ホラー映画というか、ちょっと気味の悪い、趣味の悪い映画感がある。途中、見づらくて下を見てしまうシーンも多々あれど、これはこういうホラー映画では常道なのだろう、しかし主人公に引き込まれる演出・演技はやはり大したものだ。最後まで見てしまう。これは立派。 . . . 本文を読む
いつも思うが、高橋恵さんの演劇で今までつまらないと思ったことが一度もない。それどころか、いつも演劇の深部に触れた感を持ち、また演劇に通うことになるのだ。
今回は、その中でも完成度の高い演劇をこれぞと見せつけてくれた。2時間の劇だが、冒頭から俳優陣が役を100%理解できているかのように、はまっている。自信がみなぎっているからなのだろう。それが観客席に伝わっている。
4人の女流俳人のそれぞれの人生 . . . 本文を読む
いつ見ても心の涙腺にぞぞぞっと触れる演劇集団。今回、特によかったデス!
冒頭、初老の男が旧写真館に入る。出演者が、一人ずつ暖かく微笑みながら写真を壁に掛けたり、備品を動かして写真館を創造する。そのたたずまいだけでもう泣けてくる。これはいかんなあと、気を引き締めながら劇を見る。
話は祖祖父、祖父、父親、息子の4代にわたって紡がれる家族史。家族といえば、やはり家族写真だろう。写真を撮ることの意味か . . . 本文を読む
スコセッシ&ディカプリオ&デ・ニーロという組み合わせで200分という長丁場だが、見に行かない映画ファンは皆無であろうと吾輩は思う。え、そうでもないって?
200分確かに老体にはこたえる時間。しかし、今日は頑張ったのだ。というか、さすが手慣れたスコセッシの映像、編集、がっぷり四つの二人の演技を前に、時間はすぐ気にならなくなった。
まるで、インディアン世界にはびこるマフィアのような地獄絵図。こうい . . . 本文を読む
試演会という設定だが、ほとんど本番と変わらない出で立ちで、本格芝居の重量感、豊穣感を十分味わうことができた。
エトランゼ、国を追われ、家族と離散する人々、その生の心情等をまるで阿部公房の戯曲がごとく紡いでゆくその演出はすごみさえ感じる。聞いてはいたがここまで完成度の高い作品とは、と驚きの一言である。
悲しみの中にもその人々のふてぶてしさ、明るさまで感じ人間の大きさを知る。拾いものの秀作。
& . . . 本文を読む
映像映画ですね。耽美的で、夢とも現実ともつかぬカメラのフラッシュバックのような挿入は当時としてはとても斬新だっただろうと思われます。
モノクロで、美人たちが潜む館のたたずまいは耽美的で恐ろしいほど美しい。ストーリーより、こういう方法で映画を語るというヌーヴォー・ロマン方式は映画史に輝く存在だ。
一見の価値あり。 . . . 本文を読む
5編の短編もの。葛警部の推理の基づく群馬県刑事ものなのだが、すべてが鋭くとても面白い小説に仕上がっている。
最初の山岳遭難事件はそんなこともあるかね、という感想だったが、2編目からは私の眼の色が変わるほど、最近のミステリーでもこれほどの秀逸なものは読んでおらず、感心するばかり。
さすが米澤ミステリー、300ページ足らずの本ではあるが、あっと驚く仕掛けがすべてに用意してあり、ミステリーファンは狂 . . . 本文を読む
池松がピアノレッスンかなり頑張ったと聞いていたので、行きゃなきゃと思い映画館へ。
映画としては外国映画でよくある、俳優が玄人なみに演奏している光景とかは見られなかったが、それなりに雰囲気は出していた模様。けれど、この映画における魂というものがそれほど感じられず約30分程度で、少々退屈感を持つようになる。
クリスタル・ケイが「客が私の歌を聴いてくれない」なんて言うボヤキはキャバレーの歌手なんてそ . . . 本文を読む
大人の、怖い映画ですね。結婚まじかで夢開く若い家政婦から見た現実の夫婦生活。男と女のやるせなさ、人生の真実を鋭く切り取った筆致は荒い。それらが爆発するのが、大みそかの車運転に危ない炎が燃え狂う街並み。
タッチはキェシロフスキかと見まがうほど。ファルハディの独特の世界がほぼ完成す。映画の喜びをつくづく感ず。 . . . 本文を読む
イランの死刑制度、死刑囚を死刑にするにはカネが必要で、それは死刑囚の家族に送られる。つまり遺族はカネがなければ憎き死刑囚を死刑にはできないのだ。
つまり、そこにはイスラムの宗教的な深い思念が介在すると思われる。それから起因して被害者家族の病人治療費の問題とか、恋愛さえカネのために諦念しなければならないほど、主人公は苦悩を抱えることになる。
ファルハディのイヤミス系の原点がこの作品にある。次から . . . 本文を読む
主人公が高校生ということで平易に小説に入ることができた。さらに腎臓透析を受けている高校生たち、けれど何やら不穏な人たちが住んでいるある町に、、。
面白いんだけど、また最後まで真相がわからず引っ張っていくその書きぶり、そして真相にたどり着いたとき、やはりかなりの衝撃を受ける。いくらなんでもそういうことが、、なんて思ったりしたが、これはミステリー。本格ものではないが、実に五十嵐らしい論理で構成したミ . . . 本文を読む