは、俳優陣も総勢20名近く、大立ち回り。見ている間、これを住職、よく許し . . . 本文を読む
確かにこんなトリック、現実的ではないのは明らか。理論上の架空の夢想話だろう。でも小説だからこそそれが面白い。小説だからこそ成り立つ話。
だから女を子供を産む機械しか考えていない夫も小説でこそ成り立つ。こんな男と結婚の契約をする女がいるはずがない。
そんな、はずがない・ない尽くしでこのミステリーは成り立っている。だから逆に面白いのだ。東野の小さな針に糸を通すような精密さと共に、400ページを超え . . . 本文を読む
法月、よくここまで、いけしゃあしゃあと、オタクっぽく、読者の困った顔も顧みず、好きなやりたい放題、四作に設えたなあというのがまず感想です。
1作目の表題作はただただ立派。なるほどこういう結末になるか。ミステリーファンとしても恐れ入りやしたの一言。すごい。かっこいい。
2作目の「引き立て役倶楽部の陰謀」は結構読みやすい。ワトスン役を一堂に集めミステリーファンは随喜の涙。そこにクリスティーの失踪事 . . . 本文を読む
この映画、素人映画臭いんだよね。映像も結構雑で何より下ネタも連発でいかにもお上品とは言いにくい。最初の15分はそんなに大した映画ないじゃん、と思い惑わせるほどのただ青春まっしぐらという映画だけれど、ラストでやられた。
最初の結婚式参列シーンから始まり、これがラストに効いてくる仕掛け。クラスメート6人。狙っている女子は優等生の美女一人。この子が何となくみんなと行動を共にする過程が断然素敵だ。
ま . . . 本文を読む
何か昔見た「旅情」をちょっと思い起こしたけれど、タッチが全然違うねえ。主人公のマダムが余裕あり過ぎなんだよね。C・ヘップバーンみたいに欲求不満気味じゃない。人生への哀しみもない。これ以上もう欲しいものはないぐらいの余裕さなのだ。
それなのにエトランゼは人間を襲うんだよね。暑く、カラカラの砂漠。カイロの観光名所を二人でただ歩く。口数は少ない。女は年上の実女の50がらみ。男は夫の元部下でアラブ系だけ . . . 本文を読む
アイシュビッツでのスリリングな二人の逢引と脱走までに至る経過が、現代にフラッシュバックされる映像とともに素晴らしく、きりりと引き締まっている。どんなみじめな境遇でも愛は芽生えるのだ。
思想犯とユダヤ人との差別のリアルさもさることながら、息子の母親がユダヤ人を毛嫌いし、ナチスドイツ後にはロシアに占領されていても、ただ血縁を守りたいがためにレジスタンス思想も人種もノンとするその徹底した母親像に唖然と . . . 本文を読む
ルノワール、南仏のおおらかな日光。ふくよかな裸体の女性たち。人生がそんなに幸せにあふれているのなら何も絵なんか書かなくてもいいのではないか、と思う貧相な自分。印象派の絵画が好きな僕でもあまり関係ない画家の話ではある。
彼の色彩技術の基本が絵皿技法にあるとは知っていた。そして晩年リューマチで手が動きづらくなっていることも。映画は想像通りのルノワールを描いていく。
そして一番僕らが興味深いのは映画 . . . 本文を読む
この映画のことを全く知らずに見てしまいました。テレビで放送していたこと、内容、その他まるで知らずに見てしまったのでした。何かよさそうだなあ、それだけで映画館に入ったのでした。
最初、劇場版らしく、ちょっと登場人物のことが皆目分からず距離を置かされました。でもそのうち何となく分ってくると、少年時代(敢えて思春期とは言いません)の純粋な気持ちをそのまま持ち続けている少年少女の姿を目の当たりにします。 . . . 本文を読む
韓国映画も題材を見つけるのに困窮しているのかなあ。一言で言えば内容がない、ただそれだけなんだが、それでも韓流ファンは相変わらず見てるわけで、そんなこと考えると、ちょっと気の毒だなあと思ってしまう。
双子で取り違えごっこ遊びの延長って、、。顔が似ているだけで大の大人が大の大人を騙せるわけないだろう、と思ってしまうとどうも目の前の映像が白けてしまうんだよな。声を発するし、何か話すわけなんだろうから双 . . . 本文を読む
館内ではとても高揚し、けれど外気を浴びるとすぐ忘れてしまう映画もある。この映画は何ていうか、もやもやした映画ですね。設定がもろ二極集中の現代世相を反映しているが、あの終わり方でもすっきりしない、、。
よくあるヒーロー型でないのがまずいい。デイモン君は丸坊主で、到底イケメンには見えない。しかもちょろいワルでほとんど刑務所暮らし。食べていくのにやっとの肉体労働をさせられているが、哀しいかな権力者のミ . . . 本文を読む
フェチの映画なので女性ファンがこの作品を見てどうなのか気になるところではあるが、冴えない中年男が少年時代を回顧していく過程がとても新鮮であった。
あれほど数十年前の出来事が少年の原罪のように焼き付いていたということがこの映画のミソなんですね。映像を散らばめてだんだん整理していく方法は面白いが、でもこれも一つのテクにしか過ぎない。この映画の本質ではない。
本質?と言えばやはり腋毛フェチになってし . . . 本文を読む
園子温のたまりまくったマグマを発散しちゃったらこうなるねん、とでも言いたそうな怪作。いやあ、面白かった。映画が好きなんだよね、園も僕たちも、そしてこの作品に出演した全俳優・スタッフたちも。もう1,2回見ないとどれがどの作品のオマージュか分らないほどスゴイ。
少しずつ振り分け置いていた伏線がラストに向かって糸を紡ぐように収束してくるところはさすが園が映画作家として一流であることを示す。ニヤニヤする . . . 本文を読む
言語、国籍が違おうとも、こういう、親子とは何かという本源的なテーマは映画として持つ力がとても強いと思う。
是枝の作品では「歩いても 歩いても」が一等上だと思えるが、それでも世界的規模の映画祭では普遍的なテーマを提示することの意味を彼はよく知っている。「誰も知らない」も然り。小津映画が現代でさえもてはやされていることから考えても、彼の映画作家方向は意外としたたかではあるものの、正しいという他ないの . . . 本文を読む