倉本聰久々の脚本ということで即映画館へ。渾身のホンだというが、何を見ればいいのかわからず、困惑する。演技はさすがで納得する。中井貴一はうまい。小泉今日子は相変わらず美しい。訳の分からない役で清水美沙が久々出演。 . . . 本文を読む
最近珍しいチンピラやくざ二人と女というトライアングル構造を通し、甘く、淡く、やるせない現代の若者の閉塞感を描いている。
期待した分、それほど若者たちの心情を深くえぐれているとも思えず、どこかで見た映画感もするなあと思えてくる。3人が逃避行を決めるんだが、スマホでつながっていて、それは一時的なものでもあるし、最後は見えている、、。
もう明日はないかなあなんて3人が夜に軽く踊るシーンは、俳優たちの . . . 本文を読む
スタジオ公演だが、実に広い舞台。この空間であれば殺陣が自由自在に行うことができる。俳優陣は10人ほど。みんなよく練習していて、セリフのとちりはない。
この舞台、壁中劇が通常のイメージではなく、実に現代と同程度に重要視して描かれている。その内容も著名な信長、お市の方、浅井長政、秀吉そしてクライマックス本能寺の変と辿ってゆくので、本篇より実際濃いぐらい劇中劇が強く際立つ。
本篇も、 . . . 本文を読む
この時期になると7時間の一人芝居フェスが来る。もう高齢者もいいところなのだが、このフェスが好きで、体がまだ続くかどうかも確かめて毎年見ている。いやあ、ほんと全国津々浦々いろんな方言が飛び交い、趣向もピンキリ。選び抜かれた芝居だから、どれも一筋光っている。
7時間といえど、11芝居、人生を凝縮した芝居が続き、貴重な一日であります。その中でもお気に入り、「ケンジとトシ」、「やじうま」、「コレカラノブ . . . 本文を読む
映像で文学してる作品だったような、、。結構この感覚好きです。
4人との出会い、そして自分自身と向き合うことから、人生を彷徨う、、。カフェに座る人生に疲れたかのような人々の表情、バスから見える歩道に映る人々、、。これはあるとき、死を意識した人間から見える走馬灯のような綴り詩のような気がする。
ちょっと違うけど、ルイ・マルの「鬼火」を思い出す。鋭く、秀作。 . . . 本文を読む
旗揚げ公演でしょうか、なのでこういう公演は私は見に行くことにしている。映画と同じく処女作にはその作家の想いが詰められているからだ。
さて、この公演、冒頭からがなぜか取っつきにくく、一部の俳優たちのセリフ発声も気になったこともあり、僕はちょっと気がそれてしまう。
でも、ポエムを意識しているんだろう、柔らかな美しい世界を追う心情などがそのうち見え始め、気持ちが180度変化していることに気づく。なか . . . 本文を読む
人生で17歳。体は大人。精神はまだ思春期だとかよく言われる。でもほんとそうだろうか。私自身を考えるに、17歳から今現在、半世紀以上を経ているが、全く成長していないのです。
17歳という年齢は少なくとも私にとっては人生でいちばん多感で知識欲が旺盛で、通常の一年を10倍圧縮したかのような過密な年であった。だからこの年を思春期などでごまかすことはできない。一番自分のことを考えていた年齢なのだ。
さて . . . 本文を読む
マイム舞台はここまで完全版なのはひょっとして初めてかもしれない。とにかくセリフがないので、彼らの動き、つながり、表情から何かを得る体験をさせられる。
表現が受身形なので、当然自分自身に犠牲を強いる何かを当初感じていた。でも目と耳が音楽と相乗効果でなり始めてから、とても楽しみに変化したことを告白する。
そのうち音楽がかなり影響力を示していることに気づく。これはほかの演劇では考えられないことだ。当 . . . 本文を読む
ふとパリを楽しみたくてこの映画を見る。何か短編小説風の老人と若い女との愛と呼ぶべきか、心の重なり合いを描いた水彩画のような映画です。
男は70歳ごろ、女は30前。男は過去をなぜか隠しており、そのためか女は逆に男に関心を持つ。小さな古本屋でたたずむ二人。そのうち男が秘密結社の重要人物で逃亡中だと女は知る。男と女はいったん離れるがそれでも愛はつながっている、、。
この年齢差はやはり日本ではこうは行 . . . 本文を読む
シャマラン作品なので以前と違いパスしようと思っていたが、たまたま時間の関係で鑑賞する。ところがこれが思わぬ秀作サスペンス。シャマランの実力を垣間見もし、また驚いた。
導入部から2時間強、この手の作品では長い方なんだが、決して飽きさせぬ驚くべき展開。ラストまで、一気。これはミステリーなどでは作品の質を問うべく基本的なことであり、見事クリア。
大体、いつも通り、何の前知識もない吾輩は、ハートネット . . . 本文を読む
5編の短編集。そのうち1編は日本推理作家協会賞というから、また最新作「難問の多い料理店」がすこぶる面白く、即読破した。
で、その受賞作品、SNSを使用した少々異次元風のお話で、一応ミステリーにはしているが、正直言うと、吾輩はついていけませんでした。
ほかの4遍のいうち一部はっきり「真相をお話ししていない」風の作品もあり、それは読者に真相を委ねるタイプであり、ミステリーでは僕はどうかなと思う気も . . . 本文を読む
初めてのオムニバス版。とっても面白い。5編あるが、すべて泣ける。美しい。徳田さんが、今のままでも素晴らしいのに、さらにその先を見て新しい何かを常に考えているということは重要です。まずそのことを誉めたい。だからこの劇団は続くのだろうなあ、、と思う。冒頭のエピソードが最後にまた合致するその展開はとても素敵でした。いつもより橋本さん、役も重く、こちらも素敵でした。もう次作が気になり始めたいい劇団です。い . . . 本文を読む
やはり大劇団の演劇の能力は高い、ということを印象付けた作品です。
私には朝倉摂は舞台美術で成功した美術家という印象が強いが、舞台ではその半生はかなりユニークなお人だったんだあなあと面白くもあり、正直な人でもあり、なかなか苦難が多かったようだ。
俳優陣がもう十分これ以上ないという演技を見せてくれるので、安心感が漂い、不思議な安定感と充実感があります。素敵な人生を垣間見た気がします。
「山はどこ . . . 本文を読む
原作未見。なのでこの映画をどう評価するか微妙です。というのも、、、
現代の小説では当たり前なのかどうかわからないが、人間の存在について、AIを使ったヴァーチャルを駆使して、あらゆるデータから総合的に編み出した「私」、といわゆる自分の脳裏にある正体不明で不可解な「私」、を対比させているからだ。後者の私は人間の始まり以降、あらゆる人々(哲学者から市井の人々)が日夜探求したものゆえ、文学もその結晶と言 . . . 本文を読む
この作家では初めての初読。孤島の島で起こる連続殺人。まあよくあるパターンですわい。この手のものはけれど結構秀作が多いのを知っている。で。期待して読んで行くと、、。
目、腕、足など切断の孤島という習俗が最後まで引いてしまう羽目になり、少々げんなり。そして登場人物が鷲、鴉の苗字がとても多く、覚えられない、そしてどんどん殺戮されていくので、もう誰が殺されているのかわからなくなってくる始末。
主人公の . . . 本文を読む